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Brs-stageの評価と一次運動野、皮質脊髄路

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先日、脳外臨床研究会和歌山支部の研修会に参加し、理学療法士小林隆大先生の講義を受けてきました。脳卒中の運動麻痺の評価では、Brs-stageにより評価をすることが多いですが、それを臨床に活かすにはどのように考えていけばよいかについてお話しされていたので、まとめていきたいと思います。

 目次

Brs-stageの評価を臨床に活かす方法

運動麻痺とは何か

運動麻痺とは、随意運動の機能障害だとし、運動の実行系には一次運動野と皮質脊髄路が関与しています。一次運動野からの運動出力は皮質脊髄路により脊髄前角細胞に伝達され、筋に伝わり随意運動が発現されます。

一次運動野と皮質脊髄路の違い

一次運動野と皮質脊髄路の違いを説明するときに、脳の解剖学的要素を元に説明されていました。
脳を作る神経細胞において、細胞体は「運動の指示」をし、軸索は出力装置で情報を「維持し、速く伝える」役割があります。
細胞体は一次運動野に存在し、運動の指示(運動パターンの出力・抑制)を行います。また軸索(髄鞘含む)は皮質脊髄路において情報伝達を行います。

運動麻痺の臨床評価

脳卒中運動麻痺の評価ではmBrs-stageをよく評価として選択します。
一次運動野では運動パターンの出力・抑制を行うので、評価としては「単関節が単関節で全方向に動くか(共同運動がみられないか)」をみていきます。すなわち、動かしたい関節に加えて他の関節も一緒に動いていないかを評価します。
皮質脊髄路では下位運動ニューロンの発火・動員数に関与し、収縮の力(筋出力)をみていきます。また、発火の速度にも関与しており、発火までのスピードをみていきます。発火のスピードは、Brs-stageⅥでの評価(スピードテスト)となります。
皮質脊髄路では、運動野からの指示(力・スピード)がどのように伝達されているかを評価しますが、そのためには自動運動あるいは抵抗運動を行い、その際に他の関節が動いてこないか(代償運動)を評価します。また自動運動をしたときにすぐに筋出力を発揮できるかも評価します。さらに、運動を数回行うことで変化があるか(できなくなるか)を評価します。

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Brs-stageは何を見ているか

Brs-stageは運動麻痺の回復過程を表しているものであり、運動麻痺のみを評価しているわけではありません。
Brs-stageでは痙性麻痺の要素(①伸張反射の異常②異常な連合反応③共同運動パターン④運動単位の動員異常)を全てみており、治療にはつなげにくいことを指摘していました(①②は運動の実行系以外の要素)。
stageⅠ、Ⅱでは運動麻痺以外の要素が強く、Ⅲ、Ⅳでも筋緊張の要素も影響します。

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運動野の損傷による共同運動と皮質脊髄路の損傷による共同運動

運動野の障害では、運動パターンの出力・抑制の障害により、共同運動が出現しますが、皮質脊髄路の障害においても分離運動が行いにくいということがよくあります。皮質脊髄路の障害では、解剖学的に考えると分離運動の障害は起こらないといえます。
皮質脊髄路の障害で分離運動が行いにくい理由として、筋出力の低下により代償運動が起こっている可能性が挙げられます。
皮質脊髄路の障害では、stageⅣ以上の可能性があり、そのため、力が弱くなっているのを助ける(除重力位や自動介助運動)により単関節運動が行えるかを評価する必要があります。また治療においても、分離運動の練習をするというよりは筋出力を向上させるための練習を行わなければいけません。

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皮質脊髄路の損傷後の脳活動は、一次運動野以外の皮質が過剰に働き、情報伝達がスムーズになされず、損傷を受けていない一次運動野における適切な出力が行えず、共同運動が出現すると言われていました。
このことから、「頑張って」などと無理に動かそうとすると、さらに脳活動のバランスを崩すことにもつながるため、動く範囲で、アシストしながら、動かし筋出力を高めていく必要があります。

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参考

脳外臨床研究会和歌山支部研修会 「苦手意識から克服 脳卒中基礎セミナー 運動麻痺の”動かせない”がわかる!〜基礎から評価の視点を明確に〜」 講義資料