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リハビリ専門職(作業療法士)の私が、肩こり、肩の痛み、腰痛、膝痛、骨盤トレーニングなど、「自分でできる」をキーワードに対策方法を伝授します。

脳卒中片麻痺者の肩の痛みとポジショニング、ROM訓練

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脳卒中片麻痺者では肩の痛みが見られることがあり、それはリハビリテーションの阻害要因となったり、ADLや予後に影響を与えます。脳卒中片麻痺における肩の痛みの原因は複数のことが合わさっていることも多く、その根本原因を知ることは簡単にはできません。今回、脳卒中片麻痺者の肩の痛みとポジショニング、ROM訓練について、文献を参考にまとめていきたいと思います。

 目次

脳卒中片麻痺者の肩の痛みとポジショニング、ROM訓練

引用・参考文献

越智 文雄「脳卒中片麻痺における肩の痛みーその予防とリハビリテーションー」Journal of CLINICAL RIHABIRITATION Vol.23 No.10 2014.10

 

脳卒中片麻痺と肩の痛みの原因

脳卒中片麻痺者では、概ね70%程度で肩の痛みがみられるといわれています。
肩関節痛の原因は神経性と機械性に分けられます。神経性の原因では運動麻痺や痙縮、中枢性疼痛などの上位運動ニューロンの障害によるもの、また末梢神経障害や腕神経叢損傷、複合性局所疼痛症候群(CRPS)などの下位運動ニューロンの障害によるものです。
機械性の原因では肩関節亜脱臼、回旋筋腱板損傷、肩甲上腕関節障害、癒着性関節包炎、筋筋膜性疼痛などが挙げられます。
これらの要因が複合して肩関節を引き起こしていると考えられます。
運動麻痺の重症度でみると、肩の痛みがある者はBrs-stageが低い者が多いとの報告があります。

 弛緩性麻痺では患側上肢の不適切な扱いにより肩周囲の組織を損傷しやすく、インピンジメントや腱板断裂が起こりやすい。脳卒中患者での回旋筋腱板損傷の発生頻度は33〜44%であるが、高齢者では脳卒中発症前から無症候性の肩関節の障害をもっていることも多いと考えられる。
また、移乗や体位変換のとき、弛緩性の上肢が引っ張られることにより椀神経叢損傷が起こりやすい。筋電図では脳卒中による肩関節亜脱臼のある患肢の棘上筋、三角筋の75%に神経原性変化がみられ、腕神経叢の上神経根が障害されやすい。

 Journal of CLINICAL RIHABIRITATION Vol.23 No.10 2014.10

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上肢痙縮がある者は85%に疼痛がみられ、特に肩の外旋制限が関係があり、肩甲下筋の痙縮は上腕骨内旋位にして筋付着部の疼痛の原因になります。
肩甲骨下制筋の痙縮は、肩甲上腕リズムを阻害し、ROM訓練でインピンジメントが生じやすくなります。
炎症や傷害、不動により慢性的に癒着性関節包炎となるとこともあります。
肩関節亜脱臼の有無が肩の疼痛に関与するかはどちらの意見も存在しています。

肩関節亜脱臼は多くの場合、肩関節周囲の組織を伸張することにより他の病変を合併しており、これらの病変が疼痛を生じている可能性がある。

 Journal of CLINICAL RIHABIRITATION Vol.23 No.10 2014.10

肩の疼痛がない者は機能予後がよく、入院期間が短いとの報告があります。

急性期でのポジショニング

弛緩性麻痺では、患者の介助の際麻痺側上肢の扱いにちゅ委するようにします。
臥位におけるポジショニングでは、肩甲骨前方突出、上腕軽度挙上、前腕中間位または軽度回外、手指伸展させるのがよいとの報告があります。肘の屈伸、肩外転・外旋については意見が分かれています。
座位では前腕をテーブルに乗せる、車椅子用テーブルに乗せる、上肢スリングやアームトレイを使用します。
ポジショニングの際に使用するクッションとして。「ミラクルグリップ」は反発素材を用いており、拘縮予防に有効と考えられます。

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ROM訓練

他動ROM訓練で上腕骨を内旋位で外転すると、大結節が肩峰に衝突し肩峰下関節包や棘上筋をインピンジメントし、回旋筋腱板の損傷を起こすことがあります。そのため、肩外転運動は上腕骨外旋位で行う必要があります。
他動ROMにおいて疼痛があれば、疼痛のない範囲で動かすようにすることが大切です。
疼痛のない範囲で動かすことにより、肩の痛みを43%減らすことができたとの報告があります。

リハ病棟に入院した肩の疼痛のない脳卒中患者に肩の疼痛が出現する頻度は、療法士が肩関節ROM訓練を行ったもので8%、患者がスケートボードを用いて自分でROM訓練を行ったものでは12%、自分でプーリーを行ったもので62%であり、脳卒中患者に対してプーリーは行うべきでない。

Journal of CLINICAL RIHABIRITATION Vol.23 No.10 2014.10

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