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リハビリ専門職(作業療法士)の私が、肩こり、肩の痛み、腰痛、膝痛、骨盤トレーニングなど、「自分でできる」をキーワードに対策方法を伝授します。

失語症者と知能障害の評価

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失語症では「話す」「聞いて理解する」「文字を書く」「読んで理解する」という側面の障害がみられ、知的機能検査における成績低下が知能障害によるものなのか、もしくは失語症によるものなのかを区別することが難しいといえます。そのため、失語症者の知的機能では、音声言語や文字言語を介さず、また複雑で機敏な手の動きを必要としない検査を用いて評価する必要があります。今回、失語症者と知能障害の評価について、文献を参考にまとめていきたいと思います。

 目次

失語症者と知能障害の評価

引用・参考文献

レーヴン色彩マトリックス検査(RCPM)

レーヴン色彩マトリックス検査では、幾何学模様の一部欠如したものの提示に対して、6つの小模様の中から欠如した模様に当てはまるものをひとつ選択するという課題です。
この検査では視空間能力や推理能力が必要とされます。
重度失語症者では、練習課題を行い方法の理解を促してから本検査に入るようにします。

失語症者にRCPMを施行した先行研究では、正常得点から低得点群までが広く分布し、臨床的に重度の失語症があっても、良好な成績を示す例が少なくないこと、また、失語症のタイプ別では、全失語や感覚失語のような脳の後半部に病巣を有する患者で成績が低い傾向にあるが、そのなかにも、高得点を取る例が少なからず含まれていることが指摘されている。

脳卒中最前線 第3版 P228

このことから、失語症があることでRCPMで評価する非言語性知能がすべて一様に低下するわけではありません。
本検査では失語症+構成障害がある例でも得点は低下し、この場合精神機能低下との鑑別は困難です。そのため、本検査で成績が良い場合、粗大な非言語性知能の障害がないということを重視する方が臨床的に捉えやすくなります。

happyhealth.hatenablog.com

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分類課題

提示された幾何学図形を「色、形、大きさ」などの知覚属性が共通するものに分類する検査と、提示された物を意味的な関連性により分類する検査です。意味的な関連性では、例えば物を同じ上位概念に属するものどうし、使いみちが同じものにまとめるような課題です。

いずれの検査も、群として比較した場合には、失語症群は失語症のない群よりも成績が劣る。しかし、失語症者のなかにも成績がよい患者もおり、失語症があると、これらの検査で測定する能力が必ず低下をきたすわけではない。

脳卒中最前線 第3版 P229

パントマイムの認知と表出

パントマイムの認知では、日常物品の使用方法を身振りで示し、対応する物品や物品の絵を対象者に指差しさせることで評価します。

重度の失語症者では、パントマイムの認知も劣るとする報告が多いが、そのなかにも成績のよい症例が含まれているので、パントマイムの認知能力の低下が失語症者に必須のものであるとはいえない。

脳卒中最前線 第3版 P229

パントマイムの表出では、観念失行があると考えることが多く、失語症者で身振りを用いてコミュニケーション能力を高めることができる方もいます。

色塗り、描画

塗り絵課題は物とそれに特徴的な色を連合させていきますが、失語症者では重篤な障害を示す者もいます。一方で、失語症が重度でも成績が良好な場合もあります。
このことから失語症と色塗り課題は密接な関係性があるとはいえません。

失語症者には、日常的な物を記憶に基づいて描くことができない例がいるが、構成失行や意味記憶を合併していても描画が困難になるので、その点についても考慮しなければならない。

脳卒中最前線 第3版 P229

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