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リハビリ専門職(作業療法士)の私が、肩こり、肩の痛み、腰痛、膝痛、骨盤トレーニングなど、「自分でできる」をキーワードに対策方法を伝授します。

半側空間無視の病識(自覚、アウェアネス)低下に対する知識と評価、アプローチ

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半側空間無視が存在すると、患者が自分の無視症状に対して気づいていないことがよく観察されます。患者は見落としていることを把握していませんが、他者から何度も指摘されることでそのことを知識として受け入れることもあります。リハビリテーションにおいては、病識(自覚、アウェアネス)を改善することが、生活機能改善に向けて非常に大切な要素になります。今回、半側空間無視の病識(自覚、アウェアネス)低下に対する知識とアプローチについて、文献を参考にまとめていきたいと思います。

 目次

半側空間無視の病識(自覚、アウェアネス)低下に対する知識と評価アプローチ

患者の障害発見に至るプロセス

患者自身で障害発見に至るプロセスには共通する要素があると言われています。
①未知の事態の経験
自己の身体・空間・時間感覚に異変があると感じますが、内容が把握できず、対処方法も知らない状態です。この時期は不安を抱きやすく、他者から左の見落としについて指摘されますが、理由がわからず怒られているように感じます。
②新旧比較
病前のようにできなくなったと感じますが、それはなぜかまだわかりません。失敗の経験から怒りの感情が湧いてきます。
③説明探し
できないことがなぜ起こるかを考えるようになります。それはおそらく自宅と異なる環境にいるためだと考えます。
④新事態への馴染み
病前と違う生活に慣れ始めたことと、左半側に対する問題があるらしいと思い始めたことを示すようになります。左下肢は自己所有感をかなり取り戻しますが、左上肢は違和感があっても自分で持ち歩かなければならないものだと考えるようになります。
⑤障害の理解
左半側に対する障害があることを理解するようになります。それは直感的な理解ではありません(頭の中で理解している状態)。克服のための方策や対処を探したり用いるようになります。
⑥生活での対処方法の実践
左半側無視を代償する方法を意識的に使い始めます。推理・段取り(イメージ、リハーサル)考え、試行錯誤により自分なりの対処方法を発見します。事が重要・重大で見知った状況なほど探索は成功しやすくなります。
⑦新たな戦略の消化
様々な経験から、左方向への探索の意識が自動化します。

このような経過をたどりますが、中には、代償方法を用いる意識を呼び起こせない事もあります。
左空間探索の意識の自動化には、身体的、心理的、知的能力がある程度高い必要があります。また訓練や日常生活の中で、様々な作業体験と左空間に対するフィードバックが適切になされなければいけません。

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病識(自覚、アウェアネス)の評価

CBS(Catherine Bergrgo Scale)を参考に、患者本人に半側空間無視に対する気づきがあるかどうかを確認していきます。項目としては、
1顔の左側をきれいにしたり髭を剃るのを忘れる
2左袖や左足のスリッパ(靴)を扱うのに困難がある
3皿の左側にある食べ物を忘れる
4食べた後で口の左側をふくのを忘れる
5左方向を見るのに困難がある
6体の左側を忘れている(左下肢を車椅子フットレストに載せないなど)
7自分の左側から来る人や音に注意を払えない
8歩行や車いす駆動で左側の人やものにぶつかる
9見知った場所などを移動するとき、左に向かう進路を見つけるのが難しい
10室内や浴室内で物品が左側にあるとき、見つけにくい
があります。観察者による評価と、患者自身の評価を比較し、重度であるほど乖離が見られます。
またADD(the Assessment of Awareness of Disability)を参考に、作業遂行に対する主観的な評価を行う事もひとつです。項目としては、
1今行った作業の進め具合は病気の前にあなたが家で行っていたのと比べてどのようなものだったか
2作業中に何か難しい事はあったか
3以前に家でしていたのとは異なる方法で作業を行う必要があったか
4作業の中で右手を左手をどのように使ったか、困難があったか
5作業中の移動をどのようにしたか(立つ、歩く、車椅子駆動など)、何か困難があったか
6やるべきことを思い出したり、作業の段取りを正しくするのに困難があったか
7作業中、見たり、見つけたり、物を探すのに困難があったか
があります。このような質問から、患者が自分の能力と障害について現実的な考えを持っているか、大まかには現実的な考えを持っているが細かくは説明できないか、非現実的な考えを持っているか(能力の過大評価or過小評価)、非常に非現実的な考えを持っているかを評価します。

アウェアネスには3つのレベルがあると言われており、患者がこのうちのどこに属しているかを考えていくことも、評価の視点として有効になります。
1知的アウェアネス
障害の認識を様々なレベルで理解する力。何がまずいかの認識や、障害の意味の理解など。
2即時的アウェアネス
問題が起きたときに、その場でその問題を認める力。
3予見的アウェアネス
問題が起こるかもしれないということを予見する力。

病識(自覚、アウェアネス)低下に対するアプローチ

左半側無視のアプローチには様々なものがありますが、どれも十分とは言えません。様々なものの組み合わせから、対象者に合ったアプローチを行うことが重要です。
文献の中で、気になるアプローチがあるので紹介します。
患者にとって「意味ある(重要な)作業を」選択し実行してもらい、その中でアウェアネスを促していくアプローチです。
この取り組みでは、作業を実施する前後に困難さの予測と結果の振り返りを行っています。そしてセラピストのフィードバックを受け一緒に代償方法を考えて実際に試していきます。この他に外泊を通して病前と現在の作業との比較の機会を作ったり、患者自身の作業遂行の内省などが含まれています。

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参考文献