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リハビリ専門職(作業療法士)の私が、肩こり、肩の痛み、腰痛、膝痛、骨盤トレーニングなど、「自分でできる」をキーワードに対策方法を伝授します。

肩外側の痛みの部位同定法:三角筋・三角筋下滑液包(SDB)

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肩外側の痛みの原因として、肩外側に加わる伸張・摩擦ストレスが挙げられます。伸張・摩擦ストレスにより痛みが生じている場合、三角筋三角筋下滑液包(SDB)が痛みを引き起こしている部位として考えられます。今回、肩外側の痛みの部位同定法として、三角筋三角筋下滑液包(SDB)の疼痛誘発テストについて、文献を参考にまとめていきたいと思います。

 目次

 肩外側の痛みの部位同定法:三角筋三角筋下滑液包(SDB)

引用・参考文献

肩外側の痛みと伸張・摩擦ストレス

肩甲上腕関節において、屈曲・伸展・内転運動が起こる際、肩関節外側に伸張スト レスが生じます。
肩関節屈曲運動においては上腕骨頭は関節窩に対し下方への滑り運動が起こり、伸展運動においては前方に転がりながら上方へ滑る運動が起こります。内転運動においては上方への滑り運動が生じます。

肩関節外側・後面に付着する軟部組織の伸張性が低下している場合,肩関節外側に加わる伸張ストレスは増強する. また,肩甲上腕関節が鳥口肩峰アーチをくぐり抜ける際,肩関節に摩擦スト レスが加わる. 摩擦ストレスによって疼痛が出現している場合,第2 肩関節の機能が低下していると考えられる.

運動機能障害の「なぜ?」がわかる評価戦略 P45

伸張・摩擦ストレスによる痛みの部位には、三角筋三角筋下滑液包(SDB)に由来する機能傷害が考えられます。
三角筋三角筋下滑液包に問題がない場合は,腋窩神経に問題があると考えます。

三角筋三角筋下滑液包(SDB)に痛みが生じるメカニズム

三角筋は鎖骨外側1/3、肩峰、肩甲棘から起始し、上腕骨三角筋粗面に停止します。
それぞれ鎖骨部(前部線維)、肩峰部(中部線維)・肩甲棘部(後部線維)に分けられます。
三角筋は肩関節下垂位において、前部線維は屈曲・内旋、中部線維は外転、後部線維は伸展・外旋に作用します。
90°外転位において、前部線維と中部線維の前方部は水平屈曲、後部線維と中部線維の後方部は水平伸展に作用します。
三角筋は腱板筋群とともに働くことで肩関節運動が十分なものとなりますが、棘上筋と三角筋のforce couple機構が重要になります。

棘上筋に断裂や麻痺が生じると,関節窩に対する上腕骨の支点形成力が弱まり, 肩甲上腕関節での関節包内運動に変化が生じるため,完全な外転運動が困難になる.また,三角筋自体に麻陣や断裂が生じた場合は,棘上筋で肩甲上腕関節の外転を完全に担うことはできるが,トルクは減少する.そのため肩関節を自在に動かすには,両者が共同して働く必要がある.

運動機能障害の「なぜ?」がわかる評価戦略 P46

棘上筋と棘下筋を切除したときの方が、棘上筋のみ切除よりも、上腕骨頭の上方変位が大きいとされており、棘上筋や棘下筋の機能低下により肩関節外転運動における三角筋への負荷が大きくなることが予測されます。
肩の関節の慢性的障害では三角筋筋萎縮を伴うことが多いとされています。

三角筋下滑液包(SDB)は、三角筋と棘上筋、上腕骨頭との間の摩擦制限のための緩衝作用の役割を有している、滑動性の高い組織です。
肩峰下滑液包(SAB)は肩峰下だけでなく三角筋下、鳥口突起側へと大きく広がります。

SABとSDBがほとんど交通しているのに対し. 85%の烏口下滑液包は独立している. そのため,SDBで生じる疼痛とSABで生じる疼痛を厳密に区別するのは困難である.

運動機能障害の「なぜ?」がわかる評価戦略 P46

正常な肩関節のSABからは多くの知覚神経終末があり、多くの自由神経終末とともにRルフィニ小体やゴルジ小体などのメカノレセプターが存在するとされています。
疼痛受容器である自由神経終末は、腱板、SAB、烏口肩峰靭帯に多くあることから、これらに対し伸張・摩擦ストレスが加わることで、運動時痛や夜間時痛が生じると考えられます。
SDBの滑動制限が起こると、三角筋や回旋筋腱板の収縮により摩擦ストレスが発生し、滑液包に疼痛を引き起こすことが考えられます。

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三角筋の触診法 :鎖骨部(前部線維)

三角筋は上腕の最表層にあります。
三角筋前部線維の起始部は鎖骨外側1/3で、上腕骨三角筋粗面に停止します。
座位にて上肢の重みを把持して行い、 起始部は鎖骨外側1/3の所に指を置き、屈曲動作を反復し収縮を確認していきます。
屈曲角度が大きくなると、収縮を強く感じ、そのまま上腕骨中央の三角筋粗面へと触れていきます。
肩甲骨を固定により肩関節伸展・外旋方向に伸張して伸張痛が確認されれば、三角筋前部線維の伸張性低下を疑い、圧痛所見があればスパズムを疑います。

三角筋の触診法 :鎖骨部(中部線維)

三角筋中部線維の起始は肩峰に位置します。
肩関節を外転により中部線維を収縮させ、鎖骨部と肩甲棘部の筋間を触り分けていきます。
中部線維の筋腹が確認できれば、肩関節90°外転位にて水平屈曲(前方部分の収縮を強く感じる)・水平伸展(後方部分の収縮を強く感じる)させ、前方部分と後方部分を触り分けます。
前方部分の伸張では肩甲骨を固定し、肩関節を軽度伸展位にて内転させます。
後方部分の伸張では肩関節軽度屈曲位より肩関節を内転さます。
伸張痛があれば三角筋中部線維の伸張性低下を疑い、圧痛所見があればスパズムを疑います。

三角筋の触診法 :鎖骨部(後部線維)

三角筋後部線維の起始部は肩甲棘にあります。
腹臥位にて肩関節90°外転位させ、水平伸展運動を反復しながら三角筋後部線維の収縮を確認します。
肩甲骨を固定し、肩関節を90°屈曲・内旋45°から水平屈曲させ、伸張痛があれば三角筋後部線維の伸張性低下を疑い、圧痛所見があればスパズムを疑います。

三角筋下滑液包(SDB)の触診法

三角筋下滑液包は三角筋の深くに位置しており、触診は不可能です。
代わりに、三角筋全体を把持し前後に動かすことで、三角筋の滑動性を確認することは可能です。

三角筋三角筋下滑液包の疼痛誘発テスト

整形外科的テストは存在しないため、触診や筋収縮による収縮時痛、伸張による伸張時痛などの疼痛が再現できるかを確認します。
肩峰下滑液包と同様にインピンジメントを引き起こした際に疼痛が誘発されるかを判断する検査を行い,疼痛部位が肩峰下になるか,肩外側になるかを確認します。 疼痛が肩峰下にある場合、肩峰下滑液包の解剖学的評価行います。

肩上方の痛みと肩峰下インピンジメントの評価 - 自分でできる体健やかブログ

三角筋下滑液包に対するトリガー組織判別テスト

三角筋下滑液包を対象とし、肩外転・挙上運動時の肩外側の疼痛を対象の症状とします。
①端座位あるいは背臥位にて、一方の手で上腕骨骨幹部を固定し、 もう一方で三角筋を後部から中部にかけてつかみます。
②その状態から三角筋を前後に滑べらせます。 肩関節外旋運動により棘下筋の収縮を促しながら行います。
解釈:挙上時の肩外側痛の軽減が認められれば、 三角筋下滑液包の疼痛があったと判断します。
三角筋下滑液包は三角筋と上腕骨、 棘下筋・小円筋の停止部間にあります。これらの滑走性の改善は、摩擦ストレスを軽減することができます。

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