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リハビリ専門職(作業療法士)の私が、肩こり、肩の痛み、腰痛、膝痛、骨盤トレーニングなど、「自分でできる」をキーワードに対策方法を伝授します。

こんなにある!前頭葉損傷による症状を徹底解説

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高次脳機能障害の中には、記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などがありますが、これらは前頭葉損傷により起こりやすい症状です。今回、前頭葉損傷による症状について、文献を参考にまとめていきたいと思います。

 目次

 こんなにある!前頭葉損傷による症状を徹底解説

運動プログラムの障害①運動障害

随意運動実行過程における大脳の神経構造には一次運動野と二次運動野があります。  二次運動野には、一次運動野の前方の前運動野(腹側および背側)、一次運動野の内側部前方にある補足運動野、その前方に位置する前補足運動野、補足運動野と前補足運動野の下方にある帯状皮質運動野(腹側、背側)があります。
補足運動野h基底核と小脳h前運動野とそれぞれに、大脳・基底核ループ、大脳・小脳連関として連絡があります。
補足運動野は、随意運動でのペーシングに関わっています。
補足運動野は大脳半球間裂を占拠する髄膜腫や前交通動脈領域の梗塞で損傷することが多くなっています。
運動開始や変換障害、運動順序の障害、両手の協調運動障害、自発性低下が現れることが多くあります。

運動プログラムの障害②道具の強迫的使用、他人の手兆候、拮抗失行

「道具の強追的使用」は、対象物をみると本人の意思とは無関係にそれを使用してしまう行為障害です。 左前頭葉内側面・脳梁膝部の損傷により起こり、右手のみに認められます。 左手が自分の意思を反映し、右手をコントロールしようとすることがみられます。
「他人の手兆候」は、左手のみにみられる行為障害です。
自分の意思とは関係なく勝手な動きがみられます。 右前頭葉内側面の損傷により生じます。
「拮抗失行」は、両手が互いに邪魔し合うことがみられます。
拮抗失行に対しては、動作時のリラクゼーション、大切な動作では左手に他の物品を握らせる、習熟している動作で両手の協調動作の練習をする、両手使用では同時に視覚的フィードバックを利用するなどを行います。

認知過程の障害①注意障害

注意には全般性注意と方向性注意があります。
全般性注意では前頭前野、方向性注意は頭頂葉が中心となります。
全般性注意は、注意の集中性、注意の持続性、注意の配分性、注意の転換性に分けられています。
前頭前野では、注意集中の際、一点に集中しながら不必要な視覚性,聴覚性情報を遮断する作用(フイルタリング機能)を持っています。前頭葉損傷において騒々しさや過剰な刺激を嫌うのはこのようなことが原因となります。そのため、外的刺激を制限する等、環境調整が必要になります。
全般性注意は、様々な活動の基盤となる機能で、注意機能の低下は他の認知機能も低下させます。そのため検査結果の解釈では、注意障害が根底にある場合、解釈は慎重に行います。

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認知過程の障害①遂行機能障害

遂行機能は目的をもった活動を効果的に遂行するための認知能力です。
活動の遂行には、 ①心の中で目標を決め、②手順を計画し、③複数の実行方法から取捨選択し、④実施・決断し、⑤結果確認(フイードバック)をする能力が必要となります。
遂行機能には意思決定能力(decision making)や思考・推論能力(reasoning) も含まれています。
遂行機能は広範囲にまたがる背外側前頭前野(両側46野)に責任部位となります。

認知過程の障害①ワーキングメモリの障害

ワーキングメモリーは、作業遂行において、様々な情報を一時的に意識化する記憶様式です。 考え事をするとき、リスク管理をするとき、計画を立てるときなどに重要で、背外側前頭前野(両側46野)に責任部があります。

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認知過程の障害①展望記憶の障害

未来の出来事の約束を守るための記憶です。 
背外側前頭前野(46野)の機能が重視されています。

器質性精神障害アパシー

 両側前頭葉(前部帯状回)損傷で発動性低下が起こりやすくなります。
ADLの動作能力が保たれていても、声かけや促しが必要となります。

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器質性精神障害②病識低下

病識はメタ認知(認知している自分の認知)ともいわれ、自分自身の障害の状態を理解することです。
頭頂葉損傷での病識低下は、 要素的(左脳の言語理解の障害、右脳の視空間認知の障害)ですが、前頭前野損傷では、全般性であり、self awareness(気づき)の障害です。
 身体障害については比較的認知されやすいですが、高次脳機能障害(特に社会的行動障害)は理解されにくくなります。
自己認知のためには、注意機能(自分の状態への注意)、遂行機能(自分に関する思考・推敲)、情動コントロール(冷静さ)、共感の能力が必要です。

器質性精神障害③情緒・感情コントロールの障害

情緒・感情は、 大脳辺縁系扁桃体、 海馬、帯状回視床下部、乳頭体、側坐核など)が担うとされています。
恐怖感や不安感等の感情(否定的感情)は扇桃体が主に活動し、扇桃体との線維連絡の強い前頭前野(特に眼寓前頭前皮質)は、扇桃体に対する抑制線維の機能があるとされています。
このような構造の破綻が起こると、攻撃性や焦燥感等の情緒・感情のコントロール能力の低下を招くとされています。

器質性精神障害④共感の障害

前頭葉障害では相手に対する気配りに欠ける者が多いとされています。
責任部位は前頭葉内側部を含むとする報告が多くあります。

症状のまとめ

症候

症状

対側運動麻痺

弛緩性麻痺

肢節運動失行

対側手指巧緻性低下

運動の開始・自発性の障害

運動開始が障害、自発的運動が起きない

随意眼球運動障害

両側眼球対側への外転障害

ブローカ失語

言葉が言えない、言葉数が減る

道具の強迫的使用

意思がないのに目前にある道具を使用する

他人の手徴候

左手が意思に反し勝手に動いてしまう

注意障害(集中、持続、配分、転換)

気が散りやすい他に注意が向けられない

フィルター機能の障害

ひとごみで話ができない

保続

注意転換障害のひとつ。直前の内容を表現する

遂行機能障害

一連の計画的な活動を遂行できない

ワキングメモリの障害

深く考えることができない

展望性記憶障害

約束の時刻に待ち合わせができない

運動維持困難

閉眼しながら舌を出し続けることができない

流暢性の障害

しりとりの語が出ない

抽象化の障害

個々の例から共通の特徴を推論できない

発動性の低下

ぼーっとしている

病識(awareness)の低下

自分のことを正常だと思う

うつ状態

気持ちが落ち込む

感情の鈍麻、平坦化

表情が乏しく、感情変化がみられない

脱抑制

怒りやすい、興奮しやすい

 

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文献

渡邊 修「オーバービュー」Journal of CLINICAL RRHABILITATION Vol.26 No.3