自分でできる体健やかブログ

リハビリ専門職(作業療法士)の私が、肩こり、肩の痛み、腰痛、膝痛、骨盤トレーニングなど、「自分でできる」をキーワードに対策方法を伝授します。

関節リウマチのADLと上肢機能

【スポンサーリンク】

関節リウマチのリハビリテーションでは、ADLやIADL動作の維持、改善が目標となります。今回、関節リウマチのADLと上肢機能について、文献を参考にまとめていきたいと思います。

目次

関節リウマチのADLと上肢機能

参考文献

これでできる リウマチの作業療法 南江堂 1996

関節リウマチとADL

関節リウマチにおいて、障害されやすくかつリハビリテーションの影響を受けやすいADL項目として11項目が挙げられています。
①床からの立ち上がり
②タオル絞り
③前開きシャツのボタン閉開
④階段昇降
⑤物の運搬
⑥下衣着脱
洗顔
かぶりシャツの着脱
⑨整髪
⑩洗体(背中)
⑪グラスの水を飲む
これらは、関節リウマチの治療において共通する変動しやすい項目となります。これらのうち8項目は上肢機能と関係しており、将来的に起こることが予想されるADLの予測や、前もって障害に対処するための知識として必要です。また自助具処方の時期の参考にもなります。

 

リーチ障害とADL

リーチ障害は肩・肘関節の運動時痛、拘縮などによるROM制限、肩関節の筋力低下などにより生じます。リーチ障害により上衣着脱、襟元のボタンかけ、食事動作、整髪、洗体(背中)などのADLが低下するおそれがあります。
また、リーチ範囲が正常でも、手関節や前腕のROM制限は動作の実用性を妨げる原因となります。

握力・ピンチ力低下とADL

握力・ピンチ力低下は手関節痛や手指変形などによって生じます。特に拇指の疼痛や変形により著明な筋力低下がみられます。タオル絞り、びんの蓋・蛇口の閉開、ドアノブ回旋、爪切り、下衣着脱などのADL低下がみられます。

【スポンサーリンク】
 

把持障害とADL

把持障害は主に手指変形により生じ、握力・ピンチ力低下によっても生じる可能性があります。
指尖つまみや指腹つまみが行いにくくなると箸操作、書字、ボタンかけなどの巧緻性が低下します。
拇指が内転位で拘縮すると大きなものの把持が困難になります。

ADL動作に必要な関節可動域

①タオル絞り
タオル絞りは握力、前腕部筋力、前腕の回内外運動が必要になります。
関節リウマチでははじめに非自立となりやすい動作です。
初期より手関節の疼痛がある場合、握力低下をまねきやすく、タオルを絞る動作が非自立となりやすくなります。
握力の目安(非自立の境)は100mmHg(8kg)とされているため、初期から手関節の疼痛を軽減できるようにアプローチする必要があります。
前腕回内外0〜45°、手関節掌屈0〜20°、手関節背屈0〜15°、肘関節屈曲65〜80°、肩関節屈曲25〜45°必要です。

②前開きシャツのボタンはめ
ボタンへのリーチとボタンをはめる動作であり、拇指と他指のつまみ動作、肘関節屈曲を必要とします。
第1ボタンをはめるには肘関節屈曲120°以上必要で、肩関節の関与は少ないです。
ピンチ力はあまり必要にはならず、手関節の変形が関与します。手関節変形では巧緻性の低下や、手指とボタンの支持面を小さくするため、ピンチ力を低下させます。
肩関節外転5〜10°、肩関節屈曲10〜15°、肘関節屈曲80〜120°、前腕回内0〜45°、手関節背屈30〜50°必要です。

③ズボン(パンツ)着脱
立位での動作では膝・足関節が関与します。
上肢では肩・肘・手指の把持(握力)機能が必要です。
着衣では肩関節外転25°、肘関節屈曲100°以上必要で、脱衣では遠位部のリーチでは肘関節ほぼ伸展位となります。
ズボンを足に通すには、足関節底屈により動作が容易になり、ズボン引き上げでは股関節・膝関節伸展位で肘関節は屈曲し、引き下げ時には逆となります。
肩関節屈曲10〜20°、肩関節伸展20〜30°、肩関節外転25°、肘関節屈曲100°、前腕回内0〜85°、手関節掌屈0〜40°、手関節背屈0〜15°必要です。

洗顔、顔拭き
手指ROM、手関節背屈、肘関節屈曲・伸展、前腕回外が必要です。リーチは洗面器と顔面への移動が必要で、肘の屈伸が必要です。手指関節の変形では水漏れが起こりやすくなります。
肩関節屈曲15〜25°、肘関節屈曲50〜135°、前腕回外70°、手関節背屈40°必要です。

かぶりシャツの着脱
肩関節屈曲・外転・外旋、肘関節屈曲・伸展が必要です。
完全自立には肩関節屈曲70°以上、内外旋とも45°以上、肘関節屈曲120°以上の自動屈曲範囲があれば100%可能になります。
非自立の境目は肩関節屈曲90°とされています。
他にも、肩関節外転0〜45°、肘関節屈曲120°、手関節背屈40°必要です。

⑥洗体(背中)
肩関節屈曲・外転・肘関節屈曲、手指把持能力が必要です。標準のタオルを使用するには、肩関節外転70°以上、肘関節屈曲120°以上が必要です。また肩関節内外旋と前腕の回内の複合的な運動により上肢の回旋が起こります(代償動作としては体幹屈曲)。
肩関節内外旋40〜60°、肩関節伸展20〜30°、前腕回内90°、手関節背屈50〜70°、手関節掌屈10〜25°必要です。

⑦整髪
櫛で髪をとくには、肩関節屈曲・外転・外旋・肘関節屈曲、手指の把持能力が必要です。頭上までのリーチが必要になります。
動作の自立には、肩関節屈曲70°以上、外転110°以上、外旋30°以上、肘関節屈曲110°以上が必要です。
他にも、前腕回内30〜50°、手関節背屈0〜20°、手関節掌屈0〜40°必要です。

⑧グラスの水を飲む
握力、肘関節屈曲・伸展、前腕回内が必要になります。グラスの把持には拇指と他指の隙間が必要です。
動作の自立には肘関節屈曲130°以上、前腕中間位の保持が必要です。また肩関節屈曲30〜45°、手関節背屈15〜20°必要です。

【スポンサーリンク】