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高次脳機能障害による計算障害のリハビリテーション

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高次脳機能障害において、計算(足し算、引き算、掛け算、割り算)に困難を示す例が時折みられます。計算障害は根気よくリハビリを行うことで改善することもあります。今回、高次脳機能障害による計算障害のリハビリテーションについて、文献を参考にまとめていきたいと思います。

 目次

高次脳機能障害による計算障害のリハビリテーション

計算障害の概要

計算障害には、以下の要因によるものがあります。

①数字の失読、失書による失算
数字の読み書きが困難になることで起こる失算です。
失言語は伴うことも伴わないこともあり、左半球で特に頭頂葉損傷によるものとされています。

②空間性失算
無視、数字の配置の乱れ、数字の倒置(通常とは逆に配置する)など、数字の空間的な失敗により起きる失算です。 
よくみられるものとして、半側空間無視による2桁以上の数字の左(右)端の見落としがあります。
筆算で数字を書く位置がうまくいかないなどもみられます。

③失演算
①②に当てはまらないものです。

選択的機能障害
・数の表出障害
数の理解は保たれますが、数の表出が行えません。
ロ頭で言う、書くのいずれの場合にも現れ、表出すべき数や数字が他の数や数字に変わってしまいます。「にひゃくにじゆういち」を書くように言われて「215」などです。口頭計算、筆記計算において間違えても、答えの選択肢を与えると正答できることから、必ずしも計算が行えないというわけではありません。

・桁処理の困難さ
「にひゃくよんじゅうに」を書くように言われると「2042」などとなってしまいます。
数の理解は保たれている場合があり、その際には、2つの数字を聞かせて、どちらが大きいかを選択させることで評価が可能です。

・符号理解の障害
+、−などの符号の理解が行えません。

・演算能力の選択的障害
単純計算が行えません。ある患者では、数の知識(水の沸点温度)や代数処理(方程式など)は行える場合があります。

・演算の一部が行えない
加減乗除の一部が行えません。加算だけ行えて、他はできないなどです。

・数の概念の喪失
数をみても意味がわからない状態です。数は物の個数に対応する言葉などといったことがわかりません。

・算術的事実の想起ができない
「2+3=5」、「2×2=4」などは自動的に答えを思い出すことができますが、これを算術的事実の想起といい、これが行えない状態です。

・数値知識の想起ができない
誕生日、年齢、日付、1週間の日数、1年の月数、水の沸点温度などの知識が想起できません。

計算障害の評価

計算能力の評価の視点を以下に挙げます。
①+、−、×、÷の読み取りと書き取り
②+、−、×、÷の理解
③異なる桁の数字を縦に位取りに従って並べる
④1けたの加算
⑤減数(引くほうの数)と答えが1けたの減算
⑥1けたの乗算
⑦除数と答えが1けたの除算
⑧繰り上がり、繰り下がりがある計算(暗算、筆算)

高次脳機能障害の、数に関する障害の知識と評価 - 自分でできる体健やかブログ

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計算障害のリハビリテーションの例

繰り上がりの足し算
「5+7=12」の場合
説明①:
「7から5をとって5にくっつけると10になります。7から5をとった後には2が残っていますから、10と2をくっつけて答えは12になります。」
*説明のみでわからない場合、おはじきや数字のカードなどを使用し、数の分割や集合を視覚的に確認してもらいながら行います。
*計算式に数字を書き添えていきながら行う場合もあります。


説明②:
「5+7の「7」は 2と5からなるため、5+7=5×2+2と書き換えて、12となります。」

繰り下がりの引き算
13−7の場合
説明①:
「引かれる数13の一の位3に合わせ、引く数7を3と4に分けます。13から3を引くと10になり、残りの4も引くと6になります。」
*このように2回引く方法を、「減減法」と呼びます。

参考文献