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リハビリ専門職(作業療法士)の私が、肩こり、肩の痛み、腰痛、膝痛、骨盤トレーニングなど、「自分でできる」をキーワードに対策方法を伝授します。

脳卒中上肢機能予後予測の知識と方法

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脳卒中リハビリテーションプログラムにおいて、予後予測による目標設定は脳卒中治療ガイドラインにおいても推奨されています(グレードB)。脳卒中片麻痺者の上肢機能の予後予測をすることは、早期からの利き手交換訓練を導入するか否かの指標にもなります。今回、脳卒中上肢機能予後予測の知識と方法について、文献を参考にまとめていきたいと思います。

 目次

脳卒中上肢機能予後予測の知識と方法

参考文献

前田真治:我々が用いている脳卒中の予後予測Ⅳ.臨床リハ10:320-325.2001
脳卒中機能評価セミナー・予後予測セミナー 配布資料

脳卒中上肢機能予後予測に必要な評価ツール

①画像
②随意性と筋緊張の観察
③SIAS
④Copenhagen Stroke Study

 

画像による予後予測

脳卒中片麻痺者の上肢機能予後予測に画像所見を用いることで予測精度が向上することはよく知られています。
画像所見では、病巣の大きさよりも部位の方が重要と言われています。
病巣が予後に与える影響としては、
①小さい病巣でも運動予後不良な部位
 放線冠(中大脳動脈穿通枝領域)の梗塞
 内包後脚
 脳幹(中脳、橋、延髄前方病巣)
 視床(後外側の病巣で深部関節覚が脱失のもの)
②病巣の大きさと比例して運動予後がおおよそ決まるもの
 被殻出血
 視床出血
 前頭葉皮質下出血
 中大脳動脈領域の梗塞
 前大脳動脈領域の梗塞
③大きい病巣でも運動予後が良いもの
 前頭葉前方の梗塞・皮質下出血
 中大脳動脈後方の梗塞
 後大脳動脈領域の梗塞
 頭頂葉後方〜頭頂葉、側頭葉の皮質下出血
 小脳半球に限局した片側性の梗塞・出血

随意性と筋緊張の観察による予後予測

発症後1〜3週間前後で随意運動が改善して、筋緊張があまり亢進しない例は回復良好。
随意運動回復よりも連合反応、深部腱反射亢進や筋緊張亢進が顕著な例では回復不良。
最終的に実用手となるための条件
・発症当日に完全麻痺ではない
・数日以内に随意運動回復が見られる
・1ヶ月以内に準実用手レベルに達する

SIASを用いた予後予測

発症1ヶ月の時点で、
手指SIAS3:5割以上の確率で実用手
手指SIAS4以上:8割が実用手
手指SIAS0:7割が全廃

happyhealth.hatenablog.com

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Copenhagen Stroke Studyを用いた予後予測

Copenhagen Stroke Studyでは、Scandinavian Stroke Scaleを用いて上肢、手指機能を評価することで重症度を分け、重症度別に実用手、準実用手、実用性なしの割合と、回復期間の目安を把握することができます。
Scandinavian Stroke Scaleの上肢、手指の評価(勝手に翻訳したものです)
上肢:
raises arm with normal strength(通常の強さで腕を上げる) 6
raises arm with reduced strength(強度を落として腕を上げる) 5
raises arm with flexion in elbow(肘の屈曲で腕を上げる) 4
can move, but not against gravity(重力に反して動くことはできない) 2
paralysis(麻痺) 0
手指:
normal strength(通常の強度) 6
reduced strength in full range(フルレンジでの強度低下)4
some movement, fingertips do not reach palmいくつかの動き、指先は手のひらに届かない) 2
paralysis(麻痺) 0

以上を元に、重症度を判定していきます。

運動麻痺

Scandinavian Stroke Scaleのスコア

なし

上肢、手指が6点

軽度

上肢4〜6点かつ手指4〜5点

もしくは

手指4〜6点かつ上肢4点

重度

上肢または手≦2点

次に、重症度をもとにCopenhagen Stroke Studyに基づいて、上肢機能の実用性と回復期間の目安を見ていきます。

 

実用的

準実用的

実用性なし

死亡

80%回復

95%回復

重度

11%

24%

20%

45%

6週

11週

軽度

77%

10%

5%

8%

2週

6週

麻痺なし

80%

14%

1%

5%

2週

6週

 80%回復とは、上肢機能の回復が80%の症例でみられなくなるまでの期間です。
 95%回復とは、上肢機能の回復が95%の症例でみられなくなるまでの期間です。

補助手と実用手

補助手以上の回復には、発症4ヶ月以内でBrunnstrom Stage上肢4、手指4以上が必要と言われています。
実用手に達するためには、3ヶ月以内に上肢、手指がともにstage5に達し、深部感覚、失調、不随意運動がないものと限定されています。
なお実用手とは、Brunnstrom Stage手指、上肢とも正常、感覚ほぼ正常、不随意運動なし、簡易上肢機能検査で健側の90%以上の成績、の4点を全て満たし、日常場面で意識しなくても自然に手が出て、書字、箸操作が行え、その耐久性があるものとされています。

予後予測のポイント

脳卒中上肢機能予後予測のポイントとして、麻痺の重症度では、発症時に完全麻痺ではなかったか、手指機能は保たれていたかの2点が重要です。
改善経過では、発症早期からの回復傾向がみられたか、随意性回復前に痙性亢進がなかったかの2点が重要になります。
しかしながら、現在の脳卒中上肢リハビリテーション技術は進歩しているため、一概に回復しないと決め付けずにリハビリを行うことも重要かと思われます。

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