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精神科から読み解くアパシー(意欲障害)、うつ状態との関係

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今回、精神科の立場から読み解くアパシー(意欲障害)について、文献を参考にまとめていきたいと思います。

 目次

精神科から読み解くアパシー(意欲障害)、うつ状態との関係

アパシー(意欲障害)とは

意欲には、生理的な欲求である「欲動」と、社会的な「欲望」が含まれます。また意欲は認知行動の発現や意思決定に関与します。
発動性に関しては、

 精神運動性の心身活動を支えかつ駆動する生命エネルギーに近縁の潜在的な駆動力を意味する。

脳疾患によるアパシー(意欲障害)の臨床 P9

とあり、意欲の動的な面を捉えています。
意欲・発動性の低下は運動(多動、寡動、麻痺)や気分状態(躁、鬱)、注意機能とは区別される必要があります。一方、情動(怒り、悲しみ、喜びなど)とは関連があります。
精神医学や心理学的にアパシーは、「感情、情動、興味、関心が失われた心理的状態」とされており、スチューデント・アパシー不登校、引きこもり)や出社拒否を伴う軽度気分障害をさすことに用いられてきました。
近年のアパシーの用いられ方は、

意識障害認知障害、そして情動的苦悩によらない動機付け(モチベーション)の欠如ないしは減弱した状態

脳疾患によるアパシー(意欲障害)の臨床 P9

をさすことが多くなっています。動機付けには、生物学的なこと(食欲、飲水、自己保存など)だけでなく、社会的なこと(目標の達成、自己実現など)も含んでいます。

リハビリテーションの阻害要因となるアパシー

意欲・発動性の低下は脳卒中脳損傷後のリハビリテーションの阻害要因になることがあります。退院後の社会復帰(就労など)を困難にし、高齢者ではアパシー廃用症候群を引き起こす要因になることも考えられます。

アパシーと区別されるべき疾患、症候

意欲・発動性低下では、脳損傷後の運動障害と区別される必要があります。運動麻痺やパーキンソン病・症候群での寡動(運動量の少なさ)との区別になります。意欲や発動性の低下は単純な運動量の減少ではありません。
せん妄を含む意識障害や覚醒度低下(ぼんやりしている状態)、焦点性注意(外的刺激への検出・把握)障害との区別も重要になります。
持続的な気分障害との区別も必要で、うつ状態では気分障害による意欲低下が生じることがあり、このような時にはうつ状態の症候全体を把握し対処する必要があります。躁状態においても、多動でも、意欲的とは言えないことに注意する必要があります。

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アパシーとうつ

 うつ状態は、持続的な気分障害を指し、意欲そのものの障害ではありません。

うつ病には、不快な気分、抑うつ感、悲哀感、焦燥感などの気分障害以外に、興味・関心・楽しみの消失、精神運動制止、心的なエネルギーの喪失が伴う。

脳疾患によるアパシー(意欲障害)の臨床 P10

とあります。このような側面から見ると、アパシーうつ状態の一つの症候とも言えます。しかし、うつ状態では、他の症候として睡眠障害、食欲低下、注意集中の低下、罪業感(自分自身を責める)、自殺念慮を伴うことがあります。アパシーにはなくうつ状態にある患者独特のものは悲哀感や罪業感、自殺念慮になります。

うつ状態という気分障害が、アパシーを引き起こすことがあると考えるべきであり、アパシーうつ病の1つの症候として観察されることもあり、また、うつ状態を伴わないアパシーも当然あり得ることになる(むしろ、アパシーには基本的にうつ状態を伴わない)。

脳疾患によるアパシー(意欲障害)の臨床 P10

アパシーと、うつ状態により生じたアパシーには、原因や神経基盤、臨床症状にどのような差があるかを考える必要があります。
アルツハイマー病やパーキンソン病でのうつ状態アパシーは、それに伴う症候や病巣部位が異なるとの見解があります。
うつ病アパシーを引き起こすメカニズムは正確には解明されていませんが、いくつかの説があります。ひとつには、不快・恐怖感などを引き起こす状況への感度(閾値)の上昇が、注意力や遂行機能を低下させる変化を引き起こすことでアパシーが生じるという説です。他にも、うつ病における喜びや楽しみに対する感度の低下の結果、行動意欲が減少するという可能性が示されています。

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引用・参考文献

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