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リハビリ専門職(作業療法士)の私が、肩こり、肩の痛み、腰痛、膝痛、骨盤トレーニングなど、「自分でできる」をキーワードに対策方法を伝授します。

認知症者の手工芸の評価(動作分析)と支援のポイント

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認知症者では、日常生活活動の援助が基本目標になりますが、手工芸を導入し、その評価から認知機能を把握し、適切な援助方法を見つけることが重要です。今回、認知症者の手工芸の評価(動作分析)と支援のポイントについて、文献を参考にまとめていきたいと思います。

 目次

認知症者の手工芸の評価(動作分析)と支援のポイント

引用・参考文献

認知症者の日常生活動作の援助と手工芸

認知症者の日常生活動作について、

日常の活動を可能にするためには、運動機能が十分に保たれていることも重要であるが、運動学習の観点では課題を理解し、説明内容を把握し、正しい順序で動作を行い、覚えた手順で行い、また行っている過程で誤ったときには、その誤りに気づき修正できることなどが必須条件である。

運動学習理論に基づくリハビリテーションの実践 P154

とあります。
手工芸を導入することで、上記の点を評価し、支援のポイントを見つけ出すことも日常生活動作の援助としてのひとつの方法になります。

手工芸の動作分析と評価の視点

手工芸における課題の遂行には、まず作業活動の工程分析を行います。
各工程の動作手順をセラピストがデモンストレーションし、援助して手順を想起させ、習得させます。そして各工程を援助なしで行えるようにし、その後全ての工程を独力で行える能力を獲得していきます。
その際、各過程で生じる手順の誤りと修正能力を定量的に評価し、適切な援助で作品を完成させます。また課題遂行中の様子から、日常場面で生じる問題行動を考察します。さらに、活動意欲や学習能力の活性化を目指していきます。

各工程における誤りの気づきの評価(5段階)

①他者が誤りを指摘しても気づかない
②他者が誤りを指摘すれば気づく
③自分で気づくが、誤りの内容を説明できない(誤りの内容を理解していない)
④自分で誤りに気づいて誤りの内容を説明できる
⑤誤りがない

運動学習理論に基づくリハビリテーションの実践 P156

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各工程における修正能力の評価(5段階)

①多くの手助けをしても修正できない
②多くの手助けで修正できる(言語指示を含むデモンストレーション)
③多少の援助で修正できる(見本、説明書、言語指示)
④援助なしで修正できる
⑤誤らずにできる

運動学習理論に基づくリハビリテーションの実践 P154

評価表

作業工程

遂行能力

援助方法

備考

誤りの気づき 1 2 3 4 5

 

 

修正能力   1 2 3 4 5

認知機能低下と援助のポイント

認知症者が興味ある活動として手工芸を行うことは、その遂行に興味を持ち、注意が向くことでBPSDの軽減や、作品の完成自体が自己認識や自己効力感を高めることが考えられ、心理的安定をはかることが可能です。
そのためには、認知機能の適切な評価と、手工芸の経験(手続き記憶の利用)、適切な手工芸種目の選択と導入が必要です。
種目にもよりますが、MMSEが20点以上あれば、工程ごとのデモンストレーションのあとに、手続き記憶も利用し遂行可能になることが多いです。MMSE10点台では、工程ごとに言語指示やデモンストレーションを行えば遂行可能になることが多いです。MMSE10点未満では、いくつかの工程を介助者が行う必要があります。
手工芸の難易度の調整として以下のような点に気をつけます。

介助量での難易度

やさしい

難しい

介助の内容

工程ごとにデモンストレーションを行い、誤りを指摘し、修正方法を教える

見本を見せ、説明書のみで行う

手工芸の親しみ

過去にしたことがある

経験がなく、初めて行う

作業工程の難易度

完成までの工程が少なく、工程毎の動作が簡単で、繰り返しの工程

工程が複雑で、工程ごとの動作が複雑で、間に連動性がない

運動学習理論に基づくリハビリテーションの実践 P157

援助での注意点としては、対象者ができる部分のみを行い、できない部分は介助することで、運動学習に混乱を引き起こすことなく課題の遂行が可能になります。混乱を起こすと、心理的安定を保てなく可能性が高くなるため注意が必要です。
手工芸の選択では、単純動作の繰り返しや形が多少整っていなくても機能性があるものは、他者からの賞賛を得られやすいといえます。
具体的には藤細工、アンデルセン手芸、ネット手芸などがあります。

認知症と運動学習

認知症と運動学習の関係について、

運動学習においては、言語理解が大きな役割を果たすとされている。しかし、われわれは日常、すべての行動を言語化し、その内容で行動しているのではなく、運動を繰り返し、動作が自動化することによって、よどみない生活活動をおこなっている。認知の障害が原因で動作を忘れたら、動作を分解し、各工程ごとに学習させることの積み重ねによって、目的動作が行えるようになる。

運動学習理論に基づくリハビリテーションの実践 P157

とあります。このような視点に基づいて、手工芸の遂行を観察し、運動学習との関係を評価していきます。

手工芸と脳機能

手工芸中の脳の活動では、ワーキングメモリや前頭前野の働きが確認されています。

興味を持ち、目的のある作品作りは、運動学習を通じて能動的に記憶を保持すること(ワーキングメモリー)ができる。また、作品作りを通した外界からの刺激が、前頭前野を賦活し、認知症患者の想起や記憶の保持の手助けとなる。

運動学習理論に基づくリハビリテーションの実践 P159

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