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リハビリ専門職(作業療法士)の私が、肩こり、肩の痛み、腰痛、膝痛、骨盤トレーニングなど、「自分でできる」をキーワードに対策方法を伝授します。

肩手症候群のリハビリテーションとエビデンス

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肩手症候群は、脳卒中後に麻痺側上肢の強い痛みや腫脹、血管運動異常などがみられる病態で、運動制限を伴います。その痛みにより廃用手に近い状態になることもあります。今回、肩手症候群のリハビリテーションエビデンスについて、文献を参考にまとめていきたいと思います。

目次

肩手症候群のリハビリテーションエビデンス

肩手症候群の病状と病態

肩手症候群は脳卒中後に患側上肢に見られるCRPS type1であり、発赤、腫脹、発汗過多等自律神経機能の異常がみられ、後に局所循環障害に起因する皮膚の菲薄化、脱毛、拘縮等の組織萎縮所見も顕著となる。
X線写真では骨粗鬆症の所見がみられる。疼痛は難治性で強い灼熱感や、痛覚刺激でない触覚や温覚刺激で激痛が生じる異痛症(allodynia)が特徴的である。

 Journal of CLINICAL RIHABIRITATION Vol.23 No.10 2014.10

肩手症候群の発生機序

発生機序について、

不明であるが、末梢組織からの情報を認知し、制御する神経機構全般の異常と考えられている、異常の生じる範囲は、末梢受容器から高次感覚中枢、情動の中枢まで及ぶとみられ、交感神経遠心路や運動システムにも異常が生じる。

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とあります。
早期にみられる血管拡張は表在血管の収縮性神経が抑制されるためで、慢性期での血管収縮は抑制されない交感神経の過緊張が原因だとされています。
急性期では、CGRPやサブスタンスPなどの物質が放出されることにより神経原性の炎症反応が起こると考えられています。

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肩手症候群と亜脱臼

肩関節亜脱臼がある患者は、ない者と比べて2倍肩手症候群の合併が多いとの報告があります。また肩手症候群の危険因子としては、上肢麻痺、痙縮、認知障害、亜脱臼が挙げられていますが、一方で亜脱臼は予測因子でないとの報告もあります。
肩甲回旋神経や肩甲上神経などの末梢神経の障害や肩関節への小さな外傷の繰り返しにより、C繊維を刺激することが肩手症候群の原因になっている可能性もあります。

肩手症候群の治療方針

肩手症候群の治療においては、浮腫、疼痛の軽減、関節可動域の維持・改善により上肢機能の回復を図ることです。
治療には主にリハビリテーション、薬物治療、侵襲的治療があります。

肩手症候群のリハビリテーション

片手症候群の予後が良好なもの(関節可動域が完全に回復する)として、

中等度の運動回復があり、痙縮が少なく、重度の感覚障害がないものである。

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このことからも、リハビリテーションでは肩甲上腕関節のROM改善、肩関節周囲筋の筋力増強、痙縮軽減を目的に行われます。

疼痛のない範囲で他動運動を行い、可能なら抵抗運動を中心に自動運動も行う。浮腫を軽減するため、弾性包帯の使用や水治療が行われる。交代浴は血管の拡張と収縮により循環を改善するため、軽度のCRPSに有効である。

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ミラーセラピーもCRPSに効果があったとの報告もあります。また、カウンセリング、バイオフィードバック、リエアクセーションテクニックも行われます。

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肩手症候群の薬物療法

ステロイド経口投与の有効性が報告されており、第一選択薬となっています。副作用もあるため短期投与となります。
ステロイド系消炎鎮痛薬は肩手症候群の初期に有効な場合がありますが、進行すると無効な事が多くなります。

ガバペンチンやカルバマゼピンは神経性疼痛に効果があり、CRPSでも効果がある場合がある。三環系抗うつ薬、選択的セロトニン再吸収阻害薬(SSRI)等の抗うつ薬は、うつ病に対する処方より少量が用いられ、疼痛を軽減し、慢性疼痛によるうつを改善し、睡眠の質を改善する事で効果がある。この他、ビスホスホネート、カルシトニンはCRPSによる骨粗鬆症を改善することで急性、慢性の疼痛の軽減が期待できる。

 

肩手症候群の侵襲的治療

局所麻酔薬による星状神経節ブロックは、交感神経依存性疼痛では効果があるとされています。
硬膜外腔に電極を埋め込み、電気刺激を行う脊髄刺激では、CRPS Type1で、埋め込みから2年間疼痛軽減効果があったとされています。

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引用・参考文献

越智 文雄「脳卒中片麻痺における肩の痛みーその予防とリハビリテーションー」Journal of CLINICAL RIHABIRITATION Vol.23 No.10 2014.10