読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

自分でできる体健やかブログ

リハビリ専門職(作業療法士)の私が、肩こり、肩の痛み、腰痛、膝痛、骨盤トレーニングなど、「自分でできる」をキーワードに対策方法を伝授します。

リハビリ、ケアマネジメントにおけるニーズの評価(デマンドとニーズ、顕在・潜在ニーズについて)

【スポンサーリンク】

リハビリテーションやケアマネジメントにおいてニーズを把握することは、対象者にとって意味ある作業を提供することにつながります。対象者自ら語ってくれる場合であっても、潜在化されているニーズが隠れていたり、認知症があり自らお話が行いにくい対象者もいたりするため、実際、ニーズの把握は簡単なことではありません。今回、作業療法におけるニーズについて、文献を参考にまとめていきたいと思います。

 目次

リハビリ、ケアマネジメントにおけるニーズの評価(デマンドとニーズ、顕在・潜在ニーズについて)

ニーズとは

ニーズとは対象者が本当に必要としている客観的なものをさします。

クライエントが表現・表出した希望が即座にニーズとなるわけではなく、対象者を取り巻く状況、本人の状態や表出された内容の背景、過去から未来に至る対象者の人生や生活について理解・推察できてから、真のニーズを取ることができる。

認知症をもつ人への作業療法アプローチ P46

デマンド(要求)とニーズ(必要性)

セラピストと対象者、または家族との作業療法の説明と合意の過程においては、デマンド(要求)とニーズ(必要性)の違いを指摘し、その中でセラピストが対象者との関わりを通してニーズを双方が探っていくことが大切になります。
対象者のデマンドを優先して作業療法を開始した場合、対象者の状態や能力がデマンドに対して低い場合は能力の過小評価につながり、精神面に影響を及ぼすことがあります。
このことから、まずは対象者のデマンドを確認し、それが実現可能かどうかを検討していく過程が重要になります。
両者の話し合いにより、ニーズを決定し、合意を得るようにしていくことが基本ですが、場合によっては、対象者の望むことをやってみて、結果の振り返りの中でニーズを検討していくことも必要かと思われます。

顕在ニーズと潜在ニーズ

顕在ニーズとは、

クライエント自身がすでに特定の作業やその背景、つまり行いたい、行わなければならない作業、そしてその理由を本人が具体的に気づいて、他者に表出できるニーズである。

認知症をもつ人への作業療法アプローチ P47

とあります。一方、潜在ニーズとは、

クライエント自身がはっきりと認識していないニーズである。例えば「自分は認知症で人に迷惑をかけるようになって申し訳ない。何もできなくなった」というように、何にしても拒否する人がいたとする。このような人が、趣味であった編み物を行うきっかけをもつと、急に意欲をもって取り組み始めるということがありうる。このような場合に、この人にとっての編み物は潜在ニーズであったと考えられる。

認知症をもつ人への作業療法アプローチ P47

とあります。
潜在ニーズは様々な要因(身体性、精神性)により表出されないことがあり、セラピストは顕在ニーズばかりに注目しやすくなってしまうことがあります。
ニーズは将来の予後予測により意味のある作業が何であるかも変わってきます。機能面の回復程度がどの程度なのか、対象者の行く予定の施設がどのような所なのか、などです。

【スポンサーリンク】
 

作業遂行ニーズと本質的ニーズ

作業遂行ニーズとは、「トイレ」「料理」など、対象者が行わなければならないと考えている重要な意味をもつ活動の希望で、名詞で表現可能なニーズです。
本質的ニーズとは、「面白い」「人の役に立っている」などの、漠然としていますが対象者にとっては意味のある活動を選択する上で動機となるニーズです。
作業遂行ニーズが把握できない場合、本質的ニーズを把握することで作業活動を選択しやすくなる場合があります。
前途した、デマンドでの活動レベルが高いことや、環境的に達成が難しい場合に、対象者が求める活動の本質的なニーズを把握しておくことで、達成可能な活動を選択できることもあります。
昔はスポーツなどで皆と集まり勝負事が好きだったが今は立位保持や歩行が難しい対象者の場合、本質的ニーズは友人と集まるという所属感の欲求や、勝負での達成感が本質的ニーズである可能性があります。この場合、昔行っていたスポーツでなくても、座位で可能な集団を通したレクリレーションでニーズが満たされる可能性があります。

面接による評価

対象者に面接を通して背景となることの聴取は、本質的ニーズを把握するのに役立ちます。方法としては、必要な項目をまとめたシートを使う場合もあれば、自由な話を通して聴取する場合もあります。
具体的な作業活動を探りながら、それがいつから、何をきっかけに、誰と、どうして続けたか、どのようにやっていたかなどの意味や動機を把握することは、本質的ニーズの把握につながります。
作業遂行のニーズでは、カナダ作業遂行測定(COPM)を用いることがあります。認知症が軽度であれば実施可能な場合があります。家族などの対象者をよく知る人に用いる方法もあります。
興味チェックリストではクローズな質問を通して、「現在している」「してみたい」「興味がある」を答えてもらうことで、作業に対する興味やそれを通して背景を探ることができます。
ADOCというiPadのアプリを用いた作業選択意思決定支援ソフトでは、認知症をもつ方でも視覚的なイラストにより理解しやすくなり、作業遂行ニーズを評価しやすくなります。なお、ADOCはMMSE8点以上でその評価結果に妥当性があるとされています。
絵カード評価法は、70種類の作業カードを「とても重要」「あまり重要でない」「全く重要でない」に分け、意味ある作業を選択していくことに役立ちます。

引用・参考文献