自分でできる体健やかブログ

リハビリ専門職(作業療法士)の私が、肩こり、肩の痛み、腰痛、膝痛、骨盤トレーニングなど、「自分でできる」をキーワードに対策方法を伝授します。

前頭葉障害(行動開始困難)に対する行動促進のためのリハビリテーション

【スポンサーリンク】

前頭葉障害では、行動開始の障害が生じることがあり、日常場面で行動開始が困難になると、予定していた時刻に遅れてしまったりと、日常生活上不具合が生じることがあります。今回、前頭葉障害(行動開始困難)に対する行動促進のためのリハビリテーションについて、文献を参考にまとめていきたいと思います。

 目次

前頭葉障害(行動開始困難)に対する行動促進のためのリハビリテーション

引用・参考文献

柴崎 光世「前頭葉機能障害の認知リハビリテーション明星大学心理学年報 2012,No.30,23―40

チェックリストの利用

チェックリストを利用した治療的介入では、食事の際の準備や台所の掃除など、日常生活課題がリストアップされたチェックリストを使用します。
課題ごとに、うまくできれば褒める、決められた時間内に動作が起こらい、または不適切動作が起こる場合はキュー(促し、暗示、手がかり、ヒントなど)を与える、などの訓練があります。
Katzmannらによると、このような訓練においては、毎回の褒め言葉や強化報酬がなくても、成功それ自体が報酬として働くとされています。

 

言語的促しと強化報酬の組み合わせ

Gilesらは、朝の身体洗いと更衣を行うことができない外傷性脳損傷者、または脳炎罹患者に対し、言語的促しと強化報酬を用いて訓練を行っています。これは行動療法的アプローチに属しています。
ベースライン測定において、毎朝の促しに反応しないか、もしくは著しく遅い行動ももって応じるか(約3時間)が対象となっています。
訓練は週5日、1回30-60分かけて実施されました。期間は11-22週間です。
方法は、まずは言語的促しにより実行の機会を与え、目あての行動が起こらない場合、対人的交流が起こらないように注意しながら身体的介助のみを与えます。それにより目あての行動が起こった場合すぐに賞賛を与え、同時に実質的報酬(通常はチョコレート、ときに外出権と交換できるトークンなど)を与えました。
改善に伴い、細かな動作ごとの促しは、より大きな動作群の促しに変更されました。
不適切な行動や注意をひきつけるような行動をした場合は、その場でのタイム・アウトを、暴力行為に及んだ場合は別室へ連れ出すタイム・アウトを行いました。
すべての患者(4名)において成績が改善しました。最も好成績をおさめた患者では、10週目には物理的手助けも言語的促しも必要としなくなりました。しかし、監視をも必要としなくなるまでにはさらに4か月が必要であったとのことです。訓練終了後10ヶ月目の検査において、身体洗いと更衣に関する限り、自立を維持していたといいます。

【スポンサーリンク】
 

モデリング(動作見本)

本田(1997)は、 行動始動障害に対し、動作見本の効果を報告しています。
前頭葉損傷者にしばしば見られる模倣行動を逆手にとったものです。
日常生活活動において、身体機能的には可能ですが、食事以外はすべて妻の指示を要している患者へのアプローチとなります。
問題は「開始」にあることがわかり、妻に促され、最初の動作を行なってしまえば(例えば歯ブラシを握る)、その後自ら歯磨き動作を行い、必要なときに終了できるという評価でした。
この患者に対し、妻をキーパーソンとし、家庭内で起床後の眼鏡かけ・歯磨き・洗面 の訓練を実施することにしました。
「眼鏡をかける」は、布団の脇の決まった位置にセットしておくと自らそれをかけることがあり、その際に大げさに賞賛を与えていたところ、それのくり返しでやがて自立に至りました。
歯磨き動作では、偶然妻が歯磨きをしながら本人の前に立ったところ、突然本人が洗面所に向かい、歯磨きを開始するということがありました。
それを継続すると、妻が前に立つだけで歯磨きを開始するようになり、7か月後には妻からのキューなしに自発的に歯磨き動作を行なうようなりました。歯磨き動作の自立伴い、洗面動作も自立したとのことです。

行なうべきことを自身で考え行なうための質問法

前田ら(2009)は、行動開始障害を呈した脳炎後遺症者の復職へのアプローチを行っています。
対象者が復職に向けて行なうべきことを自分自身で考え、自ら行動に移すために、初めから対象者に対して具体的な行動を提示・提案するのではなく、まずは復職に関する漠然とした質問を行い、それに対して答えが得られない場合、より具体的な質問を行っていき、それでも答えが得られない場合「◯◯をしてみてはどうか」と提案するという訓練を行いました。
訓練開始2週目から支援者からの提案は必要ではありましたが、提案された内容を対象者自ら工夫して行なう様子がみられ、開始1か月半後には具体的な提案がなくても対象者自ら主治医や会社の上司と連絡をとり、復職に向けた調整を行なうようになりました。

【スポンサーリンク】