自分でできる体健やかブログ

リハビリ専門職(作業療法士)の私が、肩こり、肩の痛み、腰痛、膝痛、骨盤トレーニングなど、「自分でできる」をキーワードに対策方法を伝授します。

自己教示法による遂行機能障害のリハビリ

【スポンサーリンク】

遂行機能障害では、衝動性や計画性の欠如から、考えずに行動するようなことがしばしば見受けられます。このような対象者に対しては、自己教示法が有効になる場合があります。今回、自己教示法による遂行機能障害のリハビリについて、文献を参考にまとめていきたいと思います。

 目次

自己教示法による遂行機能障害のリハビリ 

自己教示法とは

自己教示法は、元々多動児に対して行われていたものを、前頭葉損傷者に適応したものです。通常内的に行われる自己モニタリング過程を代償する内的補償の1つとなります。

内言による行動調整を重視したLuria(1981)の理論を基盤としたもので,これを用いた訓練では,課題遂行中の患者にその実行手順を逐次明瞭に外言化させることから始まり,訓練経過ともに徐々に外言化を弱め,内言化を導いていく.

柴崎 光世「前頭葉機能障害の認知リハビリテーション明星大学心理学年報 2012,No.30,23―40

自己教示法では、他の場面への般化も起こりやすいとされています。

Aldermanetal.(1995)は,自己モニタリング訓練による訓練効果は比較的ゆっくりとあらわれるものの,TOOTSやレスポンスコストといった行動療法的手法と違って,他の環境への訓練効果の般化が起こりやすいと述べている。

柴崎 光世「前頭葉機能障害の認知リハビリテーション明星大学心理学年報 2012,No.30,23―40

脱抑制や社会的行動障害のリハビリ:行動療法的アプローチ - 自分でできる体健やかブログ

【スポンサーリンク】
 

自己教示法の実際

Ciceroneらの症例(プランニング障害)では、自己教示法を週2回、1時間のセッションを計8週間行い、対象者に訓練課題を与え、それを実行する前と最中に、意中のプランを言葉に出して言うことを求めるようにしています。課題には「ロンドンの塔」を用いています。

自己教示法は3段階からなります。
第1段階:動かそうとするリングの動きとその理由を声を出して言うように対象者に説明します。実際に動かす時も、その動きを言語化させます(公然自己誘導)。

第2段階:同様に行いますが、今度は大声で言わずに、ささやき声で言うように説明します(公然自己誘導の漸減と内在化の漸増)。

第3段階:第1、第2段階と同様に行いますが、今度は声に出さずに自分自身に話しかけさせるように説明します(潜伏的、内的自己誘導)。

*全行程を通じて、対象者にプランニングと問題解決の各相(問題の明確化、目標設定、下位目標の同定、代替法の検討、結果の自己評価など)について、詳しく説明します。

管理されるべきエラーについては、①課題実施中の自己刺激的発声(口笛など)、②課題から外れた会話③課題から外れた行動④予定外のリング移動⑤不正な移動としています。

8週間の訓練において、標的行動は激減し、ロンドンの塔課題全16問を解く間にみられたエラー数は、介入前176、介入第1段階実施後106、介入第2段階実施後16、介入第3段階実施後2、4ヶ月後2と変化しました。
このことから、介入第1段階においても問題解決上のエラーを防ぐ役割があったことがわかります。
他の課題(ティンカートイテスト、迷路テスト、WAIS-R)においても訓練成果の転移が行われた評価したところ、譜ランニング能力を反映するティンカートイテスト、迷路テストでは成績が向上しましたが、WAIS-Rのサブテストでは変化が見られませんでした。

ティンカートイテスト(TTT)による遂行機能評価と結果の解釈 - 自分でできる体健やかブログ

このことから、自己教示法による訓練効果は、他の課題にも転移したことが考えられました。対象者からは「ちょっと待って、考えさせて」「他の方法があるかな」などとつぶやきが観察されたとしています。

引用・参考文献