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視覚機能トレーニングによるバランスの改善!鍛え方、リハビリ方法

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高齢者では、バランス能力の低下から転倒につながり、それが寝たきりの要因となることがしばしば見受けられます。バランス能力の低下は様々な原因がありますが、視機能の低下がバランス能力に影響を与えていることもあります。今回、視覚機能トレーニングによるバランスの改善!鍛え方、リハビリ方法について、文献を参考にまとめていきたいと思います。

 目次

視覚機能トレーニングによるバランスの改善!鍛え方、リハビリ方法

バランスに関連する要素

バランスに関連する要素として、入力系である感覚器、それらの情報伝達のための神経伝導路、制御部の中枢神経系、出力部の筋・骨格系があります。
感覚系には視覚、前庭迷路、体性感覚があり、各伝導路により中枢神経系へ情報が伝達されます。
その情報から筋・骨格系を制御し、最終的に姿勢が適切な状態に保たれます。

感覚系とバランス

感覚系では、前庭迷路はバランス制御にとって重要で、5つの伝導路により中枢へ情報伝達されます。
頭部回転に対する情報は三半規管(前・外側・後半規管)により、前後上下方向の加速情報は耳石器で検出され、前庭神経によって前庭神経核に伝達されます。これらの情報は,緊張性迷路反射など多くの姿勢反射に関わっています。
固有受容器からの情報の一部は、脊髄小脳路により小脳(脊髄小脳)へ伝達され、バランス制御や巧級性運動に関わっています。
視覚情報は立ち直り反応、リーチ動作などの巧級性動作に関わっています。
視覚情報は視神経、外側膝状体から一次視覚皮質領(第17 野)から 頭項葉を経て運動前野に至り、運動・バランスに関わります。

中枢神経系とバランス

中枢神経系では脊髄、脳幹、小脳、大脳基底核視床、大脳皮質が関与しています。
脳幹は姿勢調節にとって重要です。
小脳は脊髄、前庭、 大脳皮質からの入力を受け、各投射部位は脊髄小脳、前庭小脳、大脳皮質小脳と呼ばれ、 バランス制御に関わっています。
大脳基底核バランス制御・随意運動に関係していますが、 淡蒼球内節・黒質網様部から脚橋被蓋核への抑制性出力を介して前庭脊髄路、網様体脊髄路に影響を与えてバランス制御に関わっています。
バランス制御にとって基本となる伸張反射(脊髄の単シナプス反射)では、α-γ連関に よって調節され上位中枢からの影響も受けています。
姿勢・粗大運動に関わる内側活性化システムと四肢・巧緻運動に関わる外側活性化システムが筋格系を制御し、適切な姿勢保持を実現しています。

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周辺視野とバランス

視覚系では中心視機能より周辺視機能がバランス保持に重要とされています。  
周辺視野の遮蔽では、遮蔽される周辺視野面積が増えるに従い重心動揺の増加がみられ、周辺視野がバランス保持に関与していることがわかっています。
高齢者では有効視野が狭く、有効視野は中心視に負荷がかかると、周辺における認知が低下すると言われています。高齢者では中心視処理には年齢差はあまり見られませんが、中心視の負荷が加わったり、 周辺に予測困難な対象が提示されたりすると視野が狭くなるとされています。
このことから、周辺視のトレーニングを行うことにより、バランス能力の改善が見られることが期待できる可能性があります。

周辺視のトレーニング

石垣らは、ニンテンドーDS見る力を実践で鍛える DS眼力トレーニング」の中の3つの種目(ナンバータッチ、上下C、トリプルC)を使用し、重心動揺、開眼片脚立位、10m歩行を指標として効果を検証しています。また有効視野測定や眼球運動測定も行っています。
結果は、重心動揺ではトレーニング群の開眼時の左右軌跡長のみが有意に短縮し、他の項目には有意差はなかったとされています。
トレーニング群の開眼片足立ち,10m歩行に有意差があったとされ、非トレーニング群では開眼片足立ちのみが有意で、 他の項目には有意差がなかったとされています。 
有効視野,眼球運動はトレーニング群, 非トレーニング群とも有意差がなかったとされています(DSによる視機能測定では10%向上)。

この結果を受け、ニンテンドーDS見る力を実践で鍛える DS眼力トレーニング」により、左右へのバランス力が改善する結果が得られ、閉眼では短縮しなかったことからトレーニングによるバランス力の改善には視覚情報が関与していることを示唆したとされています。 
バランスに関与する周辺視情報の指標として有効視野を測定では、トレーニングによる有意差はありませんでしたが、被験者の周辺情報、とくに水平情報の受容能力が向上し それが左右バランスの改善に寄与したのではないかと推測したとあります。

ニンテンドーDS見る力を実践で鍛える DS眼力トレーニング

①シャッフル
3つの箱のうち、1つだけ「○」が入った箱があります。箱の位置が入れ替わっていくので、どの箱に「○」が入っているかを答えます。
素早く動く箱を眼で追いかけることで動体視力が鍛えられます。

②ABC速読
いろいろなアルファベットが左右に移動しながら連続で表示されます。初めに表示されるお題と同じアルファベットがいくつ表示されたかを数えます。
移動する物体を眼で追いかけることで動体視力が鍛えられます。

③瞬間数字
上画面に一瞬だけ表示される数字を答えるトレーニングです。眼で見たものを瞬時に記憶する瞬間視を鍛えるトレーニングです。

④瞬間記号
下画面に一瞬だけいろいろなマークが表示されます。その中から「○」があった場所を答えるトレーニングです。

⑤トリプルC
上下画面のどこかに「C」が3回表示されます。表示された順番どおりに「C」の向きを答えます。さまざまな場所に出現する「C」に視線を向けることで、眼球運動が鍛えられます。

⑥カウントC
いろいろな向きの「C」が上下画面のどこかに表示されるので、初めに表示されるお題と同じ向きの「C」の数をカウントします。

⑦周辺C
下画面の中央とその周りにいろいろな向きの「C」が表示されます。周りに表示される「C」のうち、中央と同じ向きの「C」を探して答えます。

⑧上下C
上下画面に一瞬だけ「C」が表示されます。上下とも同じ向きか、それとも違ったかを答えます。

⑨連続タッチ
下画面に現れる「□」が消えてしまう前にすばやくタッチするトレーニングです。眼で見た場所を的確に捉える力が鍛えられます。

⑩ナンバータッチ
1から20までの数字がかかれたパネルを1,2,3・・・と順にタッチしていきます。眼で見た場所を的確に捉える力が鍛えられます。

以上は基礎トレーニングですが、他にも応用編もあります。
個人的には、視機能の他に、ワーキングメモリや、注意集中力の維持、注意の分配なども課題には含まれていると考えています。
そのため、高次脳機能障害での注意障害や記憶障害を有する方への自主トレーニングメニューとしても有効な可能性があると考えています。

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参考文献など

石垣 尚男ら「高齢者の視機能トレーニングによるバランス力の改善」愛知工業大学研究報告  第 47 号  平成 24 年