自分でできる体健やかブログ

リハビリ専門職(作業療法士)の私が、肩こり、肩の痛み、腰痛、膝痛、骨盤トレーニングなど、「自分でできる」をキーワードに対策方法を伝授します。

精神障害、認知症と不安へのリハビリテーション

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精神障害認知症者へなどの対象者では、不安が強い方がいます。リハビリテーションでは、対象者の不安が正常なのか病的なのか、またその原因をとらえることにょり、不安に対応することも可能です。今回、精神障害認知症と不安への対応について、文献を参考にまとめていきたいと思います。

 目次

精神障害認知症と不安へのリハビリテーション

参考文献

不安と、不安が出現しやすい状態

不安はほとんどの精神疾患の中核症状です。
不安は漫然としてつかみどころのないものであり、特定の対象を持たないものです。対象者は落ち着きがなくなり、「眠れない」「イライラする」「息苦しい」などと訴えることがあります。これらの症状は、危険信号であり、それを対処するための警戒信号でもあります。
不安が誰しもが経験する感情ですが、正常範囲の不安と病的な不安に分けることができます。
臨床では、①全般性不安障害:根拠のない不安に苦しめられる②パニック発作:突然の激しい不安で発作が起きる③恐怖症:特定の対象を異常に怖がる(神経症統合失調症うつ病認知症など)があります。

正常

病的

理由、対象あり

理由、対象なし

表現可能

表現しにくい

わかってもらえる

わかってもらえない

我慢できる

我慢できない

長く続かない

長く続く

いったん去れば気にならない

予期不安(また来るのでは)が続く

 

不安の手がかり

精神障害者認知症者では、自分が病気だという自我の障害があり、言葉によるコミュニケーション機能も障害されていることもあり、本人からの訴えや欲求を的確に把握することは困難なため、言葉以外の表情や身振り、態度、行動、行為、対人反応など客観的なものを評価します。
不安の徴候として

①顔の表情から:苛立ち、おびえ、緊張、興奮、硬い表情、沈んだ表情
②態度、行為から:そわそわして落ち着かない、キョロキョロとして視線を合わせない、同じ質問の反復、不穏、早口、徘徊、暴力、器物破損、無動
③自律神経症状:発汗、速い呼吸、頭痛、手指振戦、動機、顔面蒼白、頻脈、不眠など

作業療法のとらえかた P277

があります。

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不安への対応の大前提

不安への対応への大前提として「安心感の保証」があります。
不安があるものにとって、静かな「場所」、心配いてくれる「人」、訴えを「聴き入り」、「受け入れ」「見守り」、のうえで、慰め元気づけてくれることが心休まる時になります。
精神的安定を図るために、元気づけ、保証し、助言し、説得や納得を基本的態度としていきます。
これらの働きかけにより、対象者はセラピストに「理解された」「わかってくれた」と安心感と自信をもつことができます。
支持的療法では、セラピストとの信頼関係を通して患者の不安や危機感を回避させ、できる限り早く現実状況に適応させていきます。

不安への具体的アプローチ:接し方

セラピストの接し方として、重要なこは以下になります。

・優しく暖かい雰囲気で接する
・初めての患者には自己紹介、インフォームドコンセントを忘れないように
・ゆっくりとわかりやすい言葉で話しかけ、一度にたくさんのことを伝えない、簡単に手短に
・何についての不安か・どういう不安かを、可能であれば本人に聞く。言語的コミュニケーションが不可能な場合は、本人の非言語的サインから感じとる。カルテなどから、生育歴、生活歴、現病歴、発症・再発となったきっかけなどの情報を入れておくことも必要
・不安の対象がはっきりしている場合は、その不安を取り除く手助けをしたいことを伝える。

作業療法のとらえかた P279

対象者の不安感が高い時には何も要求しないようにします。また対象者にはセラピストが本人を脅かさない存在であることと、困ったときに手助けできる存在であることを伝えます。
本人のペースが尊重できるようにし、セラピストが先に動いたりせず待つことも必要になります。
セラピストが不安になると、本人にも不安が伝わるため、注意が必要です。
対象者が不安解消に行う行為にこだわらず、むやみに行動を制限しないことも必要です。

本人の思いを受け止めることも重要で、認知症であれば人物誤認や見当識障害がありますが、対象者にとってはそれが生きている世界であり、その世界に合わせることも必要です。
「共感」のためには、セラピスト自身の気持ち(「自分にも同じような経験があります」など)を語ることで、自分の気持ちを理解してくれたと感じ、信頼関係が高まります。
妄想による不安には、否定せず訴えには共感するようにし「それはつらいですね。でもここではスタッフがいて守られているので大丈夫ですよ」などと安心感を与えます。
認知症者では説得よりも納得を重視し、見当識障害や理解力低下による不安感を受け止めるようにします。認知症者が覚えている話題は不安感から自分を取り戻すきっかけとして有効な場合もあります。

不安への具体的アプローチ:作業活動の利用

単純作業でも身体活動は心的エネルギーか身体エネルギーに変えて気分転換となる効果があります。
作業活動への取り組みにより、新陳代謝の向上、生活リズムの回復、不安感などの軽減、自己愛や達成感を満たすなどの効果が期待できます。

セラピストの簡単な手伝いから始め、役割体験や有能感を持たせることもあります。
自信がなく何をするにも不安な人にはその場にいるだけでもよいことを保証します。
身体的・精神的負担に感じていても、自分から言い出せない人には、セラピストから声掛けをして休憩などを促すようにします。
強い不安感に対して、作業をしていることで気がまぎれる人には、没頭できることに取り組んでもらうようにします。
作業には十分な時間を与え、完成よりも作業をすることの重要性に視点を持たせます。
作業では成功体験ができるようにし、失敗はさせないようにします。よい反応や行動が見られた場合、賞賛を行うようにします。
作業選択では、独創性のあるものよりは、枠が決まっているものの方が安心感が得られます。また単純作業の繰り返しや、競争をあおらない作業、完成の見栄えに差が出ない者、途中で切り上げ(休憩できる)れる作業、短時間でできるもの、形のはっきりしているものがよいといえます。競争心に抵抗がなくなってきた場合には、オセロやトランプなどゲーム性のあるものを取り入れ、楽しみやコミュニケーションを図れる作業を導入します。
経験ある作業は取り組みやすく安心できる作業ですが、一方で以前に比べてできない自分を感じ、かえって不安にさせることもあり、特にうつ状態の場合には注意が必要です。
破壊的なエネルギーがある場合、散歩やバレーボール、ボーリング、サンドペーパー掛け、紙の切り裂きなどは破壊的エネルギーに出口を与え、建設的エネルギーに転換するきっかけになります。
認知症者では、昔話や買い物に行く、散歩したりすることで不安感が解消されることが多く、一人にさせないようにします。

不安への具体的アプローチ:集団の利用

集団に対して不安を感じている場合、いつ来てもいつ帰ってもよいこと、その場にいるだけでもよいことを保証し、本人が安心できる居場所を提供します。
集団の導入では、はじめは状態像や性格特徴などが似ている同じ質の4~5人の集団から行います。
集団のなかでは、セラピストが媒介となり、他者とのコミュニケーションや作業、集団への橋渡しなどを行い、短時間の参加からはじめていきます。道具の貸し借りなどを通して協調性や相互交流を期待します。
認知症者では、笑いあうことのできる集団体験はなじみの関係づくりや集団の場が自分の居場所であるとの認識を生じさせやすく、不安感の軽減が期待できます。

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