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認知症に対する各認知機(神経心理学的)検査のカットオフ値

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認知症のスクリーニング検査にはMMSEHDS-Rなどがあります。また、認知機能障害の程度や進行度の把握に使用される検査にはリバーミード行動記憶検査、Rey聴覚性言語学習検査、Rey複雑図形検査、ベントン視覚記銘検査などがあります。今回、認知症に対する各認知機(神経心理学的)検査のカットオフ値について、文献を参考にまとめていきたいと思います。

 目次

 認知症に対する各認知(神経心理学的)検査のカットオフ値

引用・参考文献

MMSEのカットオフ値

認知機能障害のある患者の83.8%,アルツハイマー認知症患者の95.8%が23点以下,健常者の93.3%が24点以上の成績を示したことから,23/24点をカットオフ値とすることが望ましい と報告している(森ほか,1985). そのカットオフ値の感度は83%,特異度は93% であり,高い精度を有する検査であるといえる.

運動による脳の制御 P104

このカットオフ値は学歴や職業歴に影響を受けるとされており、高学歴者においては初期認知症を見逃すこともあります。
教育歴の少ない者においては計算や読み書きなどの成績不良により認知症と診断される傾向が強くなります。
認知症の軽度もしくは初期の方では感度が低く、 20点以上の認知症群に対しては感度が50%程度まで低下してしまうとの報告があります。
実施にあたっては年齢、教育年数、生活状況に関する情報の評価も含めた総合的な判断が求められます。

HDS-Rのカットオフ値

カットオフ値を20/21とした場合に.感度は93%と特異度は86%であり, MMSE と比較しても認知症の弁別力は高いとされる(加藤ほか,1991).

運動による脳の制御 P105

認知症が中等度に進行し記銘力が低下した者では、5物品の記銘と即時再生課題がの得点低下により、MMSEよりも得点が低めになることが多くあります。

聴覚提示される単語の記銘に対して,物品 は目前に視覚提示されるため. 記銘に動員される感覚様式が異なり,聴力が低下し た高齢者では. 単語の再生よりも物品の再生で成績が回復する場合がある.

運動による脳の制御 P105

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MMSEでは聴覚提示の項目が多く、聴力低下が成績低下につながることがあります。
HDS-Rでは視空間認知の評価がないため、補助検査が必要となります。

リバーミード行動記憶検査の認知症から捉えたカットオフ値

スクリーニング点合計(12点)のカットオフ値を5/6点に設定した場合,度81.8%,特異度%.2%と高い鑑別力をもつことが報告されている(松井2002). また,松田らは,軽度のアルツハイマー認知症患者46名と年齢,育歴をマッチングさせた健常者46名を対象としてRBMTの検査を行い ,13/14をカットオフ値とした標準プロフィール得点で,アルツハイマー認知症患者の98.8%と健常者の95.7%を,5/6をカットオフ値としたスクリーニング得点で, アルツハイマー認知症患者の97.8%と健常者の95.7%を正しく分類できたことを示した(松田ほか,2002).

運動による脳の制御 P106

標準プロフィール得点やスクリーニング点は観察での日常生活上の健忘症状の程度と有意に相関しており、日常での記憶の評価に有用だとされています。

Rey聴覚性言語学習検査の認知症から捉えたカットオフ値

192名のMCI高齢者を3 年間追跡調査した ところ,RAVLTの試行Ⅰ〜Vの合計点が33以下であった場合には,アルツハイマー認知症への移行リスクが高かったことが報告されている. また,認知症のない高齢者116名を2年間追跡し,RAVLTとアルツハイマー認知症発症の関連性を分析した報告によると,試行VI のスコアが0,または試行VI (干渉後再生)における 忘却単語のパーセンテージ(試行VI-試行V/試行Vx 100)が75%以上の場合にアルツハイマー認知症の発症リスクが高かったとされる(Estevez-GonZaleZ et al 2003)

運動による脳の制御 P108

信頼性の高い指標は試行I〜Vの合計点、試行Vおよび遅延再生課題の正答数です。
以下の指標は信頼性は劣るものの、 試行I〜VのリストA即時再生では、即時記憶容量を測定可能で、正確な再生単語数から学習曲線を描くことができます。通常は試行を繰り返すと高齢者でも再生単語数が漸増しますが、アルツハイマー認知症者では増加がほとんどなく、フラットに近い学習曲線になるとされています。
再生に加え再認課題を行うことにより、記銘の問題なのか、想起の問題なのかを判別します。
単語の想起に問題がある場合、試行VIよりも再認課題の得点が高くなります。
記銘自体に困難がある場合、試行VIと再認課題の正答数は同程度となります。
試行I〜Vの即時再生の成績は加齢に伴い低下しますが、再認課題ではあまり変化はみられません。このことから、高齢者の場合では記銘力と比べて想起能力低下が問題になりやすいとされています。

Rey複雑図形検査の認知症から捉えたカットオフ値

中国で行われた年代別平均値と標準偏差を算出した研究では51〜61歳では9点以下,61〜70歳では6点以下,71〜80歳では0点以下をMCIの半定基準としています(教育歴8〜15年)。

この判定基準によるアルツハイマー認知症への移行率は, 1年あたりで18%であったとされる(Guo et al 2009) 

運動による脳の制御 P110

この検査では視覚性記憶だけでなく、視覚認知、視空間構成、運動機能(巧級性)も関係している評価であり、成績低下があった場合、どの要素による成績低下なのか、もしくはこれらの要素の相互作用によるものなのかなど様々なことが考えられ、解釈を複雑にしています。
臨床においても、知覚や視覚運動、巧級性などの要素や、課題への反応の性質について注意する必要があります。
この検査では複雑な言語的教示が必要でなく、被検者は課題内容の理解が容易となるため、言語性記憶検査と比較して教育歴や文化的背景の影響を受けにくいとされています。

Guo らは,ROCFを用いた基準によりMCIを判定したところ,物忘れ外来を受診した対象者のうち27%が該当したが,2年後の再調査ではそのうち55%が健常値を示したことを報告している(Guo et al., 2009) .WMS-RLM (11%)に比較すると,正常へと戻る割合は顕著に高く,ハイリスク判定のための評価指標としての欠点と考えられる.

運動による脳の制御 P110

ベントン視覚記銘検査の認知症から捉えたカットオフ値

認知症でない1,425名のBVRTの成績とアルツハイマー認知症の関連について前向きに調査した研究によると,誤謬数が6以上であった場合,5以下の場合に比較して1-3年以内の発症では5.7倍,3-5年以内では2.1倍,5-10年では1.8倍,10-15年でも1.8倍発症リスクが高かったと報告されており,発症の10年以上前から予測が可能な精度の高い指標であると考えられている(Kawas et al., 2003) .

運動による脳の制御 P111

検査スコアの中で、正確数は全般的成績水準の評価に用いられ、誤謬数は質的分析のために用いられます。
施行A・Bでは刺激図版の提示時間に違いがありますが、どちらも即時記憶課題といえます。
施行D に関しては干渉手続きがなく、間隔も15秒で即時記憶課題といえます。
施行Cは模写課題で、即時記憶を評価はできません。 しかしこの課題では被検者の視空間構成機能や視空間的把握能力の評価は行えます。
この検査では難聴や失語、手指巧緻障害があっても実施が可能で、テストへのモチベーションが低い者でも遂行可能で拒否が少なく、非言語性テストのため教育歴や社会的背景の異なる者に用いることが可能です。

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