自分でできる体健やかブログ

リハビリ専門職(作業療法士)の私が、肩こり、肩の痛み、腰痛、膝痛、骨盤トレーニングなど、「自分でできる」をキーワードに対策方法を伝授します。

問題解決訓練(PST)による遂行機能障害リハの概要と実施方法

【スポンサーリンク】

遂行機能障害リハビリテーションにおいて、問題解決訓練(problem solving training:PST)があります。問題解決訓練はある程度教示内容、指導手順、指導順序が決まっている、特定の指導原理にしたがって行われる構造化された訓練方法です。今回、問題解決訓練(PST)による遂行機能障害リハの概要と実施方法について、文献を参考にまとめていきたいと思います。

 目次

問題解決訓練(PST)による遂行機能障害リハの概要と実施方法

問題解決訓練の概要と実施方法

problem-Solving training ; PST (問題解決訓練)は、von Cramonらにより脳損傷者の訓練方法として開発されました。
問題解決訓練では、認知治療と行動療法を組み合わせたものだとされています。
前頭葉損傷者では、脈略がなく、行き当たりばったりな行動をする患者が多く見られますが、思路を整えて行動に移る訓練を行うための訓練方法です。
問題解決訓練の目標は。問題解決行動の5つの側面を強化することにあります。
①Problem Orientation (問題の見当づけ):
患者は問題を単純視する傾向があるため、与えられた課題を簡単には解けない“問題として認識するのを助けます。

②Problem Definition and Formulation(問題の定義と公式化):
情報をくり返し読みこみ、全体を理解したうえで、問題の主要点を書き出すことを学ばせます。

③Generating  Alternatives(代替案の案出):
できるだけたくさんの代替案を考えさせます。 ブレインストーミングのひとり版を行なわせるようなものです。

④Decision-making (決断):
複数の候補案の長所と短所、実現可能性をしっかりと考えたうえで決断することを学ばせます。

⑤Solution Verification (解決の検証):
失敗に気づくこと、それを修正すること、 最初の仮説にもどることを学ばせます。

これらの強化したい側面を学ばせるために、あらかじめ用意した課題が与えられます。①アイデアの産出、 ②関連、非関連情報の選別、 ③複合情報の処理などを行なう課題となりますが、具体的には、連想ゲーム・ある話題の賛成論と反対論を集めること(アイデアの産出)、”求む”広告の作成・ 聴講ノート作成(関連、非関連情報の選別)、時刻表/予定表の読み解き・短編探偵小説・クロスワードパズルなど(複合情報の処理)
です。
課題実施の際にはセラピストが付きさまざまなレベル・種類のキュー (促し、暗示、 手がかり、ヒントの類)を与え、解決に向かっていきます。
この技術を対象者が獲得できれば、複雑な問題解決過程の細分化や簡略化して対処しやすくなることが期待できます。
考えやすい課題内容として、「いくつかの旅行会社のパンフレットから、目的にあった家族旅行をみつける」などの課題があります。

【スポンサーリンク】
 

問題解決訓練(PST)の効果

von Cramonら(1991)の研究があります。
対象は、入院順に集めた脳損傷患者61名中、修正カード分類テスト (MCST)、ハノイの塔、自家製プランニング・テストが中央値以下を示した成績不振者たち 37 名です。
37 名を交互にPST 実施群と記憶訓練実施群に分け 、PST 実施群には6週間、25セッションのPST を実施し、記憶訓練実施群には同程度、同頻度で様々な記憶訓練(PQRST、視覚イメージ法、初頭文字法など)を行っています。
訓練効果は、各グループのテスト成績(ドイツ式知能テスト,ハノイの塔,自家製プランニング・テスト) が訓練前後で変化するかどうかで判定しています。
結果は、PST実施群ではどのテストにおいても訓練後の成績が訓練前と比較し有意に高かったが、記憶訓練実施群では有意の差を認めませんでした。連合対記憶の成績のについては、PST群では有意の変化を示しませんでしたが、記憶訓練実施群では有意の差があり、訓練後の成績が向上していました。
行動面の問題(障害のアウェアネス、目標志向性、問題解決能力など)については、PST群ではいくつかの項目で有意の変化がありましたが、記憶訓練実施群では有意の変化を認めた項目はひとつもありませんでした。
問題解決技能の獲得には、まず衝動性や過剰な情動反応を抑制するための自己調整訓練が必要と考えられており、問題解決場面での遂行能力の改善には、このような要因も影響すると考えられています。

引用・参考文献