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膝前面の痛みの同定法:膝蓋靭帯・膝蓋支帯

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膝前面の痛みの原因として、膝前面に加わる伸張ストレスが挙げられます。伸張ストレスにより痛みが生じている場合、膝蓋靭帯・膝蓋支帯が痛みを引き起こしている部位のひとつとして考えられます。今回、膝前面の痛みの同定法として、膝蓋靭帯・膝蓋支帯について、文献を参考にまとめていきたいと思います。

 目次

膝前面の痛みの同定法:膝蓋靭帯・膝蓋支帯

膝前面の痛みと伸張ストレス

日常生活上の動作での膝関節の角度について、

膝関節は伸展位で動作をすることは少なく、屈曲位で姿勢を保持する課題が要求されることが多い。

運動機能障害の「なぜ?」がわかる評価戦略 P256

とあります。
膝関節屈曲位での動作は、床反力は膝関節後方を通過するので、膝関節には内部伸展のモーメントが作用します。この時の立位姿勢が後方重心になると、膝関節に対して床反力がさらに後方を通過し、より大きな伸展モーメントが必要になります。
過剰な伸展モーメントは、大腿四頭筋の過剰収縮により膝関節前面組織に伸張ストレスが生じやすくなります。
スクワットやしゃがむ動作において痛みが生じる場合、膝蓋靭帯・膝蓋支帯に由来する機能障害をひとつの可能性として疑います。

膝蓋靭帯・膝蓋支帯に痛みが発生する解剖学的要因

膝蓋靭帯(大腿四頭筋の停止部)は、大腿四頭筋が膝蓋骨を介して延長した線維東のことをさします。
膝蓋支帯は、内側広筋の線維が膝蓋骨を介さず脛骨に付着する線維を内側膝蓋支帯といい、 外側広筋の線維が膝蓋骨を介さずに脛骨へ付着する線維を外側膝蓋支帯といいます。
膝蓋靭帯は大腿四頭筋腱が膝蓋骨に付き、さらに遠位方向に線維を伸ばし脛骨粗面に付きます。
膝蓋靭帯の骨付着部での骨梁構造と組織学的所見について、

膝蓋骨の近位には内側・中間・外側で力の作用方向と機械的ストレスのかかり方が異なり,外側と比べて,内側・中間のほうが大きな力がかかることを報告している. また,動作時に膝関節の外反が増大すると,膝蓋靭帯の内側が伸張される.これらのことから膝蓋靭帯の中でも内側部に伸張ストレスが生じやすくなっている.

運動機能障害の「なぜ?」がわかる評価戦略 P256

膝蓋靭帯炎症では、一度炎症を起こすと、再度炎症や落痛を引き起こしやすい状態となることが指摘されています。病態としては、ムコイド変性、フィブリノイド変性、新生血管を伴うコラーゲン線維の配列の乱れなどが生じるとされています。
膝蓋支帯は、内側と外側支帯があり、これらは関節鏡手術での侵襲部位となっており、術後の拘縮が生じやすくなります。
膝蓋支帯の伸張性低下では、膝蓋骨の運動制限が起こり、膝蓋骨周囲の軟部組織の痛みを生じさせます。

膝蓋靭帯・膝蓋支帯の触診

膝蓋靭帯:
膝関節屈曲位にて、膝蓋骨下部〜脛骨粗面までの間に、緊張した靭帯を触知することが可能です。

膝蓋支帯:
膝蓋靭帯の両側に指を置き、大腿四頭筋の収縮でその張力を受けて支帯が膨隆するので、それを指で触知することが可能です。

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膝蓋靭帯・膝蓋支帯の疼痛誘発テスト

膝蓋靭帯や膝蓋支帯の疼痛に対する特別な検査はありません。
膝蓋靭帯炎では好発部位があり、 圧痛所見確認において、膝蓋骨を上方から下方に向かって押し、 膝蓋骨下極と膝蓋靭帯の近位内側の圧痛所見を確認することで、膝蓋靭帯炎の所見を確認可能です。

squatting test

①立位にて検査側の下腿近位を把持しておきます。検査する側の下腿を前傾(反対側のアキレス腱を伸ばすような肢位)させます。
解釈:痛みの有無や不安感を評価します。
*つま先の向きと膝関節の方向が同じものはneutral testと呼ばれます。
*つま先の向きに対して膝関節が外を向く肢位では、膝関節外側組織に伸張ストレスをかけることができ、knee out-toe in testと呼びます。
*つま先の向きに対して膝関節が内を向く肢位では、膝関節内側組織に伸張ストレスをかけることができ、knee in-toe out testと呼びます。
*足底部は地面に接地している必要があります(回旋の影響を知るため)。

膝蓋靭帯・膝蓋支帯に痛みが生じる運動学的要因

股関節伸展筋(大臀筋)はスクワットなどの動作において股関節伸展モーメントを生み出し、動作中の骨盤前傾位保持に作用します。大臀筋の筋力低下が生じると、骨盤後傾し、後方重心となりやすいため、膝関節伸展モーメント増大により膝関節前面に伸張ストレスが生じます。
腸腰筋は腰椎の前弯保持や骨盤前傾位保持の役割があります(腰椎・骨盤から起始して大腿骨に付着する)。腸腰筋の筋力低下により、スクワット動作での腰椎・骨盤前傾位保持が困難になると、腰椎後弯・骨盤後傾し後方重心となります。
足関節の背屈可動域制限では、荷重した際の下腿前傾が制限されます。下腿前傾が制限されると重心の前方移動が困難となり、後方重心となります。
大腿四頭筋の伸張性が低下すると、脛骨粗面への伸張ストレスを大きくさせてしまいます。
大腿四頭筋の筋力低下があると、大腿四頭筋の伸張性低下につながります。膝関節伸展モーメントは、靭帯や支帯、筋膜などの組織(非収縮性)が発生する張力も関与します。筋収縮が不足すると、非収縮性組織にストレスが大きくかかってしまいます。

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引用・参考文献