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リハビリ専門職(作業療法士)の私が、肩こり、肩の痛み、腰痛、膝痛、骨盤トレーニングなど、「自分でできる」をキーワードに対策方法を伝授します。

脳卒中片麻痺者の書字動作の特徴と分析、リハビリテーション

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脳卒中片麻痺者では、麻痺側で書字を行う際に麻痺手の過緊張を伴う動作になってしまい、字体の乱れや努力的でスムーズさにかける動作となってしまうことが多くあります。今回、脳卒中片麻痺者の書字動作の特徴と分析、リハビリテーションについて、文献を参考にまとめていきたいと思います。

 目次

脳卒中片麻痺者の書字動作の特徴と分析、リハビリテーション

参考文献

片麻痺者の書字動作の特徴

書字動作には、様々なバリエーションがあります。
例えば、上肢全体の動きによるもの、指先のみの動きによるもの、筆記具の把持ではそれを深く把持したり、指先で摘むように把持するなどがあります。
片麻痺者の書字動作の特徴としては、
・動作中筆記具の握りこみが強くなり、紙に対するペン先の角度を一定に保つことが困難
・指は握りで固定され、手関節と肘関節は一定角度で維持され、主に肩関節の動き(肩甲帯挙上を伴う)で書字する
・字を書く位置へのリーチに努力がいり、意図した箇所に線を引けなかったり、線の揺れ幅が大きくなる
などがあります。
これは、努力性のリーチング動作が指・手関節部の握りこみを強くし、筆記具の把持は可能ですが指・手関節での分離した動作を妨げている結果です。
また、肘関節では肩関節の動作に対して肘屈伸筋が同時収縮的に働き、スムーズな関節運動が行えていないことにもよります。その結果、肩関節の運動はさらに大きくなり、肩の過使用が目立つようになります。
そして、肩関節の細かな動きのコントロールが困難な状態となっています。
感覚障害がある場合、前腕・手関節・指関節を一塊にして書字動作を行うことが多くみられます。

 

書字動作のリハビリテーションにおける学習課題

前途したように、片麻痺者の書字動作では近位関節は努力性のため、様々な方向へのリーチングと、意図した位置での肘関節のスムーズな動きを、肩甲帯の挙上を抑制しながら行うということを学習していく必要があります。
目標とする運動スキルは、
・麻痺手で筆記具を把持する
・肘関節の分離した動きで字を書く
・字を連続して書くために麻痺手が移動できる
・非麻痺手(紙を押さえる)と麻痺手の協調した動きが行える
となります。
協調性、正確さ、書字スピード、適応性が向上するためには、「よいフォーム」が必要であり、よいフォームは課題遂行に必要なエネルギーを減少させることができます。
フォーム修正には、その情報提示と課題遂行後のフィードバックが重要であり、エラーを起こさないように管理されるべき部位と動きについての情報を具体的に提示していきます。

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書字における運動学習とリハビリテーション

書字動作の運動学習について、

皮質脊髄路の障害による片麻痺者の書字では、書字の特性は維持される。つまり書字の基本的概念は保たれているため、ふるえなどの書字における運動のノイズをどのように減少させるかが学習のポイントになる。

運動学習理論に基づくリハビリテーションの実践 P145

とあります。
段階付けとしてはなぞり書き(線引き)からカタカナ、画数の少ない漢字、ひらがなというように運動の自由度を調整して中枢神経系の機能的適応を促進させていきます。
また筆記具や用紙、姿勢、スピード、字体、字量に変化を加えて、日常的に行えるようにしていきます。
感覚障害がある場合、要素の連結や曲線の組み立てなどが困難になるため、視覚的フィードックや言語的フィードバックにより軌道修正を図り、運動制御の学習を促します。

書字動作を促すリーチング課題

書字におけるリーチングでは、肩関節の様々な方向へのコントロールと肘の動きを意識したリーチにより、肩の過剰で努力的な代償を軽減させることが重要になります。
リーチングを促すアクティビティとしてはワイピングを用いることが有用で、様々な段階付けが可能です。

ワイピング:
平面上で行うリーチ動作で、関節可動域拡大や運動の促通などに用いられます。
机上にて肩屈曲して肘伸展しながら前方へ手を伸ばし、その中で肩甲帯挙上を抑えて肘関節屈伸を行うことで、フォームの修正を行います。その際、体幹前後屈や肩甲帯の動きは抑制します。書字動作と同じように前腕中間位・手関節背屈位で把持できるため、タオルの上に把持しやすい筒を立てて「筒でタオルを滑らす」ように動かしていきます。

段階付け①単純動作
肩内転位から屈曲・外転方向へ半円を描くように動かします。段階付け②複雑動作
机上で円を描いたりカタカナ、ひらがなを書きます。
段階付け③目標物の設定
目標物にとどくようにリーチさせます。

*フォームに関する情報提示と課題遂行後のフィードバックでは、「前に行くときは肩をすくめないで」「戻すときは肩を後ろに引かないで」「肘の動きを意識して」などと部位と動きを明確にしていきます。

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