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リハビリ専門職(作業療法士)の私が、肩こり、肩の痛み、腰痛、膝痛、骨盤トレーニングなど、「自分でできる」をキーワードに対策方法を伝授します。

脳卒中上肢機能訓練と回復のためのエビデンスとリハビリテーション指針

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脳卒中上肢機能回復に向けた機能訓練と回復のためのエビデデンスとリハビリテーションの指針について、文献を参考にまとめていきたいと思います。

 目次

脳卒中上肢機能訓練と回復のためのエビデンスリハビリテーション指針

参考文献

脳卒中後の筋力低下

脳卒中後の筋力低下には典型的なパターンはなく、また筋力低下は遠位よりも近位で著明にみられることもなく、屈筋よりも伸筋に著明にみられることもなく、回復が近位から起こるというようなエビデンスはありません。

三角筋の収縮はなぜみられにくいのか

三角筋の収縮がみられにくいことに関して、三角筋と大胸筋への皮質脊髄性の影響に関する研究では、

両側大脳半球からの入力は特に内転筋に著しいことを示し、さらに、三角筋への直接的皮質脊髄投射の根拠を与えた。

脳卒中運動療法 エビデンスに基づく機能回復トレーニング P139

とあります。
これは、臨床的に肩関節の自動内転運動がみられやすく、三角筋には収縮がみられにくいことを表しています。

 

皮質脊髄路損傷と運動パフォーマンス

皮質脊髄路が損傷を受けると、上肢筋群の筋活動に参加する運動単位が増加するタイミングがゆっくりになり、筋収縮の保持が困難になるとの報告があります。
このことは、上肢の空間保持や対象物の把持を維持することが困難なことを示しています。
リーチ動作では肩甲上腕関節の外転筋群、屈筋群、外旋筋群、回外筋群の筋力低下がおきく関係しているとされており、リーチ動作中の関節間の協調性の低下があり、視覚に基づく正確でスムーズな運動の持続が困難になります。
手の操作では手関節伸筋群、手指・母指の屈筋群、伸筋群、外転筋群、内転筋群が大きく関係しているとされており、対象物の把持での握力の維持と制御が問題となり、把持力は不規則に変化することがしられています。

対象物の有無によるトレーニング効果の違い

対象物を用いた意味のある具体的課題を用いるほうが、運動パフォーマンスの効果があるとの報告があります。そのため、コインやコップなど、日常的に使用される対象物を通じた訓練を行うことが重要になります。

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痙性とトレーニング

脳卒中上肢機能の回復には、筋力強化と機能的動作の反復が重要とされています。
痙性と運動との関係を考えた場合に、痙性が増加することを恐れて運動の反復が不足していることがありますが、脳卒中後の反射性過活動、連合反応、同時収縮は必ずしも機能を障害するものではないことを知っておくべきです。

積極的な自動的運動によっても反射性過活動や筋のこわばりが増加することはない。逆に、これらの現象は積極的な課題特異的エクササイズおよびトレーニングに対してポジティブに反応する。

脳卒中運動療法 エビデンスに基づく機能回復トレーニング P139

上肢機能訓練のエビデンス

種々の負荷に抗して手指と手関節の屈曲・伸展の15分間の反復的練習を1日に2回行った患者群では、握力、手関節伸筋の等張性最大筋力、運動スピード、機能的運動パフォーマンスに改善がみられたが、これとは対照的に、筋に対する直接的エクササイズを行わずに、筋緊張を落とすことに焦点を当てた神経発達学的治療を受けた対照群では、機能的運動に改善がみられなかった。

脳卒中運動療法 エビデンスに基づく機能回復トレーニング P139

上肢機能トレーニングに必要な要素

リーチング
前方:肩甲上腕関節屈曲
側方:肩甲上腕関節外転
後方:肩甲上腕関節伸展に伴う
 ー肩甲帯挙上
 ー肩甲上腕関節外旋
 ー肘関節伸展
 ー前腕回内・回外
 ー手関節伸展

把持
手関節・手指伸展、母指と第5指の手根中手関節の外転と連動した回旋(「対立」)を伴う対象物のまわりでの手指・母指屈曲

リリース
手関節伸展
手指中手指節関節伸展
母指手根中手関節外転・伸展

手の操作
手関節伸展位での手指中手指節関節屈曲・伸展
母指手根中手関節の掌側外転と連動した回旋(例;カッピング)
独立した手指屈曲・伸展(例;タッピング)
鍵握り、たとえば、母指ー示指;母指ー第5指;第4指、第5指を手掌内へ;母指+手指の中手指節関節屈曲、指節関節伸展(紙を保持するときの握り)

脳卒中運動療法 エビデンスに基づく機能回復トレーニング P142

・対象物の把持やリリースでは、形、大きさ、重さ、手触りの異なるものを用意する。
・対象物を一つの場所から他の場所に移動する。
・対象物を手の中で動かす
・座位、立位でリーチする。
・両手動作:
 片手で持ち、もう一方を動かす(瓶のふた開け)。
 両手で同じ運動(パン生地を伸ばす)
 左右異なった動き(りんごの皮剥き)。
・時間的動作能力の獲得(ボールをキャッチ、ボールを投げる、ボールをつく、ボールを棒で打つなど)。

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