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外傷性脳損傷(脳挫傷、びまん性軸索損傷)におけるアパシー(意欲障害)

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外傷性脳損傷は頭部に外力が加わることによって生じる脳の損傷をさし、頭部外傷とも呼ぶことがあります。その後遺症として、高次脳機能障害があり、記憶・注意・遂行機能低下、社会的行動障害が中心となる症状です。その中でもアパシーは社会的行動障害として位置づけられています。今回、外傷性脳損傷脳挫傷、びまん性軸索損傷)におけるアパシー(意欲障害)について、文献を参考にまとめていきたいと思います。

 目次

外傷性脳損傷脳挫傷、びまん性軸索損傷)におけるアパシー(意欲障害)

参考文献

新版あります

外傷性脳損傷の機序

外傷性脳損傷は局所性とびまん性の2つに分類されます。
局所性脳損傷は外傷の直接的な衝撃が脳に局所的に作用することで生じます。頭蓋骨の解剖学的特徴から前頭葉下部から底面、側頭葉皮質に脳挫傷・頭蓋内血腫を生じやすくなります。
一方、びまん性脳損傷は回転加速度のかかる衝撃が脳に作用し生じます。びまん性軸索損傷が代表例です。

 脳挫傷などの局所性脳外傷はMRIで容易に診断できるが、びまん性軸索損傷ではMRIのT2法で脳梁、脳幹、小脳などの微小出血の所見に着目して判定する。

脳疾患によるアパシー(意欲障害)の臨床 P94

外傷性脳損傷では、衝撃による一次損傷以外の症状として、頭蓋内圧亢進、全般性脳血流低下、低酸素などの二次損傷が大脳全体に及び、その障害範囲が広範囲となり、局所的な責任病巣とその周辺部位の障害が出現する脳血管障害とは性質が異なります。

外傷性脳損傷アパシー

外傷性脳損傷でみられる社会的行動障害には、易怒性、攻撃性、焦燥感、脱抑制、不安、興奮、幻覚、妄想、抑うつ、コミュニケーション能力の低下などがあり、アパシーもそれに含まれます。
アパシー状態では、目標・計画の立案、行動開始・維持の困難、情動反応の低下などがみられます。
神経心理ピラミッドによると、無気力症は抑制困難症と並び下から2番目の階層にあり、神経心理ピラミッドでは下の階層が改善することで、より上の階層が機能してくるとされており、アパシー状態は根本的な問題と捉えることができます。
アパシー発現には、前頭葉皮質ー皮質下回路が重要で、前頭葉障害を生じやすい外傷性脳損傷ではこの回路に関連する部位の損傷が関係するといわれています。

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外傷性脳損傷における精神・行動的側面

外傷性脳損傷では、アパシーと易刺激性・興奮・攻撃性・脱抑制などは並存していることがあります。
脱抑制がみられる場合でも、刺激がない場合には無為に過ごしているようなこともあります。
このように正反対の側面を持つ症状の並存について、

前頭葉皮質ー皮質下回路のそれぞれによってアパシーの特徴が異なり、背外側前頭前野基底核回路の損傷では、認知的に行為のplanningが困難になることがアパシーにつながり、眼窩面ー基底核回路の損傷では、情動を行為に関係づけることの困難さがアパシーにつながるという。

脳疾患によるアパシー(意欲障害)の臨床 P95-96

とあります。

外傷性脳損傷でのアパシーに対する薬物療法リハビリテーション

薬物療法では、抑うつを伴うアパシーなのか否かを鑑別しておくことが重要になります。
うつ状態では、SSRISNRIなどの抗うつ薬などの薬物療法が行われます。薬物療法が難しい難治性うつでも、電気けいれん療法などを行うことも可能です。
器質的脳損傷など、うつ状態を伴わないアパシーでは、精神刺激薬、ドパミン作動薬、抗うつ薬アセチルコリンエステラーゼ阻害薬などが使用されますが、効果は限定的であることが多いようです。
リハビリテーションでは、自己の気づきや自己認識力(アウェアネス)を高めることや、対人コミュニケーション改善とスキルの獲得、興味関心の広がりなどに向けてアプローチしていきます。

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