自分でできる体健やかブログ

リハビリ専門職(作業療法士)の私が、肩こり、肩の痛み、腰痛、膝痛、骨盤トレーニングなど、「自分でできる」をキーワードに対策方法を伝授します。

更衣動作で観察されうる運動・感覚・高次脳機能面の障害

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ADLの動作観察を行う際、運動・感覚・高次脳機能面の中で、どの要因によって遂行上のエラーが生じているかを検討することが大切になります。今回、更衣動作で観察されうる運動・感覚・高次脳機能面の障害について、文献を参考にまとめていきたいと思います。

 目次

 更衣動作で観察されうる運動・感覚・高次脳機能面の障害

文献

運動機能障害による更衣の遂行上のエラー

運動機能障害には、運動麻痺、筋力低下、関節可動域制限、痙縮などがあります。
運動麻痺が存在すると、片手動作での更衣を学習する必要があります。

高次脳機能障害による整容の遂行上のエラー

運動前野性保続と前頭前野性保続:

 実行的な行為の間に、一つの反応パターンからほかのものへと変えることが難しいために生じる繰り返される運動や行動。
行為の開始あるいは終わりに関する慣性(行為を続けて行う)ことにあてはまる。
運動前野性保続−同じ運動の脅迫的な繰り返し
前頭前野性保続−行動要素あるいは行動の全体の繰り返し

脳卒中リハビリテーション

運動前野性の保続があると、
・袖に腕を入れる際、袖の端が肘や肩に上がるまで、袖の中に腕を入れ続ける
・靴下を履く際、すでに足が隠れていても、靴下を引っ張り続ける
などが観察されます。

空間関係の障害:

物体同士あるいは物体と自分との関係をとることが難しい
視空間の障害によってそのような困難さが生じる場合、視空間失認と類義語として用いられる。

脳卒中リハビリテーション

空間関係の障害があると、前後、裏表、上下を見つけることが困難となり、
・腕を袖穴の代わりに襟ぐりに通す
・左腕の代わりに右腕を通す
・両足を同じズボンの穴に入れる
・ズボンの片方が裏になっているのに気づかない
・シャツを着るときに間違った方向に袖を引っ張る
・靴ひもの操作が困難
などが観察されます。

左右識別障害:

左右の身体の識別、あるいは外部環境に左右の概念を利用する能力。
左右の概念の理解と使用ができないことを含む。
いくつかの要因から構成される(言語的、非言語的触覚識別、刺激の位置、視空間の要素)

A-ONE認定講習会資料

左右識別の障害は、視空間の問題と関係する可能性があり、
・右の靴を左の足に履く
などが観察されます。

身体失認:

身体図式の障害。
身体構造の意識の低下、自分自身の身体部位のそれぞれの関係の認識の障害。
外部環境における自分の身体と物体とのかかわりが難しい。

脳卒中リハビリテーション

身体失認があると、
・自分の腕ではなく、セラピストの腕を袖に通そうとする
・シャツの袖穴に足を通そうとする
*視空間の問題がある患者では、適切な袖穴は見つけられないが、シャツが上半身と関連していることの認識はあります。
・麻痺側上肢の衣類の着脱を行わない
・脱衣で麻痺側上肢が袖穴に入ったままなのに、洋服がけに直そうとする
・麻痺側の肩にシャツが引っかかったままで気づかない
・麻痺側のシャツが最後まで下ろされていない
などが監察されます。

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半側空間無視

視知覚障害あるいは注意障害による脳の損傷と反対側の空間外に存在する視覚的刺激に対する不注意あるいは無視。
視覚障害や半盲を伴い、単独で生じるかもしれない。

脳卒中リハビリテーション

半側空間無視があると、
・左側に置かれた衣服に気づかない
などが観察されます。

場への依存:

特定の課題に対して、選択的な目標指向型行動の代わりに起こる脱抑制的で、不適切、無関連な定型的な行動。
基本的定位反射に関連した衝動性。
それゆえ、環境依存は注意の要素と保続の要素の障害をもっている。

脳卒中リハビリテーション

場への依存があると、
・腕、頭を適切な穴に通したところで、目に入った櫛を握り、整髪を始める
などが観察されます。

観念性失行:

神経モデルあるいは遂行に必要とされる概念に関する精神的表象の欠如から引き起こされる。何をしたらよいかという知識の崩壊。
物品使用に関する知識の低下。
活動の工程の順序立て、あるいはお互いに関連する物品の使用にもあてはまる。

脳卒中リハビリテーション

観念性失行があると、
・衣類が何をするものなのか、どのように着るのかわからない
・セーターの下にシャツを着るのを忘れてそれに気づいた後、修正のための手順が計画できない
・靴の上から靴下を履く
・ズボンを履く前に靴を履く

組織化と順序立ての障害:

適切に順序立てされた活動の工程を伴う考えを組織化できない(観念性失行の要素であるが、進行型疾患の過程での障害の最初、あるいは悪化している観念化の最後の段階の指標として独立して生じる場合がある)

脳卒中リハビリテーション

組織化と順序立ての障害があると、
・麻痺側上肢の前に非麻痺側上肢から更衣を始める
などが観察されます。

判断力の障害:

環境情報に基づいた現実的な決定をすることができない。
自分自身のエラーからのフィードバックを利用することができない。

脳卒中リハビリテーション

判断力の障害があると、
・玄関やダイニングでの不適切な更衣を行う
・昨日着た衣類をもう一度着る
・ズボンが前後逆だと指摘しても、直そうとしない
などが観察されます。

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