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リハビリ専門職(作業療法士)の私が、肩こり、肩の痛み、腰痛、膝痛、骨盤トレーニングなど、「自分でできる」をキーワードに対策方法を伝授します。

高齢者に対する筋力増強とスロートレーニングの実践法

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高齢者に対する筋力トレーニングでは、高い負荷量をかけてトレーニングを行うことは関節障害のリスクや血圧管理などの安全性において、導入が困難となることがあります。一方、スロートレーニングの有効性が示されており、これを用いることで高齢者に対する筋力トレーニングの幅が広がることになります。今回、高齢者に対する筋力増強とスロートレーニングの実践法について、文献を参考にまとめていきたいと思います。

 目次

 高齢者に対する筋力増強とスロートレーニングの実践法

引用・参考文献

長谷 公隆「身体的フレイル・歩行障害(変形性疾患等)」Journal of CLINICAL RRHABILITATION Vol.26 No.3

フレイルとサルコペニア

フレイルとは、ストレッサーに対する脆弱性が進行性に存在する状態をさし、介護予防の観点ではその増悪因子を除くことが重要になります。
高齢者では身体的フレイルの原因としてサルコペニアがあります。サルコペニアの特徴は筋肉量の減少と筋力低下、歩行速度等の身体機能の低下にあります。

筋肉量は24歳をピークに,50歳を超えると年1%, 80歳までで30%減少する.この加齢に伴う生理的変化に身体活動に影響を及ぼす疾患や栄養等の問題が加わることで,身体的フレイルへ陥りやすくなる.過栄養,特にBMI 30kg/㎡以上の肥満の存在も,身体的フレイルの原因として重視されて いる.

 長谷 公隆「身体的フレイル・歩行障害(変形性疾患等)」Journal of CLINICAL RRHABILITATION Vol.26 No.3

 

どのくらいの運動を行うと良いのか

WHOによると、非感染性疾患(脳卒中、糖尿病など)やうつ、認知障害発症のリスクを減らし、健康維持のために必要な身体活動として、

週当たり150分の中強度有酸素身体活動、または、75分の高強度有酸素身体活動を少なくと も10分の持続時間で行うこと,活動量が低下している場合は週3 日以上のバランス改善,転倒予防の身体活動を行うこと,筋力増強を目指す身体活動を週2日以上行うこと

 長谷 公隆「身体的フレイル・歩行障害(変形性疾患等)」Journal of CLINICAL RRHABILITATION Vol.26 No.3

を推奨しています。

スロートレーニングの有効性

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前途したような、レベルの身体運動をいきなり高齢者に行うことは難しいことがあります。
そのような場合、負荷量を抑えた中での骨格筋肥大を得ることができるスロートレーニングの有効性が提唱されています。
スロートレーニングは、抗重力運動を「3秒挙上、1秒保持、3秒下降」というゆったりとしたリズム・ペースで反復することにより、求心性収縮運動と遠心性収縮運動を一定時間継続して行う方法です。

持続的な筋内圧上昇がもたらす血管閉鎖作用によって科学的刺激を加えると同時に、遠心性収縮による機械的張力と筋の微小損傷を誘導する。
〜中略〜
8〜10回1セットとして2〜3セット/日、2〜3回/週で実施する。
遠心性収縮を課すこととなる抗重力筋には必ず筋痛が生じること、それによって筋肥大が得られてくることをしっかりと説明し、関節障害による疼痛を鑑別しながら負荷量を調整し、筋力改善を図る。

 長谷 公隆「身体的フレイル・歩行障害(変形性疾患等)」Journal of CLINICAL RRHABILITATION Vol.26 No.3

スロートレーニンングがしっかりと実施できるようになれば、高速での筋力トレーニングを行います。
これは、日常生活活動に関与する筋パワー(筋力×距離/時間)の増加には高速でのトレーニングが必要となるためです。

スロートレーニングの実践法

トレーニング前にはストレッチを行います。
体幹のストレッチ
腹筋:腰部にクッションを挟み、腰椎軽度前弯するように固定しながら体を後ろに反らせます。
回旋:腰部にクッションを挟み、回旋方向と逆の上肢で回旋側の椅子の背もたれを持ちます。

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出典:長谷 公隆「身体的フレイル・歩行障害(変形性疾患等)」Journal of CLINICAL RRHABILITATION Vol.26 No.3
*以下の図も同様の出典

②股関節のストレッチ
股関節外旋:足を組み、股関節90度屈曲位で股関節外旋させます。

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ハムストリングス大腿四頭筋のストレッチ
ハムストリングス:開脚し、伸ばしたい方の下肢側に体を向けて膝を押します。
大腿四頭筋:前後に開脚し、伸ばしたい後方の下肢の膝を曲げます。

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④アキレス腱のストレッチ
膝屈曲位:浅く座り、反対側の下肢を前方に位置させ、同側下腿を後方に位置させ、大腿を前下方に押します。
膝伸展位:壁から離れ(約30cm)向かって立ち、膝伸展位のまま腹部を壁に近づけます。

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スロートレーニング
①椅子座位での股関節運動
椅子座位で片足を床から浮かし、その後保持して降ろします。
*床につく前に再び股関節を浮かします。
*セラバンド、手で膝を押して抵抗量を増やします。

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②スクワット
椅子の背を持ち上体を前傾させます。臀部を後方に引くようにゆっくりしゃがみ、膝屈曲位で保持し、ゆっくりと立ち上がります。
*膝が完全に伸びきる前にしゃがみこみを始めます。
*膝屈曲角の変化や、鍛えたい下肢に荷重を移動させることで負荷量を増やします。
*膝関節の負担を考慮すると、上体を前傾させること、両膝を開かないことに注意します(膝外向きでは膝関節内転モーメント増大により膝内側の痛みが生じやすい)。膝関節への負荷は120度屈曲より大きくなるため、膝関節疾患がある場合100度程度で行います。

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③仰向けでのお尻上げ
仰向けで膝を立て、足底で床を支持しながら臀部をゆっくり浮かし、保持してゆっくりと降ろします。
余裕があれば、片足で支持しながらお尻を上げていきます。
*臀部が床に着ききる前に再度臀部を上げていきます。

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④かかと上げ(ヒールレイズ)
椅子の背を持ち、立位で床からゆっくりとかかとを上げ、保持し、ゆっくりと降ろします。
*かかとが床につく前に再度かかとを上げていきます。

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⑤セラバンドを用いた下肢屈曲、伸展
椅子に座り、足底にセラバンドを引っ掛けて、下肢の屈曲・伸展を行います。

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セラバンド

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