自分でできる体健やかブログ

リハビリ専門職(作業療法士)の私が、肩こり、肩の痛み、腰痛、膝痛、骨盤トレーニングなど、「自分でできる」をキーワードに対策方法を伝授します。

バランス障害と感覚の組織化、評価とリハビリテーション

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バランス保持には、視覚、前庭覚、体性感覚からの情報が重要になります。これら3つのうちのどの系に問題があるかを特定できることは、バランス障害に対するリハビリテーションアプローチが根拠を持って行うことができます。今回、バランス障害と感覚の組織化、評価とリハビリテーションについて、文献を参考にまとめていきたいと思います。

 目次

 バランス障害と感覚の組織化、評価とリハビリテーション

文献

感覚の組織化

バランス保持には、視覚、前庭覚、体性感覚からの情報が重要になります。
視覚系は、垂直方向性や視覚の流れに関する情報を提供します。
オプティカルフローの情報は、個人や環境の動きを探るのに重要な情報入力となります。
視覚情報はあいまいなため、精度を求めるには他の感覚情報と比較する必要があります。

体性感覚情報は、足底の皮膚受容器、圧受容器、筋紡錘、関節受容器からなります。
体性感覚情報はあいまいな可能性があります。
例えば、足関節背屈は身体が支持基底面上で前方移動していることを示しますが、坂道に立っていると正中姿勢と一致することがあります。

前庭系は、頭部の位置や、重力に関連する空間での頭部運動の決定に役立ちます。

感覚の組織化の評価

①全ての感覚系からの情報入力あり
対象者は開眼で安定した支持面に立ち、その反応を観察します。

②閉眼による視覚入力の遮断
対象者は閉眼で安定した支持面に立ち、その反応を観察します。
*この条件では、平衡維持のために体性感覚と前庭情報入力のみとなります。
*体性感覚と前庭情報から誤った情報が入力される場合や、視覚入力に依存することに慣れている場合、姿勢応答が生じる可能性があります。

③不正確な体性感覚情報
対象者は、誤った体性感覚情報を提供するためのクッション(厚さ約10cm程度)上に立ち、反応を観察します。
*この条件では主に視覚、前庭覚の情報入力で平衡を維持します。
*誤った体性感覚情報を認識、検知すると姿勢応答が乱れます。

④閉眼による視覚入力の遮断、不正確な体性感覚情報
対象者は、閉眼にて10cm程度のクッション上に立ち、その反応を観察します。
*平衡維持には前庭情報のみが使用されます。
*前庭系の障害、もしくは情報統合能力の障害により平衡が維持できなくなります。

感覚の組織化の評価から考えられるバランス課題

不正確な体性感覚
視覚の欠損、不正確な体性感覚
不正確な視覚、不正確な体性感覚
(動揺連動支持面)

高さのある引き出しを股・膝関節屈曲して開ける間、カーペット上に立っている
屋外の草の上、海岸を歩きながら物を拾い上げる
エスカレーターや動く歩道へ乗る/降りる

視覚の欠損
不正確な視覚
視覚の欠損、不正確な体性感覚
不正確な視覚、不正確な体性感覚
(矛盾した視覚情報)

ショッピングセンターを歩く
台所の戸棚の物品に目を通す
食料品店で品物に目を通す
カゴから服を出してものほし竿に干す
目を閉じて頭を後ろに倒しながらシャンプーを洗い流す

視覚の欠損、不正確な体性感覚
不正確な視覚、不正確な体性感覚
(前庭情報にのみ頼る)

暗い映画館で座席を探しながら斜面を上る/下る

不正確な体性感覚
視覚の欠損、不正確な体性感覚
不正確な視覚、不正確な体性感覚

片足立ちでズボンをはく
戸棚の上や下にリーチするために足を縦に並べて立つ
ひとつの場所から別の場所に歩く

床から物を拾うために足を縦に並べて立つ

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感覚の組織化の評価から、対象者がバランスを崩しやすい実用課題を特定することが必要になります。

敷物からカーペットへの移動の間にバランスを崩す場合、平たんでない地面上でバランスを維持する検査でうまく行えないことが多くなります。
ショッピングセンターや周囲に人が多くいる場所でバランスを崩しやすい場合、矛盾した視覚情報の入力を受けながらバランス維持する課題においてうまく行えないことが多くあります。

セラピストは、1つもしくは2つの感覚システムが障害されている場合に、代償的な方略を検討する必要があります。
体性感覚障害がある場合、視覚に依存することが多く、視覚障害がある場合体性感覚に依存する場合が多くあります。
前庭系に障害がある場合、視覚または体性感覚に依存する可能性があります。


視覚障害などで体性感覚に依存している場合、例えば段階付けとして、
①平らでない地面に立ち物を持つ
②平らでない地面に立ちリーチする
③平らでない地面から平らな地面へ移動する(逆も)
④平らでない地面から平らな面へ物を運ぶ(逆も)
⑤地域課題として、歩道、芝生、砂利道、砂地などの平らでない地面での移動
が挙げられます。
行う課題は全て対象者の生活に関連した課題にする必要があります。

体性感覚障害などで視覚に依存してる場合、視野が不明瞭(暗い、照明が少ない)または誤った視覚情報を認識することでバランスが不良になる可能性があります。
夜にトイレに行く、映画館を歩く、夜間の道を歩く時にバランスを失う可能性があります。
リハビリテーションでは、薄暗いまたは見えづらい視野で、活動を行ってもらいます。
シャンプーを洗い流す時に目を閉じておく、明るい所から暗い所へ入る、歩きながら水の入ったコップを運ぶ(地面でなく、コップを見る必要がる)、会話をしながら歩く(お互いの顔を見ながら)、などがあります。
環境設定では、夜間の移動ではナイトライトの使用や廊下の電灯をつけたままにするなどが考えられます。

頭部ー眼の協調性や視線の安定性に障害があれば、実用的な活動中に問題が生じる可能性があります。
混雑したショッピングセンターで歩く、スーパーで棚の商品を見る、棚に品物を置くなどです。
中枢神経系は誤った視覚情報を無効にすることはできず、対象者はバランスを崩したように感じます。すると、実際の現象とは一致しない姿勢反応が生じます。
リハビリテーションでは、実用課題遂行中に視線を安定させることを盛り込みます。

前庭系の障害があると、視覚または体性感覚に依存します。
リハビリテーションでは、前庭機能障害を引き起こす頭部の運動と位置を含むようにします。
床のカゴからタオルを取り出し物干し竿に干す、様々な高さにある物品を見て説明する、バスケットボールでドリブルしながら歩くなどがあります。

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