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リハビリ専門職(作業療法士)の私が、肩こり、肩の痛み、腰痛、膝痛、骨盤トレーニングなど、「自分でできる」をキーワードに対策方法を伝授します。

上肢運動失調症の臨床症状と評価の視点・方法

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運動失調症は、四肢および体幹の随意運動の空間または時間(タイミング)の非協調的な状態です。四肢では測定異常、反復変換運動障害、共同運動障害、運動の開始や停止の遅れ(時間的測定異常)などがあります。今回、上肢運動失調症の臨床症状と評価の視点・方法について、文献を参考にまとめていきたいと思います。

 目次

上肢運動失調症の臨床症状と評価の視点・方法

参考文献

測定異常

視覚的な異常は認められないが、目標の対象物をつかもうとすると目標を超えたり(測定過大)手前で止まることがあります(測定過小)。
運動失調はフィードバック系の障害と言われていますが、眼振があれば視覚情報入力に問題が生じるため、四肢の失調症状に影響があります。
日常場面では、コップを取りたいが行きすぎてコップに手が当たりコップを倒してしまう、または手前でコップをつかむ動作だけをおこなってしまう、スプーンでお皿の食べ物をすくおうとするがお皿にスプーンを当ててしまう、などが見受けられます。

 

反復変換運動障害

主動作筋と拮抗筋を交互に(迅速でリズミカルに)運動させるような反復運動の際、リズムが乱れ、不規則でぎこちない運動がみられます。
前腕回内外を繰り返す動きが代表例です。

共同運動障害

各筋の働くタイミングのずれや、逆に同時に働いてしまうことで、多数の関節を協調して動かすことができない状態です。
歩行において、下肢の振り出しのタイミングに合わせた上肢・体幹のバランスの取り方が乱れると転倒のリスクが高まります。

運動の開始や停止の遅延

随意運動の開始や停止が遅れます。時間的測定異常とも呼ばれます。

振戦

目的物へのアプローチの際、目的物に近づくと四肢の先端部の揺れが大きくなっていくことを企図振戦と言います。
日常生活上では、スプーンでお皿の食べ物をすくおうとするが、手部が激しく動揺して食べ物がスプーンからこぼれ落ちてしまうなどが見受けられます。

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失調症の評価

鼻指試験:
①座位、対象者の正面に検者の指を立てます。
②「私の指先をあなたの指先で触ってください。次に自分の鼻の先を触ってください。」と説明し、検査を行います。
*測定異常があると、検者の指を超える・患者自身の顔を叩く(測定過大)、手前でとまる(測定過小)がみられます。
*検者の指に近づけるにつれ患者の指が左右上下に揺れる(企図振戦)も評価できます。
*検者の指の位置を変えて行う方法を「鼻指鼻試験」といい、繰り返し動作の観察により反復変換運動障害の評価が可能です。

線引き検査:
一定間隔を空けた2本の垂直線が引かれた用紙を患者の正面に置き、片方の線上からもう片方の線上に線を引かせます。
*測定異常では到達する前で止める(測定過小)、線を超える(測定過大)を観察できます。また、振戦の程度もおおまかに評価できます。

打点検査:
用紙にダーツの的のような同心円を書き、中心に鉛筆で点を打たせます。
1秒間に1回のペースで、手拍子をとりながらそれに合わせるように打たせます。
*振戦があれば、中心から離れた所に打点が多くなり、動作のリズミカルさを見ることで、反復変換運動障害の評価が可能です。

 手回内・回外試験:
一側上肢を前方挙上させ、手指は開いた状態でできる限り速く回内・回外させます。
*反復変換運動障害があれば、回内外の角度の減少や、切り返しのリズムの乱れが生じます。
*もう一方の上肢を前方挙上させ、その手掌を上に向け、そこに向けてリズムよく叩かせます。リズムの乱れをみることで、変換運動の拙劣さを評価することができます。
*筋緊張異常や運動麻痺があると検査は陽性になるため注意が必要です。

肩揺り試験:
立位でリラックスした姿勢をとり、セラピストが後方から体幹を保持し、前後に揺さぶります。
*筋緊張低下があると、上肢は大きく揺れます。

簡易上肢機能検査(STEF):
STEFを実施することで、物品移動に伴う上肢の失調症状の質的評価が可能となります。

書字:
書字動作により、失調症状の評価や、変化を捉えることに役立ちます。
運動失調の場合、徐々に文字が大きくなっていく大字症がよく観察され、測定障害や協働収縮不能などにより書字動作が困難になることが多くあります。

運動分解:
上肢を伸展させた位置より示指で耳に触れます。
*通常、直線的に耳に触れますが、それが困難になります。

Stewart-Holmes反跳現象:
肘屈曲に対し、最大抵抗を加え、急に離したときの状態を見ます。
*運動失調では離された手が顔や胸を強く打ちます。
*危険なため、顔に当たらないようにセラピストの手でカバーしておきます。

上田の協調性テスト:

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出典:作業療法技術ガイド 第2版

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