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ギャンブリング課題の概要と評価方法、結果の解釈

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ギャンブリング課題は前頭前野腹内側部損傷を呈している方の行動障害を直接的に捉えるための神経心理学的検査です。日本では加藤による修正版が用いられており、今回は、ギャンブリング課題の概要と評価方法、結果の解釈について、文献を参考にまとめていきたいと思います。

 目次

ギャンブリング課題の概要と評価方法、結果の解釈

参考文献

前頭前野腹内側部損傷の症状

知的障害のない脱抑制、易刺激的などの人格変化があります。
検査では知能、言語、記憶、知覚、ワーキングメモリ課題も正常です。
社会的行動障害、意思決定の障害が出現し、仕事を継続できず、不適切な反応を示すことが多くなります。

ギャンブリング課題の概要と評価方法

ギャンブリング課題では、「い、ろ、は、に」と名前をつけた同じトラン プ(1 組52 枚)を4組使用します。
4組のトランプはすべて裏向きの山で、被検者の前に等間隔で、被検者から向かって左から右に 「い、ろ、は、に」の順に並べられます。
①検査前に、被検者には総額20万円の擬似紙幣とコインが渡され、検者が「親(胴元)になってゲームをすること」が告げられます。

②「ここにある4つの山のトランプから1回に1枚のカードを引いてもらう」こと、「検査では何回もカードを続けて引いてもらうもので、一種の賭けであること」を説明します。

③被検者がカードを 1回引くと「親からお金が支払われる」
「時々罰金(ペナルティー)がある」
「自分の持つお金を増やして最大にする」を説明します。
「どのトランプから引いてもよい」
「どの山から選ぶか、いつ何回でも変更してよい」ことも説明されます。

④カー ドをめくり、それを表向きにして、山の被検者側に置くよう指示します。
検者も被検者に支払うために相当額のお金を持ちます。
検者の紙幣は被検者にも見えるようにします。

⑤検査は被検者が100回カードを引くと終了します。
*被検者には説明しません(「やめ」と言われるまで続けるように説明します)。

⑥被検者はカードを引くたび、「い、ろ、は、に」 のそれぞれに示された報酬を受け取ります。+ 10,000 および+5,000とは、それぞれ1万円、5千円の報酬を示しています。また、用紙の決められたスケジュールに従い罰金(ペナルティー)が課します。
評価用紙の−数字が、 山の選択回数におけるペナルティーの金額になります。
報酬、ペナルティー金額と順序は、被検者に知らされず、引く山との関連性も説明しません(繰り返し聴かれても説明はしません)。
「は」と「に」の山は最終的に得をする山で、good deck と呼ばれます。
「い」と「ろ」の山は最終的に損をする山で、bad deckと呼ばれます。

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出典:よくわかる失語症高次脳機能障害

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結果の解釈

ギャンブリング課題では、被験者が1 回カードを引くと、即時の報酬とその後の(遅延した)罰が1施行ごとに与えられます。
健常例では回数を重ねるにつれgood deckを引くことが徐々に学習され、後半にその傾向が強く認められます。
反対に前頭葉眼窩部(腹内側部)損傷例では、bad deck の総選択数が多く、特に後半での選択が目立って多くなります。
ギャンブリング課題の成績低下はワーキングメモリ障害とは乖離して出現するとされています。

前頭葉腹内側部損傷では、健常者では無意識的な段階においても生じる情動的な警告信号がなく、このためにカード選択に際して、このカードは「良い」「悪い」 ということを示すソマティック・マーカーが欠如し、その結果bad deck を引き続けると解釈している。

よくわかる失語症高次脳機能障害 P434

ソマティック・マーカーは、意思決定や行動選択のための重みづけ信号で、自動的な警告信号であると考えられています。
これは意識されることもあれば、意識されないこともあります。
前頭葉腹内側部は、身体内部に生じるソマティック・マーカーと外部環境の認知とを結びつける記憶装置だと言われています。
行動の将来の帰結・結果を「良い」 ないしは「悪い」でマークしているというのが、ソマティック・マーカー仮説になります。

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