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重度運動麻痺にも適応!ミラーセラピーの概要と実施方法、エビデンス

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脳卒中片麻痺のリハビリにおいて、イメージや模倣を活用した治療のひとつとして、ミラーセラピーがあります。
今回、ミラーセラピーの概要と実施方法、エビデンスについて、文献を参考にまとめていきたいと思います。

 目次

 ミラーセラピーの概要と実施方法、エビデンス

引用・参考文献

岡崎 英人ら「上肢麻痺の改善手技-ミラーセラピーを中心に」CLINICAL NEUROSCIENCE Vol.35 no.5 2017.5

ミラーセラピーの概要

ミラーセラピーは対象者の矢状面に鏡を置き、麻痺側であるかのように非麻痺側を鏡に映し、非麻痺側を動かすことで麻痺側が正常に動いているような視覚的錯覚を作り出すリハビリ方法の一つです。
ミラーセラピーは元々、切断者の幻肢痛治療として考案されたもので、その後上肢麻痺の治療への応用が報告されました。
メリットはその簡便さにあり、高い機器を必要とせず、どの施設(環境)でも導入しやすく、自主トレーニングとしても行えることにあります。

ミラーセラピーの機序

ミラーセラピーではミラーニューロンシステム(模倣を行う神経メカニズム)が関与している可能性があるとされています。

ミラーニューロンと呼ばれる腹側運動前野の神経細胞は自分で作業しているときのみならず、他者が同じ作業をしているのを見ているだけでも活動する。
他者の運動を観察してミラーニューロンが運動プログラムを作り出すことが模倣動作の発現につながっていると考えられている。

岡崎 英人ら「上肢麻痺の改善手技-ミラーセラピーを中心に」CLINICAL NEUROSCIENCE Vol.35 no.5 2017.5

必要物品

ミラーボックスと呼ばれるものを使用します。
既製品もありますが、鏡や板、ダンボールを使用して自作もできます。
設定は非麻痺側が映るように鏡を設置し、麻痺側は鏡の裏に置いて見えないようにします。

 

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実施方法

非麻痺側を運動させ、その鏡像を観察させます。
その際麻痺側も同様に動かそうと努力をさせます。
非麻痺側の運動方法に決められたものはありませんが、手指屈曲・伸展、手関節掌屈・背屈など様々な動きを行います。
非麻痺側運動中に麻痺側の他動運動を加えることや、神経電気刺激を併用する方法もあります。

訓練時間・頻度は、1日30分としているところが多く、2〜6週間の介入となっていますが、4週間の介入で研究を行っていることが多いです。
自主トレーニングとして用い、その他リハビリテーションの方法を組み合わせて実施していくことが良いと思われます。

ミラーセラピーの適応

適応範囲は広く、CI療法や促通反復療法(川平法)では麻痺側に一定以上の自発運動が行える必要がありますが、ミラーセラピーでは完全麻痺者も対象とすることができます。

ミラーセラピーの効果とエビデンス

ミラーセラピーの効果は急性期から慢性期まで確認されています。
急性期から亜急性期にかけて発症8週間以内中大脳動脈領域の初発脳梗塞者にミラーセラピーを 6週間行ったところ、コントロール群と比較し、Fugl-Meyer assessment scale(FMA)の手指機能改善があったとの報告があります。
発症約1ヶ月の脳卒中片麻痺者で、12段階片麻痺スケールの手指が6以下の患者では、ミラーセラピー介入で有意にFMAの点数が改善したとの報告があります。
また、神経筋電気刺激とミラーセラピーを同時に行うと、それぞれを行ったときよりも最も効果があったとの報告があります。
慢性期では、発症数年以上経過した慢性期脳卒中片麻痺者にミラーセラピーを行ったところ、上肢機能の改善が見られたとの報告があります。

ミラーセラピー訓練後の保持効果については、発症約6ヶ月の脳卒中者をミラーセラピー群、コントロール群に分け、ミラーセラピー群がWolf motor function test、motor activity logがコントロール群と比較し有意に改善し、訓練後6ヶ月の時点でもミラーセラピー群が有意に良い結果であったとの報告があります。
しかし、発症4年を経過した脳卒中者をミラーセラピー群、コントロール群に分け、ミラーセラピー群ではFMAガコントロール群よりも有意に改善しましたが、6ヶ月後では有意差がなかったとの報告もあり、訓練効果の保持については明確なエビデンスがありません。

下肢に対するミラーセラピー

下肢に対するミラーセラピーの報告もあります。
発症後約80日前後の脳卒中者12名に下肢ミラーセラピーを1週間行い、半数改善を認めたとの報告や、発症1年以内の脳卒中者40名をミラーセラピー群、コントロール群に分け、4週間の訓練後、ミラーセラピー群の下肢ブルンストロームステージが有意に高かったとの報告があります。

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