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高次脳機能障害と家族支援のポイント

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前頭葉損傷などによる高次脳機能障害では、家族への支援も対象者やその家族が生活を送っていく上では重要です。家族の対応により、対象者の負の心理反応が生じることも考えられ、また家族がストレスを受け、支援を継続することに否定的になる可能性もあります。今回、高次脳機能障害と家族支援のポイントについて、文献を参考にまとめていきたいと思います。

 目次

 高次脳機能障害と家族支援のポイント

家族の心理への配慮

前頭葉損傷による社会的行動障害などでは、他の高次脳機能障害失語症など)と比較して障害像がわかりづらいことがあります。
そのため、対象者との接し方やコミュニケーション場面で交流が滞ると家族に負の心理が生じる可能性があります(対象者にも負の心理反応は生じる)。

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対象者の言動や行動を理解できないことによる困惑や不安、思うように対応できないことからの欲求不満、様々な対応をしても効果がない場合無力感・抑うつを抱きやすくなります。そのため、家族への配慮、対応も必要になります。

家族指導(説明)のポイント

社会的行動障害の診断名を説明するだけでは家族は何に注意をすればよいかはわからず、イメージも湧きません。
具体的な説明と実践的指導のポイントには以下のようなことが含まれます。
①社会的行動障害の基盤にある症状
②負の心理反応と逃避・回避行動の発生のメカニズム
③日常場面での問題の生じ方
④問題への具体的な対応方法
⑤家族が陥りやすい心理反応と対象者への態度
⑥日常で生じやすい問題解決のためのマニュアル作成
心理的安定のための相談相手・場所や拠り所(家族会など)の紹介・確保

介護者コミュニケーション法

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遂行機能障害や社会的行動障害では、問題点を家族から指摘したことにより、それを受け入れにくい本人との間に軋轢が生じることがあります。
このような状況の解消には、家族・周囲の人が具体的な対処方法を身につけておくことが必要になります。
介護者コミュニケーション法では、
①選択的に行動を無視する
②注意を別のところに向けさせる
③選択肢を提供する
④期待を下げる
⑤引き下がりもう一度試みる
⑥静かに話し、中立的な立場を維持する
⑦対象者の不快感が増している兆候を見分ける
⑧対立と喧嘩を避ける
ことを念頭に置いてコミュニケーションを図ります。
この技法では、家族や周囲の人が持つ期待を変容させ、コニュニケーションのパターンを修正していきます。効果がありますが、技法を身につけるにはかなりの根気・努力とコツが必要になります。
なお、この技法の実践においては、前もってモデリングや演習を十分に行う必要があります。

その他のポイント

高次脳機能障害の注意機能や遂行機能の改善には、机上課題や行動課題を通して、病態認識(気づき)を高め、自ら積極的に取り組めるような環境づくりへの協力が必要だということを理解してもらうことが大切になります。
家族の精神的健康の維持のためのカウンセリング(話を聞くだけでも)も重要になります。

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参考文献

坂爪 一幸「前頭葉損傷に起因する社会的行動障害への対応」Journal of CLINICAL RRHABILITATION Vol.26 No.3

中島 恵子「注意障害・遂行機能障害を改善させるには」Journal of CLINICAL RRHABILITATION Vol.26 No.3

大嶋 伸雄ら「前頭葉損傷者の評価と生活支援」Journal of CLINICAL RRHABILITATION Vol.26 No.3