自分でできる体健やかブログ

リハビリ専門職(作業療法士)の私が、肩こり、肩の痛み、腰痛、膝痛、骨盤トレーニングなど、「自分でできる」をキーワードに対策方法を伝授します。

社会的行動障害での無力・抑うつ・易怒性への対応

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前頭葉損傷者では社会的行動障害が生じることがあり、無力、抑うつ、易怒性などの対応に苦慮する場面もしばしば見受けられます。今回、社会的行動障害での無力・抑うつ・易怒性への対応について、文献を参考にまとめていきたいと思います。

 目次

 社会的行動障害での無力・抑うつ・易怒性への対応

負の心理反応に対する対応の基本方針

負の心理反応(感情の状態)は、社会(環境)との円滑な交流が妨げられることによって生じます。

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負の心理反応が生じる要因としては、
①身体要因:
視力・聴力の低下、疲労、 痛み、病気、不快な室温、生理的欲求が満たされていないなどがあります。
②対人要因:
家族や関係者とのコミュニケーションにおいて、表情や感情に暖かみがない、接する態度の画一で厳密さがある、生活空間への無遠慮な侵入等があります。
③環境要因:周囲の刺激入力の過剰あるいは過少、日常生活行動の急な変更、能力を超 えた要求等があります。

対応では環境との交流を適切にしていくことが基本方針になります。
リハビリテーションにより遂行機能や制御機能障害などの回復や代償・補償を行いながら、高次脳機能障害への理解のを促し、負の心理反応への配慮も欠かさず行っていきます。
高次脳機能障害の状態に合わせた症状のわかりやすい説明は気づきを促していくためにも重要になります。  対象者から出た会話や働きかけを適切に受けとめ、負の心理反応の誘発要因への配慮も重要になります。何に負担を感じているのかを把握していきます。

具体的対応例:無力・抑うつ

無力・抑うつは行動に何らかの結果が伴わないことで生じる心理反応です。
能力に合わない課題、活動の要求レベルが高すぎることによる失敗体験の積み重ね、コミュニケーションの失敗、家族や関係者の強要的な態度(短気・性急さ・焦燥感等)、対象者の反応に対して無関心な態度をとり、主体性の軽視するような行動は自己効力感を低下させ、無力・抑うつを発生させる要因になります。
対応としては、日常生活活動や課題解決を通して、ポジティブな結果の経験(正のフィードバックを受ける体験も含む)と自己効力感を高めることが基本になります。
無力・抑うつ症状や日常生活での現れ方を対象者にわかりやすく説明することも気づきを促していく上では重要です。

他にも、

障害に強制的に対時させる言動を避ける.
自発性を尊重して活動への主体者意識を高める.
自発性が低い場合には課題や活動への取り組みにプロンプト(促し)をきめ細かく提供する.
能力に 合わせた要求を心がける.
課題や活動を解決しやすくスモール・ステップ化する.
課題解決や活動に十分な時間を提供する.
課題解決の手がかりを適宜に提供する.
活動の仕方を具体的に例示する.
指示や要求は理解しやすく単純化して必要に応じて反復する.
課題解決や活動を妨害する要因(例: 騒音等)を排除する.
生活に役割や余暇活動を無理強いせずに取り入れて喜びや楽しさを体感させる. 

坂爪 一幸「前頭葉損傷に起因する社会的行動障害への対応」Journal of CLINICAL RRHABILITATION Vol.26 No.3

などが挙げられます。

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具体的対応例:易怒性

易怒性は攻撃・興奮行動のひとつで欲求不満がある時に生じる傾向があります。
欲求不満は欲求・要求が満たされていない、 コミユニケーションが上手く取れてない、活動の未達成などで生じます。
身体疾患や疼痛、不快感、過剰刺激での過緊張、家族・関係者からの負の感情や態度、過大要求や期待による心的負担と失敗への恐怖、選択・判断の困難さに伴う葛藤等の精 神・身体的負担が欲求不満を招き、易怒性を生じやすくさせます。
対応では、欲求不満の発生の予防と解消が基本に考えていきます。
対象者に欲求不満が生じる原因や生じやすい行動をわかりやすく説明していきます。
空腹の訴え等の生理的欲求や要求に配慮いていくことも大切です。 不快感、痛み等など身体的不調の訴えの有無を確認し、可能であればそれを除去し、快適に過ごすことができるようにします。
本人の生活のペースを保てるようにする必要もあります。

生活の急な変化を避ける.
休息を適切に取り入れる.
押しつけや強要する態度は避けて受容的な態度で接する.
過剰な要求や過大な期待は避ける.
解決や選択や判断が難しい葛藤する状況に過度に曝さない.
適度な運動や気分転換の活動で過緊張を発散する.
易怒性やそれに伴う行動には過剰に注目しないで沈静後に対応する.
易怒性の出現時には他の活動に注意を転換するよう促す.
易怒性の沈静後に振り返りの話し合いを行う.

坂爪 一幸「前頭葉損傷に起因する社会的行動障害への対応」Journal of CLINICAL RRHABILITATION Vol.26 No.3

などがあります。

引用・参考文献

坂爪 一幸「前頭葉損傷に起因する社会的行動障害への対応」Journal of CLINICAL RRHABILITATION Vol.26 No.3