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意欲・発動性低下の基礎知識(分類、病態)と捉え方

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意欲、発動性の障害は脳損傷患者において見られる病態のうちのひとつです。自発性の障害には様々な名称や捉え方があります。今回、意欲・発動性低下の基礎知識(分類、病態)と捉え方について、文献を参考にまとめていきたいと思います。

目次

意欲・発動性低下の基礎知識(分類、病態)と捉え方

「自発性」、「意欲」、「発動性」の関係

標準意欲評価法(CAS)では、「意欲」を心理的側面として捉え、「発動性」は身体的側面を含む心身生命の過程における駆動力として捉え、「自発性」を両者の中間的・包括的な捉え方をしています(意欲、発動性の両方を含む)。

自発性低下の臨床像

自発性低下(意欲低下、発動性低下)には様々な病態を含んでいます。
高次脳機能面で考えると、自発性低下には、
・放置すると自分から動く傾向がほとんどみられない
・言語表現や表情、仕草が乏しい
・そのような状態でも、外界から刺激が入ると最小限の反応を示すことが稀でない
・自発性低下はすべての活動もしくは言語のみ、思考のみというように限定する場合もある
・外界で起きていることに対しては無関心で、抑うつ感や悲哀感の訴えは原則見られない
意識障害認知障害、情動障害とは捉えられない独自の病態
・他の認知障害は原則ないまたはあっても軽度
というような特徴があります。

発動性低下の3つの概念

①心的自己賦活喪失
この概念では、自己賦活の障害(何もしようとしない)、外的賦活の保存(外からの刺激に最小限に反応)、無関心、無関心だが時に強迫的常同傾向あり、軽度の遂行機能障害を伴うこともあるが軽度といった特徴があります。

アパシー(無気力)
無関心に伴う動因喪失(動機の喪失)で、意識障害や情動・認知障害とは捉えられない一次性の動因喪失といった特徴があります。

③生命力喪失
基底核損傷例に用いられることがあります。一次性の動因喪失によるもので、意識・情動・認知障害とは捉えられないもの、外からの刺激にはとりあえず反応するもの、うつ病とは区別されるものです。

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自発性低下とうつ状態

うつ病の特徴には、抑うつ気分、悲哀感、焦燥感、睡眠障害早朝覚醒、食欲減退、症状の日内変動、希死念慮や自殺企画、罪業妄想などが挙げられます。
うつ病の症状のうち自発性低下でも見られるものには、興味や喜びの著しい減退、食欲の減退または増加、不眠または睡眠多過、精神運動性の焦燥または抑止、易疲労性または気力の減退、思考力や集中力の減退ないし決断困難です。
自発性低下とうつ状態は併存する可能性もありますが、原則は別の病状であり鑑別可能です。
アパシーの診断基準を以下に挙げます。

(A)意欲欠如:患者の病前のレベルまたは年齢的・文化的な標準と比較して意欲が低下していることが主観的に述べられるか他者から観察される

(B)次の3つの領域すべてにおいて少なくとも1つの症状が、4週間以上存在
目標指向性の行動の減退
1.日々の活動を行う努力とエネルギーの欠如
2.日々の活動を組み立てるのに他者の助言を要する
目標指向性の認知の減退
1.新しい事の学習または新しい経験に対する興味の欠如
2.自己の問題に関する関心の減退
目標指向性の行動に付随する反応の減退
1.感情の変化が乏しく平坦
2.良い/悪い出来事に対する反応性の欠如
(C)症状によって、社会的、職業的、または、他の重要な機能に臨床的に重大な困難・障害がもたらされる
(D)症状は意識レベルの低下や薬物の直接的な生理学的効果によるものではない

高次脳機能障害学 第2版 P244

自発性低下と脳

高次脳機能障害として自発性低下に関連する脳回路として、「前頭葉線条体淡蒼球黒質視床前頭葉」という基本構造をもとに①背外側前前頭葉回路、②眼窩回路、③前部帯状回回路があります。
①では遂行機能と運動プログラミングの障害、②では易刺激性と脱抑制が、③では無為無関心(アパシー)が生じると考えられています。
③の回路において、前頭葉では前部帯状回基底核では腹側部、視床では背内側核の損傷が発動性低下の要因になると考えられています。前頭葉の背外側部の損傷においても発動性の低下が生じると言われています。
①の回路の損傷では行為の立案困難により目標に向けての行為遂行困難で結果としてアパシーが生じると考えられ、②の回路では情動を行為に結びつけることや、行為の結果を評価することができないことで目標に向けての講師遂行困難で、結果としてアパシーが生じると考えられています。
このようなことから、3回路のいずれが損傷してもアパシーが起こりうると言えます(性質は異なる)。

参考文献