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自分でできる体健やかブログ

リハビリ専門職(作業療法士)の私が、肩こり、肩の痛み、腰痛、膝痛、骨盤トレーニングなど、「自分でできる」をキーワードに対策方法を伝授します。

BADS(遂行機能障害症候群の行動評価法)の概要と結果の解釈

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遂行機能障害の行動評価バッテリーとして、BADS(遂行機能障害症候群の行動評価法)があります。今回、BADSの概要と結果の解釈について、文献を参考にまとめていきたいと思います。

 目次

BADS(遂行機能障害症候群の行動評価法)の概要と結果の解釈

BADS(遂行機能障害症候群の行動評価法)の概要

BADSは前頭葉症状の中核となる遂行機能障害を症候群として捉えていることに特徴があり、様々な行動面に対する評価を系統的・包括的に行えるバッテリーです。
BADSにより遂行機能障害定量的に示すことが可能になります。
検査の教示方法や採点方法は説明書に詳しく記されており、下位検査の成績はプロフィール得点として換算され、合計点を算出します。このスコアにより、患者群と対照群の得点分布が明らかになっており、「障害あり」「境界域」「平均以下」「平均」「平均以上」「優秀」「きわめて優秀」と区分されています。
BADSは容易な検査ではなく、患者にある程度の認知力がないと各検査課題を実行することが難しくなります。
所要時間は約40分程度となります。

BADSの下位検査の紹介

①規則変換カード検査
21枚のトランプを使い、裏返しのカードを1枚ずつめくり、示した規則に従い「はい」「いいえ」で答えてもらいます。1番目の課題ではカードが赤(ダイヤorハート)であれば「はい」、黒(スペードorクラブ)であれば「いいえ」と答えます。2番目の課題では示されたカードが一つ前のカードと同じ色であれば「はい」、違う色であれば「いいえ」と答えます。

②行為計画検査
5つのステップを踏むことにより課題(管の底にあるコルクを取り出す)を達成します。1.針金のフックでビーカーを外す2.プラスチックの容器にネジ蓋をとりつけ3.容器でビーカーの水を汲み4.汲んだ水を管に注ぎ5.それを何度も繰り返すのステップを踏みます。

③鍵探し検査
正方形とその下に黒い点が書かれた用紙を用い、正方形を広場に見立てて、そこのどこかで鍵をなくしたと仮定されます。黒い点から歩き始め、鍵を探して歩く道筋を与えられた用紙にペンで描いていきます。

④時間判断検査
4つこ事柄に対し、時間的な長さを推測する課題です。常識的な推論ができるかどうかを評価する検査です。

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⑤動物園地図検査
動物園の地図を用い、入り口からスタートし、示された6つの場所をルールに従って訪れ、ゴールまで行くことが要求されます。

⑥修正6要素検査
計算課題、絵を見て名前を答える課題、口述問題の3カテゴリーから2種類ずつ計6個の課題を実施します。ルールが設けられており、いかにうまく時間配分して行えるかがポイントになります。この検査では課題の答えの正確さを評価するのではなく、2つのルールを守って課題をこなせるか(行動計画、系統立て、調整)を評価します。

検査の採点、プロフィール得点の算出と結果の解釈

各検査の採点では、0〜4点のプロフィール得点が算出されます。各検査の合計点がそうプロフィール得点となります(0〜24点)。
各検査場面において、その様子を記載しておくことは、患者の臨床像を把握するのに役立ちます。
以下はプロフィール得点を平均値100、標準偏差15の標準化された得点に変換し、年齢により検査成績を区分したものです。

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出典:BADS 遂行機能障害症候群の行動評価 日本版
田渕らのデータによると健常者群、前頭葉損傷群、後部脳損傷群、脳損傷群全体に分けてBADSの成績が示されています。

 

健常

前頭葉

後部

脳損傷全体

得点

18.11±2.36

9.45±3.05

13.31±4.13

11.54±4.10


結果の解釈においては、患者がある検査で成績不良であっても、他の検査で得点が高ければ「平均」となるため、各検査における違いがある場合、全体の区分分けには慎重な態度をとり、さらに評価を行っていく必要があります。
BADSには、付録としてDEX(遂行機能障害の質問票)があり、BADSの成績に加えて患者の遂行機能障害を質的な面から補足することに役立ちます。

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引用・参考文献