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前頭葉の機能解剖(下前頭回/前頭弁蓋部)と言語表出

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前頭葉は機能的に多様であり、運動、言語、認知制御、意思決定などに関わる部分です。前頭葉と言語表出の関係で捉えると、ブローカ失語と関わりがあります。今回、前頭葉の機能解剖(下前頭回/前頭弁蓋部)と言語表出について、文献を参考にまとめていきたいと思います。

 目次

 前頭葉の機能解剖(下前頭回/前頭弁蓋部)と言語表出

引用・参考文献

西尾 慶之「前頭葉の機能とその障害」Journal of CLINICAL RRHABILITATION Vol.26 No.3

happyhealth.hatenablog.com

渡邊 修「オーバービュー」Journal of CLINICAL RRHABILITATION Vol.26 No.3

下前頭回

下前頭回は、シルビウス裂の上の部分で、前頭葉の外側面の最も腹側(ブロードマンエリア44、45、46)に位置し、前頭弁蓋部とも呼ばれます。
下前頭回/前頭弁蓋部はさらに下前頭回眼窩部、下前頭三角部、下前頭回弁蓋部の3つの領域に分かれます。
下前頭回三角部は運動前皮質の腹側部に相当します。

 

左下前頭回/前頭弁蓋部の機能

左下前頭回の三角部、弁蓋部を「Broca(ブローカ)野」と呼びます。
ブローカ野とは、左前頭弁蓋部の員傷に伴う言語表出障害を主徴とする失語症 (Broca失語)の発見にちなんだ名前です。
言語表出機能においては、ブローカ野の領域が周辺の脳領域と比べて重要であるという確固たるエビデンスがあるわけではありません。
上方に位置している中前頭回や、後方に位置している中心前回等の周辺の部位と合わせて言語表出機能との関わりがあると理解する必要があります。

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ブローカ失語

ブローカ失語は単一の症状を表しているものではなく、 複数の症状から成り立つ症候群の総称となります。
自発語の減少、発語をするときの努力性、構音の歪み (失構音(ariarthria)またはは発語失行(apraxia of speech))を中心的な特徴している失語症です。
さまざまな重症度の錯語、聴理解障害や書字障害がみられ、どの症状が中核症状であるのかということを判断するのは困難です。
ウェルニッケ失語など前頭葉以外の損傷により生じる失語症との比較において、概念の整理としては有用な考え方になります。

左弁蓋部の機能解剖

左前頭弁蓋部の機能解剖では、構音、 換語、理解のという3つの要素的な言語機能に分類して考えていくと理解しやすくなります。
左前頭弁蓋部損傷に伴う構音障害では、失構音あるいは発語失行と呼ばれます。

失構音における「構音」は純粋な運動機能ではなく, 言語表出の際の運動実現にかかわる言語と運動の中核的な機能であると想定されている.

西尾 慶之「前頭葉の機能とその障害」Journal of CLINICAL RRHABILITATION Vol.26

失構音は三角部、弁蓋部のみの損傷により生じるわけではなくて、 中心前回弁蓋部(運動前野後腹側部:ブロドマンエリア6)の損傷によって出現する症状です。

最近の頭蓋内脳波を用いた検討でも,発話の際に中心前回の強い活動が認められる一方で,下前頭回弁蓋部の活動は認められ ないことが報告されている.一方で,Broca野すなわち下前頭回三角部,弁蓋部に限局した病巣では喚語困難. 音韻性錯語,発話速度の低下が認められる.

西尾 慶之「前頭葉の機能とその障害」Journal of CLINICAL RRHABILITATION Vol.26

上記のような症状は他の脳領域の損傷においても認められることがあり、これらの所見のみではブローカ領域の機能を判断することは難しいとされています。

近年のIMRIやPET等の機能画像研究では. 左下前頭回弁蓋部は言語の意味の想起に関連する課題で, 三角部はより複雑な文脈,課題において意味参照を行う過程で賦活が認められることが明らかにされている. しかし,これらの研究で観察された左下前頭回弁蓋部・三角部の賦活が,言語機能を反映しているのか,研究に用いられた課題の遂行に必要な非言語的な機能を反映しているのかは不明である.

西尾 慶之「前頭葉の機能とその障害」Journal of CLINICAL RRHABILITATION Vol.26

右下前頭回/前頭弁蓋部の機能

右のブローカ野の領域では、プロソディ(言葉の抑揚やメロディー)に関与しているのではないかとの仮説があります。
プロソディーには、母国語や方言に備わっている固有プロソディ、意図的に抑制する知的プロソディ感情を表現する感情プロソディという3つの側面があるとされています。
右前頭弁蓋部損傷においては感情プロソディが障害がおこるとされています。
左前頭弁蓋部の損傷によるブローカ失語者、 失構音者においては、 プロソディのすべての側面が障害されるとされています。

右前頭弁蓋部は発話を通じた感情表出にかかわる 上位のレベルのプロソディ(感情プロノディ)に関与しているのに対して,左前頭弁蓋部は言語音実現にかかわるより下位レベルのプロソディにかかわっていると解釈できる.

西尾 慶之「前頭葉の機能とその障害」Journal of CLINICAL RRHABILITATION Vol.26

ブローカ失語では簡単な歌を歌う能力は保たれますが、覚醒下腫湯摘出術中の右弁蓋部上方の中前頭回後部の刺激で歌唱が停止するという報告があます。
このことから左右前頭弁蓋部は歌唱において、異なる機能・役割を持つことが示唆されています。

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