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膝内側の痛みの原因の評価!部位同定から運動学的評価まで!(まとめ記事)

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このブログで膝の痛みの評価(部位同定から運動学的評価まで)の記事を書いてきましたが、その記事をまとめて一度で閲覧できるようにしました。

 目次

 膝の痛みの原因の評価!部位同定から運動学的評価まで!(まとめ記事)

膝内側の痛みと力学的ストレス

膝内側に加わる力学的ストレスとしては、伸張ストレスと圧縮ストレスがあります。

大腿脛骨関節が外反強制されることで、膝内側には伸張ストレスが加わる。X脚変形の場合や膝内側の軟部組織の伸張性が低下している場合、あるいはその両方が混在した時、膝内側へのストレスは増強する。

運動機能障害の「なぜ?」がわかる評価戦略 P235

伸張ストレスが原因で起こる疼痛には、内側側副靭帯、鵞足、半腱様筋・腓腹筋内側頭があります。

圧縮ストレスにより疼痛が生じる場合には、内側半月板からくる機能障害が考えられます。

大腿脛骨関節が内反強制されることで、膝内側に圧縮ストレスが加わる。また、O脚変形などのアライメント異常が存在する場合、膝内側に加わる圧縮ストレスは増強する。

運動機能障害の「なぜ?」がわかる評価戦略 P235

内側側副靭帯由来の痛み発生の解剖学的評価

内側側副靭帯(MCL)は、内側膝蓋支帯から縫工筋の筋膜の間に存在する大腿深筋膜である第1層、浅層繊維で表層のMCLと呼ばれる第2層、後内側関節包で深層のMCLと呼ばれる第3層からなると考えられている。
また、大内転筋結節から起始し、膝関節後内側部を斜走した後、3つの繊維束に分岐し、脛骨の後縁、斜膝窩靭帯の近位部から後方関節包、半腱様筋とその腱鞘に付着する後斜走繊維束が存在する。

運動機能障害の「なぜ?」がわかる評価戦略 P236

MCLは外反を制御する役割がありますが、膝関節軽度屈曲での外反強制で膝内側の痛みが生じた場合、MCLの損傷が疑われます。
MCLは膝最大屈曲においても緊張が高まるとされており(巻き込み現象:表層のMCLの下に後斜走繊維束が潜り込むように巻き込まれる)、膝最大屈曲位で大腿骨内側上に疼痛が生じることがあります。
MCLは下腿外旋の制御も行っており、膝屈曲運動で下腿の内旋が少ないと、最終屈曲域で内側上付近の疼痛が生じることがあります。
MCLは触診可能で、前方から後方にかけ膝内側裂隙を触知すると、裂隙が不明瞭になる部分があり、その後また明瞭になりますが、不明瞭な領域がMCLの幅になります。
圧痛の確認は大腿骨付着部と脛骨付着部の両方で疼痛を確認します。

内側側副靭帯損傷の整形外科テスト:ダイアルテスト

①背臥位あるいは腹臥位で膝屈曲30°および90°を開始肢位とします。
②検者は足部を把持し、下腿外旋させます。
解釈:下腿外旋角度に左右差がみられる場合陽性となります。
*内側側副靭帯損傷により前内側回旋不安定性が生じることで陽性になります。
*筋緊張が高い場合、正確に評価できません。
*このテストでは後十字靭帯や前十字靭帯の損傷においても陽性となります。

内側側副靭帯損傷の整形外科テスト:外反ストレステスト

①背臥位で膝関節外側と下腿遠位部を把持します。
②膝関節を外反させます。
解釈:疼痛や不安定性(+)で陽性となります。
*MCLに対して外反強制により伸張ストレスを加えています。
*筋緊張が高い場合正確に評価できません。
*膝関節屈曲角度の変化によりストレスがかかる部位が変わるため、角度を変えながら行います。

鷲足の構成と、疼痛発生のメカニズム

鷲足は、縫工筋、薄筋腱、半腱様筋腱の停止部が収束している部分をさします。
縫工筋は上前腸骨棘から起始し、脛骨粗面内側に停止します。支配神経は大腿神経で、股関節屈曲・外転・外旋に作用します。
薄筋は恥骨結合〜恥骨下枝から起始し、脛骨粗面内側、下腿筋膜に停止します。支配神経は閉鎖神経で、股関節内転、膝関節屈曲、下腿外内旋に作用します。
半腱様筋は坐骨結節から起始し、脛骨粗面内側、下腿筋膜に停止します。支配神経は脛骨神経で、股関節伸展・内転、膝関節屈曲、下腿内旋に作用します。

縫工筋はその構造から、膝関節外反や下腿外旋のアライメントとなると、鷲足の過剰な筋収縮が起こり、付着部の伸張ストレスによる変性、鷲足部滑液包(鷲足と脛骨の間に存在)への摩擦ストレスが生じ、疼痛発生の要因となります。
鷲足の筋は下腿筋膜に付着しており筋収縮で下腿筋膜の緊張を高めますが、腓腹筋の筋力低下があると、鷲足の筋が過剰緊張して代償するため、鷲足の炎症を引き起こします。

鷲足の触診

脛骨内側を指標にして触診していきます。
縫工筋は、股関節屈曲・外転・外旋を行わせ、筋収縮を確認して同定します。
薄筋は最も内側にあるため、股関節の他動外転により伸張するので、その緊張を触知して同定します。
半腱様筋は膝窩の内側の腱の中で最も後方かつ外側にあり、膝関節屈曲により最も後方へ出る腱を触知して同定します。
鷲足部の触診にとどまらず、各筋の筋腹の圧痛を確認していくことが大切です。

鷲足の疼痛誘発テスト:トリガー筋鑑別テスト

①薄筋は背臥床位、股関節外転・伸展位、半腱様筋は背臥位で股関節内転・屈曲位、縫工筋は側臥位で股関節内転・伸展位を開始肢位とします。
②大腿遠位部を把持と下腿遠位部を把持し、他動的に膝関節を伸展させます。
解釈:膝関節伸展に伴い疼痛誘発で陽性となります。
*鷲足を構成する筋の股関節の伸張位をとり、膝関節伸展により疼痛の原因筋を鑑別します。

半膜様筋、腓腹筋内側頭による疼痛発生のメカニズム

半膜様筋は半腱様筋に覆われた腱で、坐骨結節から起始し、脛骨内側、後斜靭帯、斜膝窩靭帯、膝窩筋に停止します。支配神経は脛骨神経で、股関節伸展・内転、膝関節屈曲、下腿内旋の作用があります。
半膜様筋の停止部は安定性に関わる靭帯などに付着しているため、内側側副靭帯や後斜靭帯、斜膝窩靭帯などの損傷があると、半膜様筋が張力を発生させると、損傷部に力学的ストレスがかかります。靭帯の不安定性を補うために半膜様筋に過剰収縮が起こることが考えられます。

腓腹筋内側頭は大腿骨内側から起始し、踵骨隆起に停止します。支配神経は脛骨神経で、下腿内旋、足関節底屈、膝関節屈曲の作用をもちます。
腓腹筋内側頭の起始部は半膜様筋に覆われるように深くにあり、半膜様筋、腓腹筋の筋緊張異常や短縮などがあると、2つの筋間で滑走不全が生じ、筋スパズムを引き起こすことが考えられます。

 腓腹筋内側頭の深層には後内側の関節包が位置しており、疎性結合組織性に連結してる。腓腹筋内側頭の滑走性の低下は、同部分の疎性結合組織の動きを減らす。コラーゲン線維の増加や細胞外基質の変化が生じると、関節包の伸張性が低下し、屈曲拘縮が生じると考えられる。

運動機能障害の「なぜ?」がわかる評価戦略 P241

半膜様筋と腓腹筋内側頭の触診

半膜様筋は膝関節自動屈曲を行い、まず半腱様筋が明確に触知でき、そのすぐ内側で1横指程度の幅の半膜様筋の触知が可能です。腱を触知できたら、近位へたどりますが、半膜様筋の内側は、大腿骨中央付近まで薄筋と隣接しています。
腓腹筋内側頭は、足関節自動底屈により、下腿中央の内側で遠位縁の触知ができます。膝窩部で半膜様筋の深層にある部分は、膝屈曲位(半膜様筋の緊張を取り除く)とすると触知しやすくなります。
両筋の間で滑走不全がある場合、圧痛が生じることがあり、両筋の間も触診します。

半膜様筋、腓腹筋内側頭のトリガー組織判別テスト

半膜様筋
①背臥床位にて膝関節屈強運動を自動介助で行います。その際半膜様筋の収縮に伴う外側方向への移動を誘導します。
腓腹筋内側頭
①腹臥位にて足関節底屈運動を行い、その際に腓腹筋内側頭の収縮に伴い、膝窩内側で半膜様筋の深層に入る動きを誘導します。

解釈:半膜様筋、腓腹筋内側頭の圧痛が消失し、膝関節伸展可動域が改善すれば、半膜様筋、腓腹筋内側頭の過緊張が原因として考えられます。
*下腿外旋アライメントの異常がある場合、外側の大腿二頭筋などの影響が大きくなるため、膝関節のアライメントに注意しておく必要があります。

膝内側への伸張ストレスが増大する運動学的要因

①下腿回旋異常
膝関節の内側に位置する内側側副靭帯、鷲足、半膜様筋、腓腹筋内側頭などは、下腿外旋の制動作用を有しています。そのため下腿の過外旋となるアライメントになっていると、これらの組織への伸長ストレスが増強します。

②膝関節外反不安定性

膝関節外反の主要な静的安定化機構であるMCLが損傷すると、動的安定化機構である半膜様筋・腓腹筋内側頭などの筋による制動が必要となり、筋性疼痛を惹起することが考えられる。

運動機能障害の「なぜ?」がわかる評価戦略 P242

③膝関節屈曲拘縮
膝関節の屈曲拘縮などにより膝関節の伸展制限が起こると、膝関節の静的安定化機構である靭帯は弛緩し、その安定性は損なわれます。
不安定になった膝関節の安定性を代償するために、半膜様筋や腓腹筋内側頭の同時収縮が過剰に行われ、その部位への筋性の疼痛が引き起こされることがあります。

④股関節外転筋筋力低下
歩行などの片脚での支持を必要とする動作では、大腿骨頭(股関節の回転中心)に対し、身体重心が内側に位置します。そのため股間節外転・外旋モーメントが必要になり、股関節外転・外旋筋力の低下により股関節外転・外旋位保持が困難になると、股間節内転・内旋位となります。このようなアライメントとなるとメディアル・コラプス(膝関節外反、下腿外旋に股間節内転・内旋を伴う現象)が起き、膝関節内側に伸長ストレスが生じます。

⑤下腿三頭筋筋力低下
鷲足を構成する筋群(縫工筋、薄筋、半膜様筋)は下腿の筋膜に付着しており、下腿三頭筋(腓腹筋)の筋力低下が起こると鷲足構成筋群を過剰に収縮させることにより下腿筋膜の筋緊張を高めるようにして、腓腹筋の筋力低下を代償します。
すると、鷲足構成筋の機能低下を引き起こしたり、鷲足付着部への伸長ストレスが高まり、鷲足炎が生じる可能性が高くなります。
下腿三頭筋と半膜様筋は膝関節伸展の制動作用があり、下腿三頭筋に筋力低下があると、半膜様筋の過剰収縮を引き起こし、筋性疼痛を招く可能性が高まります。

内側半月板により痛みが生じるメカニズム

内側半月板は、3層のコラーゲン繊維からなり、剪断・圧縮ストレスに抗する構造になっています。
侵害受容器(自由神経終末)、機械受容器(ルフィニ小体、ぱちに小体、ゴルジ腱器官)が内側半月板の辺縁1/3にあります。辺縁において内側半月板が損傷すると、膝内側の疼痛が生じると考えられます。
半月板の作用により、大腿脛骨関節の適合性を高めることができ、そのために半月板は膝関節屈曲伸展運動に伴い前後方向に移動します。

 

屈曲

伸展

内旋

外旋

内側半月板

後方

前方

前方

後方

外側半月板

後方

前方

前方

後方

半月板の後角には半膜様筋が後斜靭帯・後方関節包を通じて付着しています。これらの組織の短縮や筋力ができ化することにより、内側半月板の移動が阻害されると、半月板の損傷が引き起こされやすくなります。
半月板のもう一つの作用として、大腿脛骨関節の圧縮応力を軽減する緩衝作用があります。
半月板損傷では衝撃吸収がなされず、大腿脛骨関節への負担が増大してしまい、関節の安定性が損なわれます。また、半月板の可動性低下も引き起こし、膝関節屈曲において後方で圧縮ストレスの負荷がかかり、疼痛が生じると考えられます。

内側半月板の触診方法

内側半月板の触診では、前節では膝関節屈曲位、後節では膝関節伸展位として行います。
内側半月板は大腿脛骨関節の裂隙に沿って触診し、大腿脛骨関節裂隙を広げることで触れやすくなります。

内側半月板の整形外科的テスト:Mcmurray test

①背臥位にて膝関節裂隙と下腿遠位部を把持し、膝関節伸展と内旋・外旋の複合運動を誘導します。
解釈:疼痛やクリック音がなると陽性となります。
*膝関節の回旋運動を行いながら伸展させることで、半月板に圧縮ストレスと剪断ストレスをかけることができます。
*膝関節屈曲角度の変化で半月板への圧縮ストレスがかかる部位が変化するため、屈曲角度を変えながら行います。
*感度や特異度はばらつきがあり、圧痛所見など他の情報を含めて総合的にみていきます。

内側半月板の整形外科的テスト:Thessaly test

①膝関節軽度屈曲位(約20°)での片脚立位で、検者は両上肢を把持します。
体幹の回旋に伴う膝関節回旋を誘導します。
解釈:関節裂隙の不快感、ロッキング(引っ掛かる感じがして膝が動かせない)、キャッチング(何となく引っかかるが膝が動かせる)の訴えで陽性となります。
*荷重位にて膝回旋を加えると、半月板に圧縮・剪断ストレスがかかります。
*膝屈曲約20°で行うと感度と特異度が高いとされています。
*損傷を悪化させないように注意して行います。

半月板損傷の理由

内側半月板の損傷は、膝関節内側への圧縮・剪断ストレスがかかることにより生じます。
膝関節内側への圧縮ストレス増大の理由として、膝関節の内反があります。また、膝関節屈曲拘縮により膝関節軽度屈曲位となると、膝関節の側方安定性が低下し、膝関節内側に対する圧縮ストレスが増大します。
前途した、半月板に付着する組織の短縮、筋力低下などにより半月板の移動が制限されると、損傷や疼痛を引き起こすことになります。

内側半月板への圧縮ストレスが増大する運動学的要因

①膝関節屈曲拘縮
内側半月板は膝関節内側への圧縮(+剪断)ストレスにより損傷をきたしますが、圧縮ストレスが増大する原因としては、膝関節の内反が考えられます。
また、膝関節屈曲拘縮などで膝関節が伸展できずに軽度屈曲位となると、静的安定化機構の靭帯の緊張が低下し、膝関節の側方への安定性が損なわれ、膝関節内側への圧縮ストレスは増大します。

②半膜様筋の収縮不全
半膜様筋はハムストリングスを構成する筋群(他に大腿二頭筋、半腱様筋)のひとつであり、広範囲に停止部があります。
停止腱は膝関節後内側を下降し、5束に分かれます。2束は脛骨後内側の関節裂隙直下、3束は後斜靭帯、斜膝窩靭帯、膝窩筋の筋膜に停止します。
なかでも後斜靭帯の繊維は半月板に付着しており、半膜様筋の収縮により半月板を後方移動させる作用があります。
半膜様筋の収縮が不十分な場合、半月板の後方移動が制限されます。すると、膝関節屈曲の際に半月板に対して圧縮ストレスが過剰にかかることがあります。
半膜様筋の収縮不全は下腿外旋のアライメント異常にも関与するため、下腿の回旋異常についての評価も行う必要があります。

大腿四頭筋の筋力低下
大腿四頭筋(大腿直筋、中間広筋、内側広筋、外側広筋から構成)は膝関節伸展筋です。
停止部は膝蓋骨を介して膝蓋靭帯となり、脛骨粗面に停止します。
膝関節伸展で膝蓋骨は上方へ移動し、膝蓋靭帯と横靭帯を連結する膝蓋下脂肪体や、半月板と膝蓋骨を結ぶ半月膝蓋靭帯が緊張し、半月板を前方へ移動させます。
この半月板の移動制限により、大腿脛骨関節に半月板が挟み込まれ疼痛につながる可能性があります。

④膝蓋下脂肪体の拘縮
膝蓋下脂肪体は膝蓋靭帯の深くにある脂肪組織で、膝蓋靭帯と横靭帯との間に存在します。
半月板前方に横靭帯を介して付着しており、膝関節屈伸に伴い形態変化させながら、半月板前方移動の誘導や後方移動の制動に作用しています。
膝蓋下脂肪体拘縮により形態変化に異常があると、半月板後方移動を制限し、膝関節屈曲時の半月板後節にインピンジメントが起こる可能性があります。

運動学的評価:下腿回旋異常

下腿外旋の原因として、
①下腿内旋作用のある鷲足、腓腹筋内側頭、半膜様筋の収縮不全による下腿内旋不足
②下腿外旋作用のある大腿二頭筋腓腹筋外側頭の伸長性低下による(下腿を後外側に引く)過外旋位
③内反変形や靭帯損傷からの膝関節屈曲拘縮
などがあります。
下腿回旋異常があると、外旋制動のために膝窩筋は過剰収縮を強め、過緊張となります。
また、外旋制動作用のある半膜様筋も過剰収縮することで過緊張となります。

Q-angle
①背臥位または座位で、上前腸骨棘〜膝蓋骨中央を結ぶ線と、脛骨粗面〜膝蓋骨中央を結ぶ線のなす角度をゴニオメーターを使用し計測します。
解釈:男性の正常値は11.2±3.0°、女性の正常値は15.8±4.5°です。
*下腿外旋位では脛骨粗面が外側に変位するため、Q-angleの増加がみられます。
*信頼性が十分ではなく、様々な所見から総合的に判断するようにします。

前内側回旋不安定性テスト(AMRIテスト)
①背臥位にて膝関節90°屈曲位を開始肢位とします。
②脛骨上端を把持し、前内側へ引き出します。
解釈:健側と比較し、脛骨が過剰に前内側へ引き出されれば陽性となります。
*前内側不安定性テスト陽性の場合、内側側副靭帯の後斜走繊維束の損傷が考えられます。

後外側回旋不安定性テスト(PLRIテスト)
①背臥位にて膝関節90°屈曲位を開始肢位とします。
②脛骨上端を把持し、後外側に押し込みます。
解釈:健側と比較し、脛骨が過剰に後外側へ落ち込めば陽性となります。
*開始肢位をとることは、後外側の不安定性を増すためです。
*膝窩筋(内旋作用あり)の損傷により、さらに過外旋します。

半膜様筋のトリガー組織判別テスト
①背臥位にて膝関節屈曲運動を自動介助で行い、その際、半膜様筋の収縮に伴う外側への移動を誘導します。
解釈:半膜様筋の圧痛消失、膝伸展制限が変化すれば、半膜様筋の過緊張による痛みや下腿回旋異常への影響が考えられます。
*半膜様筋の停止腱は、膝窩部で靭帯などに付着するため、半膜様筋の過緊張は膝窩内側の痛みや下腿の回旋異常の原因となることがあります。

膝窩筋のトリガー組織判別テスト
①腹臥位にて下腿内旋運動を自動介助にて行います。その際、収縮に伴う筋腹中央への移動を誘導します。
解釈:膝窩筋の圧痛が消失し、下腿回旋運動の変化があれば、膝窩筋の過緊張による疼痛(膝外側)や下腿回旋異常の影響が考えられます。

運動学的評価:膝関節外反不安定性

膝関節外反の不安定性を評価するには、「外反ストレステスト」を実施します。
屍体の膝を用いたものでは、膝関節屈曲30°で外反の不安定性が増大したとの報告があります。
膝関節30°屈曲位では、前十字靭帯の張力の影響を最小にできるため、内側側副靭帯の不安定性が正確に評価できるとされています。
膝関節後内側関節包の切除では、膝関節伸展位において外反の不安定性が大きくなると報告があり、外反ストレステストを行う際には膝関節屈曲角度に注意しながら、膝関節屈曲30°では内側側副靭帯損傷、膝関節伸展位では前十字靭帯や膝関節後内側関節包の損傷を考えます。
外反ストレステスト実施に際しては、膝関節内側裂隙の開大感も評価します。
膝関節内側裂隙の開大距離は以下になります。単位はmm。

屈曲角度

正常

Ⅱ度損傷

Ⅲ度損傷

3.08±0.94

5.36±2.33

7.80±2.45

30°

2.84±0.85

7.52±1.06

11.12±2.58

 

外反ストレステスト
①背臥位にて膝関節外側と下腿遠位部を把持します。
②膝関節外反を誘導します。
解釈:疼痛、膝の不安定性出現すれば陽性となります。
*内側側副靭帯は外反制動機能を有しますが、そこに対して外反を強制することにより伸長ストレスを加えています。
*筋緊張が高くなっていると、靭帯による外反制動機能の評価が正確にできません。
 筋緊張を低下させてから実施するようにします。
*膝関節屈曲角度によりストレスが加わる部位が変化するため、屈曲角度を変えて行う ことが大切です。

外反不安定性対するリハビリテーション
内側側副靭帯は静的安定化機構であるため、損傷による外反不安定性に対して直接的にリハビリテーションを行うことは不可能です。
そこで、動的安定性に関して鷲足の筋や半膜様筋、腓腹筋内側頭の筋力強化により安定性を改善していきます。
また、膝関節外反が出現しにくい動作を獲得するために、股関節や足関節などぜんたいのアライメントを把握しながら行っていきます。

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運動学的評価:膝関節屈曲拘縮

膝関節伸展制限の原因としては、膝関節屈伸軸の後方にある組織(半膜様筋、腓腹筋内側頭など)の短縮や伸長性の低下が考えられます。
不動4週間で40%程度が筋性の要素との報告があり、なかでも半膜様筋の影響が大きいと考えられています。
膝関節屈伸軸の前方の要素としては、膝蓋骨(膝関節伸展機構)の可動性低下が考えられます。

flexion contracture sign:
①背臥位にて下肢を脱力させます。
解釈:股関節外旋(+)で膝関節伸展制限が生じている可能性があります。

heel height difference:
①腹臥位にてベッド端から足部を出します。
②膝関節伸展位で脱力させます。
解釈:左右の踵の高さを測定(cmで)し、踵の高さが高い方が膝関節屈曲拘縮が存在します。1cmの差は関節可動域1°分になります。
*股関節の内外旋が生じると、踵の高さが変化するため、代償動作に注意します。

半膜様筋、腓腹筋内側頭に対するトリガー組織判別テスト:

半膜様筋
①背臥床位にて膝関節屈強運動を自動介助で行います。その際半膜様筋の収縮に伴う外側方向への移動を誘導します。

腓腹筋内側頭
①腹臥位にて足関節底屈運動を行い、その際に腓腹筋内側頭の収縮に伴い、膝窩内側で半膜様筋の深層に入る動きを誘導します。
解釈:半膜様筋、腓腹筋内側頭の圧痛が消失し、膝関節伸展可動域が改善すれば、半膜様筋、腓腹筋内側頭の過緊張が原因として考えられます。
*下腿外旋アライメントの異常がある場合、外側の大腿二頭筋などの影響が大きくなるため、膝関節のアライメントに注意しておく必要があります。

運動学的評価:股関節外転筋の筋力低下

股関節外転筋には中臀筋、小臀筋、大腿筋膜張筋があります。
筋力評価は徒手筋力検査法(MMT)に準じて行います。
股関節外転筋の筋力低下が生じている場合、中臀筋の筋力低下だけでなく、中臀筋と小臀筋が共同して働いているかを把握する必要があります。
股関節外転筋の筋力低下は、膝前面にも痛みを引き起こす可能性があります。

頸体角と股関節外転筋筋力:
大腿骨の頸体角は平均125°であり、頸体角の増減は股関節外転筋力の増減に関与します。

 頸体角が減少し内反した場合(内反股)は、大腿骨頭と外転筋のおもな停止部である大転子の距離が長くなり、股関節外転筋のモーメント・アームを増加させる。一方で中臀筋と小臀筋の起始と停止を近づけることになり機能的な長さを短くするので、外転筋の筋力の産生能を低下させ、”中臀筋跛行”の可能性を増大させる。外転筋の筋力低下は、増大した外転モーメント・アームによる高い外転トルク効果を相殺することがある。

運動機能障害の「なぜ?」がわかる評価戦略 P228

運動学的評価:下腿三頭筋筋力低下

下腿三頭筋の役割として、

足関節底屈筋は、歩行や走行において身体重心の前方への移動を制御し、上方への移動を促す上で重要になる。歩行の立脚中期から立脚後期にかけて生じる ankle rockerと forefoot rockerにおいて、下腿の前傾(足関節背屈運動)が生じる。重力によって下腿が前方に倒れていくわけだが、この下腿の前傾を制御するのが下腿三頭筋である。

運動機能障害の「なぜ?」がわかる評価戦略 P319

とあります。

happyhealth.hatenablog.com

happyhealth.hatenablog.com

踵の最大挙上運動(つま先立ち)を100%とした時、腓腹筋は78%、ヒラメ筋は86%の筋活動が要求されるとの報告があります。
歩行時にヒラメ筋の遠心性収縮力が十分でないと、下腿前傾の安定した制御が困難となり、大腿四頭筋ハムストリングスの筋活動が過剰になりやすくなります。
変形性膝関節症では、大腿四頭筋ハムストリングス腓腹筋の同時収縮が特徴的ですが、下腿三頭筋の筋力低下はこのような同時収縮をさらに高めてしまうことになります。

下腿三頭筋の徒手筋力検査(MMT

足関節底屈筋力の評価として、段階5には、片脚立位で25回以上の踵持ち上げ動作(つま先立ち)を25回以上行うことができれば良いとされています(新・徒手筋力検査法(第9版))。
踵の持ち上げ動作を25回行うことは、足底屈運動の最大筋活動の60%を引き出しており、健常者では25回が平均的な繰り返し可能な回数であったということから「段階5」が設定されています。

常歩行では最大筋力の約25%が必要とされ、これは踵上げでは5〜10回程度の繰り返す運動に相当する。この程度の回数しかできない症例では、1歩ごとに本人の最大筋力を用いることになるため、疲労により正常な歩行を持続することが難しくなる。

運動機能障害の「なぜ?」がわかる評価戦略 P319

運動学的評価:半膜様筋の収縮不全

半膜様筋のトリガー組織判別テスト:
①背臥位にて膝関節屈曲運動を自動介助で行い、その際、半膜様筋の収縮に伴う外側への移動を誘導します。
解釈:半膜様筋の圧痛消失、膝伸展制限が変化すれば、半膜様筋の過緊張による痛みや下腿回旋異常への影響が考えられます。
*半膜様筋の停止腱は、膝窩部で靭帯などに付着するため、半膜様筋の過緊張は膝窩内側の痛みや下腿の回旋異常の原因となることがあります。

内側膝屈筋群(半膜様筋、半腱様筋)の徒手筋力テスト:
徒手筋力テスト(MMT)において、内側膝屈筋群(半膜様筋、半腱様筋)について検査を行う場合の方法を示します。
①腹臥位にて膝90°以下で屈曲させ、下腿内旋位(つま先をうちに向ける)とします。
②足関節部分より膝関節伸展方向に抵抗をかけます。下腿は内旋位を保つようにします。
*外側膝屈筋群(ハムストリング)を検査するには、下腿外旋位とします。

半膜様筋の収縮不全とリハビリテーション
半膜様筋の収縮不全があると、膝関節屈曲に作用する大腿二頭筋の筋緊張が亢進している場合が多くあります。
このような状況では、下腿の外旋が増強し、膝関節屈曲運動を行ってもなかなか半膜様筋の収縮力は上がってきません。
そのため、下腿を内旋位として運動を行う必要があります。

運動学的評価:大腿四頭筋筋力低下

大腿四頭筋において、膝蓋骨の安定化の役割の中心を担うのは、内側広筋と外側広筋の バランスがとれていることにあります。
内側広筋の起始は大腿骨粗線内側唇(長頭)、広筋内転筋板(短頭)、停止は膝蓋骨を介して脛骨粗面になります。外側広筋の起始は大腿骨粗線外側唇、大腿骨の後面および下面、停止は膝蓋骨を介して脛骨粗面になります。
これら2つの筋の筋力評価を個別に実施することは困難となります。そのため筋力評価では徒手筋力検査法(MMT)に準じて筋力評価を実施します。

MMTの注意すべき点として,伸展肢位で抵抗をかけるbreak test では,伸展肢位の筋力しか反映していないという点がある. ADL動作やスポーツ動作では,膝関節屈曲位保持が重要になり,その際の大腿四頭筋の筋力が非常に重 要になる,市橋らは,closed kinetic chain (CKC)としての膝伸展筋力と. open kinetic chain (OKC)としての膝伸展筋力の違いを検討した結果,CKCでは膝関節屈曲45°・60°で最大に,OKCでは膝関節屈曲60°・75°で最大となり, 両者とも膝が伸展するにしたがって伸展筋力が低下することを報告している.

運動機能障害の「なぜ?」がわかる評価戦略 P279

このことから、膝関節伸展位の筋力評価のみでは、実際の動作時の筋力を反映できていない可能性もあり、膝関節の屈曲位での筋力評価を行う必要があります。

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大腿四頭筋の筋力増強のポイント:
内側広筋の筋力低下が著明な場合、筋力トレーニングにて屈曲位から強い負荷をかけ膝関節伸展運動を行うと、膝蓋大腿関節へのストレスが大きくなってしまい、痛みを強めてしまうことがあります。
内側広筋に対する収縮トレーニングとしては、大腿四頭筋セッテイングを行うことが有効になります。股関節肢位を変化させながら、内側広筋の収縮が入りやすい肢位を探索しながら行います。

運動学的評価:膝蓋下脂肪体

膝蓋下脂肪体拘縮が存在すると、膝蓋骨の動きが制限され、膝関節の運動において大腿四頭筋の過剰な収縮が生じてしまいます。
膝蓋下脂肪体の病変では、膝蓋骨近位部への移動が特に制限されるとされており、大腿四頭筋収縮時の膨隆の有無、膝蓋骨上方への移動の左右差を比較しながら評価を行う必要があります。

膝蓋下脂肪体拘縮に対するトリガー組織判別テスト:
膝蓋下脂肪体拘縮を鑑別する検査はありません。
下記のトリガー組織判別テストを用いて、膝蓋下脂肪体拘縮が疼痛に関与しているかの判断材料とします。
対象とする症状は、膝関節伸展(自動)運動時、膝関節屈曲(他動)運動時における膝蓋下の疼痛になります。

①膝関節軽度屈曲位(10°程度)を開始肢位とします。
②膝蓋骨下部で膝蓋靭帯の深層にある脂肪体を深層へ押し込むように指を入れ、近位・遠位、表層に動かします。
解釈:膝蓋下脂肪体の柔軟性に改善が見られ、対象とする症状(膝関節伸展(自動)運動時、膝関節屈曲(他動)運動時における膝蓋下の疼痛)の消失が確認されれば、脂肪体拘縮が問題であったと捉えます。
*膝蓋下脂肪体の柔軟性を獲得することで膝蓋骨の運動を正常化が正常化され、疼痛の軽減がみられます。 
*膝蓋支帯や皮膚の硬さがみられる場合、膝蓋下脂脂肪体に対する刺激が十分でなくなる可能性があります。手術で膝蓋下脂肪体に侵襲を加えた後には、膝蓋下脂肪体に対する柔軟性を獲得していく必要性があります。

膝蓋下脂肪体の柔軟性獲得のポイント:
膝蓋下脂肪体の柔軟性改善の獲得に向けてのポイントは、直接的に徒手誘導したり、膝関節軽度屈曲位にて膝蓋下脂肪体を徒手的に内・外側に圧迫したまま大腿四頭筋の収縮を促すことで、膝蓋下脂肪体の動きが誘導されることになり、柔軟性や滑走性の改善がみられやすくなります。

引用・参考文献