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リハビリ専門職(作業療法士)の私が、肩こり、肩の痛み、腰痛、膝痛、骨盤トレーニングなど、「自分でできる」をキーワードに対策方法を伝授します。

注意障害のリハビリテーションの考え方、進め方(認知リハを中心に)

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注意障害のリハビリテーションにおいては、机上検査と日常生活の観察評価を行い、リハ実施後の効果判定を行うために検査を実施します。介入においては、課題と課題実施後のフィードバックを用いながら、自己モニタリングを改善させ、注意障害の改善を生活行動へ般化できるように取り組んでいきます。今回、注意障害のリハビリテーションの考え方、進め方について、文献を参考にまとめていきたいと思います。

 目次

 注意障害のリハビリテーションの考え方、進め方

参考文献

中島 恵子「注意障害・遂行機能障害を改善させるには」Journal of CLINICAL RRHABILITATION Vol.26 No.3

注意障害の評価

注意障害の評価では、机上検査による評価と日常生活の観察による評価があります。
机上検査では聴覚性、視覚性の注意をCAT等を用いて検査します。
日常生活上の観察評価では、「脳損傷後の日常観察による注意評価スケール」があります。
注意は能動的でもあり持続的でもあります。注意が能動的に機能するには意識、意図が必要であり、「今日の予定をいつまでに終わらせる」というような遂行機能・記憶機能を働かせることに関わります。注意を受動的に機能するには視覚的・聴覚的な選択性注意を働かせることに関わります。能動的な注意の評価には後述する日常生活の観察評価を行い、受動的な注意の評価には神経心理学的評価を行います。
これらをリハビリテーション実施前に行い、リハ実施後の効果判定を行います。その際、評価結果からどの機能の改善がどの認知過程の改善につながったのかを考察し、さらなる機能改善のためにリハビリテーションにつなげていきます。

注意障害の症状と評価〜リハビリテーションに向けての検査法と解釈〜 - 自分でできる体健やかブログ

 

脳損傷後の日常観察による注意評価スケール

①眠そうで、活力(エネルギー)に欠けて見える
②すぐ疲れる
③動作がのろい
④言葉での反応がのろい
⑤頭脳的あるいは心理的な作業(例:計算)が遅い
⑥言われないと何も続けられない
⑦長時間(約15秒)宙をじっと見つめている
⑧1つのことに注意を集中するのが困難である
⑨すぐに注意散漫になる
⑩一度に2つ以上のことに注意を向けることができない
⑪注意をうまく向けられないため、間違いをおかす
⑫何かをする際に細かいことが抜けてしまう(誤る)
⑬1つのことに長く(5分以上)集中して取り組める

まったく認められない:0点
時として認められる:1点
ときどき認められる2点
ほとんどいつも認められる:3点
絶えず認められる4点

*③において、運動麻痺がある場合は、身体部位の動作の障害は除外します。
*④において、失語、認知症がある場合、それを含めて評価します。

注意障害と神経ピラミッド

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注意は情報処理の第一段階であり、全ての精神神経活動の基盤となります。また、注意障害があると、精神活動全ての段階に影響を及ぼします。
神経心理ピラミッドでは、注意機能は情報処理の第一段階であり、機能改善を目指す訓練は直接訓練が中心となります。

認知リハビリテーションの考え方

高次脳機能障害リハビリテーションでは、自己の状況を理解・認識し、回復のために低下した機能を改善させ脳機能のネットワークを賦活することの必要性を認識することは難しい傾向にあります。
そのため、高次脳機能障害リハビリテーションでは、どのように病識(自己モニタリング)を改善させるかということがリハビリテーション効果に大きく影響します。
自己モニタリングを改善させながらも、そのことで心理的な落ち込みや抑うつにならないための心理的支援も必要になります(機能回復と情動支援)。
リハビリテーションへの動機付けとしては、見通しのある適切な目標設定を行い、目標達成を意欲的に続けていけるような説明が重要となります。

注意障害改善のための方策

前頭葉損傷では注意とワーキングメモリ、注意による認知や行動の制御が問題になります。
ワーキングメモリは注意の保持、注意集中、思考のコントロールを発揮する能力と捉えます。話を聞きながらポイントをまとめる、情報をどの順番で伝えるか頭で整理しながら状況に応じて説明する、状況に即した行動をとる(抑制する)などを行うための知的能力を発揮させるための能力です。
ワーキングメモリは受動的・能動的どちらにも関与する能力であり、ワーキングメモリの入力には選択性注意が重要となります。また情報を一時的に保持し、操作するには注意の維持が必要となります。

ワーキングメモリのリハビリ、鍛え方:Nitendo 3DSを用いて - 自分でできる体健やかブログ

注意機能の構成要素である「持続、選択、転換、同時処理」のための認知リハとしては、Sohlbergの特異的注意機能課題、APT(Attention Process Training)などがあります。

日常生活行動への介入としては、行動療法(生活動作の細分化と各行動を意識してできるようにする)、SST(目的に応じた行動や態度を身につける)があり、これらにより、行動や認知の抑制を再学習します。
また、特異的な注意機能訓練と、日常生活動作の訓練を同時並行的に実施することが有効とされています。
トレーニングを行う際には、目的や動機付けをはっきりと行い、情動支援も行いながら能動的に訓練できるようにする必要があります。

認知リハ(ボトムアップ的介入)のポイント

脳損傷後では神経疲労があるため、注意の持続力向上を目指すことも重要です。
机上課題では自己の注意力低下に対する認識を持つためのフィードバックや確認を徹底できるようにします。
フィードバックと確認を繰り返すことにより自己モニタリングを改善させ、選択性注意や注意の変換、同時処理と段階的に実施ししていきます。
課題の最初には「どのくらいできるか」「どのくらい時間がかかるか」を見積もらせ、実施後は感想とノートに結果を自ら記載させます。
前回と比較し何が改善しているか、どこに問題があるか(時間、ミスなど)を話し合い確認していきます。
課題実施において速度を意識すると結果がどうなるかの予測も行います。
予測→実施→結果→問題の確認→次回の問題と確認しながら進めます。
自己認識の階層においては、

自己認識の階層で「最下層の『知的気づき』(障害が何であるか知っており、それについて述べることができる)から、『体験的気づき』(自分の障害により経験される体験がその知識と結びつき、補償行動をとろうとする)段階、さらに起こりそうな問題を予測し予防する『予測的気づき』段階へと進んで行く

中島 恵子「注意障害・遂行機能障害を改善させるには」Journal of CLINICAL RRHABILITATION Vol.26 No.3

とあります。

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