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徘徊の分類と夕暮れ症候群への対応

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徘徊は無目的に歩き回る症状で、BPSDの中でも高頻度でみられる症状です。対象者を中心とした視点で捉えると無目的ではなく、なんらかの理由が存在します。今回、徘徊の分類と夕暮れ症候群への対応について、文献を参考にまとめていきたいと思います。

 目次

徘徊の分類と夕暮れ症候群への対応

徘徊の分類

①徘徊でない徘徊(迷子)
 場所の見当識障害により道に迷い迷子になります。アルツハイマー認知症でよく見られます。

②反応性の徘徊
 馴染みのない場所(環境要因)にいることで生じる見当識障害と不安を元に出現する徘徊です。リロケイショナルダメージという表現もあります。環境が変わりそこがどこかわからない、家に帰りたいが帰れないなどの不安により徘徊にいたります。環境への慣れにより「頭の中の地図」が完成すれば消失しますが、それには時間がかかります。アルツハイマー認知症でよくみられます。

③せん妄による徘徊
 せん妄状態により集中力や注意力が低下し、また興奮状態(過活動)で歩き続ける、ぼんやりとして活動性低下(低活動)で夢遊病のようにフラフラと歩き続けるようなことが特徴です。夜間の発生率が高く、時間経過により症状の変動があり、意識障害への対処により回復します。
レビー小体型認知症ではこのような症状が良くみられ、せん妄との鑑別が困難なことがあります。

④脳因性の徘徊
 脳の器質障害により起こる衝動性亢進症状の一部です。前頭葉障害により出現し、前頭側頭型認知症(ピック病)や前頭葉症状の強いアルツハイマー認知症でみられることがあります。周徊(周遊)と呼ばれ、常に同じような軌跡で早足、硬い表情で前に人がいても押しのけるように歩くという特徴があります。

⑤「帰る」と「行く」に基づく徘徊
 徘徊というよりも無断外出に近く、不安な現在から古き良き時代への帰郷願望です。
現在行っていないことをもっともらしく訴え、外に出ようとします。夕暮れ時に多いことから、「夕暮れ症候群」と呼ばれています。ごく軽い意識障害を伴っているため、せん妄と捉える見解もあるようです。アルツハイマー認知症や脳血管性認知症でよくみられます。

一つは、道に迷って近くをうろうろするのではないこと、もう一つは、名前や住所は覚えているのに他人に尋ねようしないで歩き続けることから、単に地誌的見当識障害で迷子になるのではなく、迷子になったという状況判断をもてない、または迷子になったらどう対処したらよいかという判断ができないと捉えています。

認知症の正しい理解と包括的医療・ケアのポイント 第2版 P101

徘徊への対応

徘徊の出現に共通する要因は、場所の見当識障害と不安です。
対応の基本方針として、

①場所を覚え
②環境に慣れ親しみ
③今いる場所が楽しいところとなって
④そこに役割や日課があり
⑤ほかにどこにも行く必要がないと思うようになる

認知症の正しい理解と包括的医療・ケアのポイント 第2版 P101

が挙げられます。
馴染みの道具や介護者の笑顔、明るくて居心地よい雰囲気作りも必要です。

反応性の徘徊(失見当による)では、ポイントとなる場所がよくわかるようにします。
トイレには「便所」と大きく書いた紙を貼るなどです。
不安や孤独感を軽減できるように、なじみの関係作りも大切になります。家(在宅では生家や元の家)への帰宅要求が強い場合、一緒に外に出て他の事に考えが行くようにすることもあります。
転居などで環境が異なる場合は、本人の馴染みの家具の配置などを以前と同様にし、コミュニケーションを密にするなどして対応します。

せん妄による徘徊では、原因の根本治療を行う事が重要です。
強引に制止しようとすると興奮して乱暴になる事もあるため、手を握るなどして安心感を感じられるようにし、夜間だと静かに眠れるように誘導します。部屋や本人がいる場所を明るくすることも有効です。昼夜逆転を避けるため、日中には活動してもらえるようにしていきます。

脳因性(欲動・衝動性)の徘徊では、活力があり、他の事に関心も高いため、運動や散歩などの興味あるものに誘導し、エネルギーを転換します。一緒に行動し、安心感を持ってもらいます。薬物治療が有効な場合があります。

「帰る」と「行く」に基づく徘徊(夕暮れ症候群)への対応

夕暮れ症候群において、自宅にいるのに「家に帰る」と訴える場合、①ここが自分の家だと説明する(名前、住所なども見せる)②鍵を閉めるなどがあります。
認知症の方の進行を考えたときに、初期、中期、後期では良い対応方法が異なることがあります。①は初期、②は後期では奏功する可能性があります。
徘徊について、

「いつ」「どこで」「どのように」起こるのかを把握し、「家に帰る」と言った瞬間は、そこは「自宅であって自宅でない場所」なんだということを援助者が理解しておくことが重要です。

掘り起こせ”人”のやる気!我らOTスコップ隊 臨床作業療法 Vol9 No.2 2012 P177

とあります。
行動が起こる時間が決まっている場合、その少し前に一度家の外に出てみることが良い対応になる可能性があります(介護者は大変です)。
行動が出はじめた時に、お菓子を差し出し、食べているうちに落ち着くこともあります。
様々な方法が考えられますが、根本原因は今現在の家を「我が家」だと思っていないことにあります。その理由も今の家での生活に満足感が足りていないと捉えて、本人の役割や居場所作りをすることで「我が家」だと思うことにつながり、徘徊は減少する可能性があります。

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引用・参考文献