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リハビリ専門職(作業療法士)の私が、肩こり、肩の痛み、腰痛、膝痛、骨盤トレーニングなど、「自分でできる」をキーワードに対策方法を伝授します。

遂行機能障害のリハビリテーションの進め方(認知リハを中心に)

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遂行機能障害リハビリテーションでは、机上課題を通して思考過程(目的→計画→効率→実行)のトレーニングを行い、行動課題では行動の細分化と順番通りの遂行のトレーニングを行います。その中で計画立案、実行、確認、改善の再学習を行います。今回、遂行機能障害リハビリテーションの進め方(認知リハを中心に)について、文献を参考にまとめていきたいと思います。

 目次

 遂行機能障害リハビリテーションの進め方(認知リハを中心に)

遂行機能と注意機能

遂行機能が発揮されるには、注意機能が適切に働いている必要があります。
注意は情報処理における第一段階で、すべての精神神経活動の基盤となります。
訓練の方法としては、ボトムアップ的介入による注意障害の改善と、トップダウン的介入による遂行機能への直接訓練を実施する必要があります。

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遂行機能の評価

遂行機能障害の評価には、全般的な前頭葉機能検査ではFABがあります。また背外側損傷ではWCST、腹外側損傷ではTMT-B、行動評価ではBADSなどがあります。さらに、病態認識質問票のDEXを実施します。
これらの検査はリハビリテーション実施前に評価を行い、リハ実施後の効果判定に使用します。
また、評価結果からどの機能改善によりどの認知過程の改善がもたらされたのかについて考察し、さらなる改善に向けてリハビリテーションを行っていきます。

遂行機能評価一覧

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認知リハビリテーションの考え方

高次脳機能障害リハビリテーションでは、自己の状況を理解・認識し、回復のために低下した機能を改善させ脳機能のネットワークを賦活することの必要性を認識することは難しい傾向にあります。
そのため、高次脳機能障害リハビリテーションでは、どのように病識(自己モニタリング)を改善させるかということが効果に大きく影響します。
リハビリテーションでは自己モニタリングを改善させながらも、そのことで心理的な落ち込みや抑うつにならないための心理的支援も必要になります(機能回復と情動支援)。
リハビリテーションへの動機付けとしては、見通しのある適切な目標設定を行い、目標達成を意欲的に続けていけるような説明が重要となります。

遂行機能改善に向けての方策

Mateerらの遂行機能の臨床モデルでは、遂行機能の対象となる機能を「行動の開始」「行動の中止」「行動の維持」「順序化と時間的調整行動」「創造性、流暢性、問題解決スキル」「自己評価と洞察」としています。
起床から就寝までの自動化した日常生活動作の遂行では前頭前野の活性は見られず、新規行動(新しい課題、変更、急な対応)の遂行時には前頭前野の活性が見られます。
このことから遂行機能では、課題がいくつかあるとき、課題の優先順位決定、新規の解決方法の考案、計画の効率的な実施など すでに学習しておらず、日課でない目的志向活動の遂行に必要な能力といえます。
遂行機能改善には、Ciceroneの自己教示法やCrammonの問題解決法が有効だとされています。

自己教示法

Ciceroneの自己教示法では、交通事故による右前頭葉損傷者(20歳)のplanning障害に対して、週2回各1時間を8週間、下記の方法を行い、週1回1時間実生活上の問題について自己教示法の汎化の指導を行い、その結果、自己コントロールの改善が見られたとの報告があります。
目的:Planningや実際の行動を明確な言語的な統制下に置くことで、自分の思考や行動に対する制御を強化し、さらに外的な言語統制を順次内的な言語統制に移行させます。
方法:トロントの塔課題を規則のもとで最小手数で実施します。はじめにモデル提示をし、具体的な手順を述べ、実際に解決行動を言語化しながら課題遂行していきます。言語化した課題を声に出さずに行えるまで実施します。
円盤を3個から始め、10回連続施行できたら円盤の数を増やします。
間違えた箇所に対し、具体的な疑問を作ることで、自己洞察を行いやすくしていきます。

問題解決法

Crammonの問題解決法では、頭部外傷者の問題解決能力の改善のために週2回各1時間を6週間、問題分析→問題解決→評価の手順で実施し、日常生活においても施行の柔軟性や問題同定に改善を認めたとの報告があります。
目的:問題解決能力の改善。解決法の言語化による類推過程の意識化を行い、結果を確認をしっかりと行い行動観察評価の意識化を促します。そこから誤答に対する解決への手がかりを利用します。
方法:レーブン色彩マトリックス検査課題を用いて、規則性を見出し、規則性に適合する回答を選択肢から、問題解決過程を言語化させながら類推します。解決が困難な場合はヒントや手がかりを与えます。
課題での気づきや洞察を、対象者が困っていることや解決したいこと、重要と考えている作業に結びつけ、対処法を一緒に考えていくこともあります。
課題遂行が十分でない時に、どのような考え方をしたのか、注意していたのか、などを自己の言葉で表現させ、それが重要な作業や解決したいことにどのような影響があるのかについて考えていきます。

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参考文献

中島 恵子「注意障害・遂行機能障害を改善させるには」Journal of CLINICAL RRHABILITATION Vol.26 No.3