自分でできる体健やかブログ

リハビリ専門職(作業療法士)の私が、肩こり、肩の痛み、腰痛、膝痛、骨盤トレーニングなど、「自分でできる」をキーワードに対策方法を伝授します。

認知症の作業療法における成果の示し方

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認知症作業療法介入を行った際の成果を示すことは、作業療法認知症にとって効果的であることを示す機会になります。その効果は、誰にどのように利益があったのかを考える必要があり、成果には数値や具体的な数値で表すことが重要になります。今回、認知症作業療法における成果の示し方について、文献を参考にまとめていきたいと思います。

 目次

認知症作業療法における成果の示し方

引用・参考文献

成果にはどんな種類があるのか

参加に焦点を当てた成果には9つのタイプがあるとされています。

 

 作業遂行:クライエント、場面、活動の間のダイナミックな交流によって、選択された活動や作業を実施し成し遂げる行為。作業遂行上の技能やパターンが改善される、あるいは可能になることによって、作業や活動に結びつくことが可能となる。例として以下のものが含まれる
・自助具を使って食事をする能力
老人保健施設から家庭復帰するための能力
・家族介護者や施設介護士の介護技能

適応:作業への挑戦に遭遇したときに、クライエントが行う応答的アプローチの変更。この変更は、クライエントの習慣的な応答アプローチでは挑戦の全体にわたって習得が不十分だとわかるときに実施される。例として以下のものが含まれる
・ふらつくクライエントがシルバーカーを使用して過ごすようになる
・集団活動中に居心地が悪くなったら、いったん退席し、少ししてから戻る
・病院デイルームで配席を変えることで、穏やかに過ごせるようになる

健康とウェルネス:健康とは、社会や個人の資源、身体的能力を強調する肯定的概念であると同様に、身体的、精神的および社会的によい状態のことである。ウェルネスは、個人がより成功した存在に向かって選択することを通した積極的なプロセスである。ウェルネスは病気の兆候がないということ以上の状態である。例として以下のものが含まれる
・施設で気の合う人たちと笑顔で話をして過ごす
・調理活動に参加し、協力し合う
グループホームにいる認知症をもつ人が地域の遠足に参加する

参加:文化のなかで期待され、かつ個人的に満足する方法で望む作業と結びつく
・家族と一緒に食卓で食事をとる
・毎日夜7時に入浴する
・農家の高齢者が畑の草取りをする

予防:ヘルスプロモーションは、健康の決定要因(教育、食事や収入など)を理解することを通して、個人、組織、社会、環境レベルで平等にmそして本質的に、健康に必要な状態を創造することに関係している。作業療法は、個人、グループ、組織、地域や政策レベルで健康な生活スタイルを促進する。成果の例として次のものが含まれる
・手すりを設置して転倒を予防する
老人保健施設で体操やレクリエーション活動を開催する
・地域の高齢者が認知症予防教室に参加し、活動的な生活が習慣化される

生活の質:クライエントの生活の満足、望み、自己概念、健康と能力の動的な評定。成果には次のものが含まれる
・重度認知症をもつ人の、レクリエーション活動への十分で積極的な参加
・家族と接触を希望する施設入居高齢者の、家族による毎日の面会
・家族介護者の心理的サポートのための家族会の結成

役割能力:クライエントが役割を効果的に担う能力
・グループ活動で冗談を言い、場を和ませる
高齢者施設でエプロンやおしぼりを衛生的にたたむ
・地域の野菜直売所で客を迎える

自身の権利の代弁:自分や他者を積極的に売り込み、支援すること。強み、ニーズ、ゴールの決定、法的権利と責任の知識を理解することや、これらの項目を他者と話すことの要求。成果には次のものがふくまれる
・自分の家族への電話を要求し、実現する
・家族が施設に、認知症をもつ自分の家族のケアやレクリエーション活動にかかわることを要求する
・介護スタッフが移乗させやすい車椅いすの導入を、施設管理者に要求する

作業的公正:他者に与えられた意味と価値のある作業の全範囲にアクセスし、参加できること。個人、健康や社会的ニーズを満たす作業に参加するための資源や、社会的統合の機会が含まれる
・盗食を理由に個室施錠となったクライエントに、デイルームでの食事の機会を提供する
・作業剥奪状態の高齢者に、多様な活動プログラムのなかから興味ある活動に参加する機会を提供する
・家族介護者がレスパイトケアを利用して旅行に出かける機会を提供する

認知症をもつ人への作業療法アプローチ P87,88

これらの用語とともに頻度や程度の数値かを行ったり、観察される様子を記述して変化を示していきます。

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成果を示す方法

成果を示すためには、介入前と介入後の状態を評価ツールを用いて数値かしたり、具体的事象を記述する必要があります。
変化を数値で表せることは、客観性や信頼性がますため重要です。

数値を用いる

前途した成果のタイプに合う評価測定方法を選択します。妥当性、信頼性があるものを用いるとなおよく、評価尺度の段階が多いものは、変化を捉えやすくなります。
以下は認知症における作業療法で使用されている評価法です。

項目

評価・測定ツール

意味ある作業

COPM、ADOC、NIP興味チェックリスト、役割チェックリスト日本版

日常生活活動

FIM、AMPS、N式老年者用日常生活動作能力評価尺度、IADL、老研式活動能力指標

認知機能

MMSE、HDS-R

情緒

GDS、NPI、Cornell Scale for Depression in Dementia、Hayes and Lohse Non-verbal Depression scale

行動

FAST、CDR、GBSスケール、NMスケール、DCM、パラチェック老人行動評定尺度、TBS、Behave-AD

介護負担

SCQ

ある作業遂行において、標的となる行動や状態などに対し、時間、回数、頻度や割合で示すこともあります。
費用で示すこと(受診回数、服薬量減少での医療費減少、排泄失敗回数減少でのオムツ代減少など)も有用です。

変化の違いを具体的に記述する方法

自尊心、有能感、意欲、自信、希望、快感情、自己効力感などの発言がみられた場合に、それを記述していきます。そのためにも、介入前の発言を記しておくことが大切になります。
日常の様子を、よい状態・よくない状態のサインを参考にして記述していきます。

よい状態のサイン

よくない状態のサイン

自分に自信をもっている
自己主張を強くできる
身体がリラックスしている
他者のニーズに対して敏感
ユーモアが使える
創造的な自己表現ができる
喜び、楽しさを表す
役に立つ、手伝う
他者との交流を自らする
愛情や好意を示す
自尊心を示す
様々な感情を表現する

絶望しているときに誰にも相手にされない
強い怒り
悲しんでいるときに誰にも相手にされない
不安

恐れ

退屈

苦痛、痛み、不快感

緊張

動揺

無気力

作品や写真、映像で示すことも大切です。視覚的な情報は他者がみてもわかりやすく、作業療法の成果が示しやすくなります。このような情報は、家族や介護者に伝えることが大切で、認知症があるなかでも能力の再確認が行え、日常場面での接し方や介護方法によい影響を与える可能性も考えられます。

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