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ウィスコンシンカードソーティングテストの概要と結果の解釈

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前頭葉機能低下により、遂行機能障害が生じる可能性があります。遂行機能の評価のひとつに、Wisconsin Card Sorting Test(WCST:ウィスコンシンカードソーティングテスト)があります。今回、Wisconsin Card Sorting Testの外湯と結果の解釈について、文献を参考にまとめていきたいと思います。

 目次

Wisconsin Card Sorting Test(WCST)の概要と結果の解釈

セットの転換(認知の柔軟性)の評価

前頭葉の働きののひとつに、セットの転換(認知の柔軟性)があります。セットの転換とは、最新の情報と以前の情報を頭に保持し、適切な対象・判断を選択しながらセットを維持し、さらなる情報に従って転換していくことを指します。
この機能は前頭葉背外側部が関係していると言われています。
ワーキングメモリとも関与し、短期間ある情報を保持し、注意を配分しながら次の情報と照らし合せていくことになります。

Wisconsin Card Sorting Test(WCST)の概要と目的

Wisconsin Card Sorting Testでは前途したように、情報に基づきセットを維持し、できるだけ少ない試行錯誤により新しいセットを見出し転換する機能を評価します。
もともとは健常者の抽象的推理力と、状況に合わせた戦略の転換能力を評価する目的で開発され、後に前頭葉損傷者に使用されるようになりました。

実施方法と注意点

検査の適応は、明らかな失語症がなく言語理解が良好、WAIS-Ⅲの動作性IQが正常範囲、半側空間無視がないことが挙げられ、言語性IQも正常範囲であるとなお望ましいといえます。
日本では、パソコンで評価可能な「ウィスコンシンカードソーティングテスト 慶応F-S version」が用いられることが多く、脳卒中データバンクからダウンロード可能です。
慶応版は原法と異なり試行回数が少なくなっています。また実施における指示の与え方では、第1段階では「色」「数」「形」の3つのうちいずれかの分類に従って分類していくことが示されます。第2段階では、実施途中に分類方法が時々変更されることを示します。
検査では練習時から声を出して分類するようにします(言語性調節)。言語性調節の評価では、13枚目から36枚目のカードにおいて評価していきます。この際には、選んだカテゴリーと言語化された分類両方の正誤をメモしておきます。
連続6枚正答した場合にカテゴリー達成とし、各段階において48枚終了するまで実施されます。

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結果の解釈

評価項目には以下のものがあります。

1)CA(categories achieved, 達成カテゴリー数):連続6正答が達成された分類カテゴリーの数。検査成績を総体として表す。
2)NUCA(numbers of response cards used until the first category achieved, 第1カテゴリー達成までに使用された反応カード数):最初の6連続正答が形成されるまでの試行錯誤の段階の評価値。
3)TE (total errors, 全誤反応数)
4)PEM (perseverative errors of Milner,  Milner型の保続性の誤り) :カテゴリーが変更されたにも関わらず、直前に達成されたカテゴリーに固執し、それへの分類を続ける場合の誤反応数。達成されたカテゴリーの保続傾向の評価値。[第1カテゴリー達成までは一度誤っていると指摘されたにも関わらずその分類基準を使用した場合の誤反応数を使用する]
5)PEN (perseverative errors of Nelson: Nelson型の保続性の誤り) :直前の誤反応と同じカテゴリーに続けて分類された誤反応数。直前の誤反応の保続傾向ないし前反応の抑制障害の評価額。
6)EEPM(errors except perseverative errors of Milner, Milner型の保続以外の誤り):TEからPEMを減じた値。
7)EEPN(errors except perseverative errors of Nelson, Nelson型の保続以外の誤り):TEからPENを減じた値。
8)MSC(maximum classification scores, 最大分類数):連続6正答を除いた反応の中で、色、形、数のうち一つの分類カテゴリーに最も多く準拠した反応数。
9)DMS (difficulty maintaining set, setの把持障害):2以上5以下の連続正反応後に誤反応が生じた回数。(準拠している概念を見失う程度の定量的評価値)
10)UE (unique errors, 特殊な誤り):どの分類カテゴリーにも一致しない誤反応数。(色、形、数のいずれでもないものを選んだ反応数)
11)BR (bizarre response, 奇妙な応答):分類カテゴリーを行う際に色、形、数以外の奇妙な応答、例えば1+3=4だからというような応答がなされた場合。(本検査法ではBRの計算は出来ないので評価表に検者がその数を記載する)
12)%PEM:PEMのTEに対する比率
13)%PEN:PENのTEに対する比率
14)反応時間計:各々の刺激カード提示からカードを選択するまでの時間の合計(時:分:秒)
15)テストの所要時間:説明を開始した時点から検査終了までの時間(時:分:秒)

ウィスコンシンカードソーティングテストVer.2.0 「必ずお読みください」(textファイル)

慶応F-S versionでは、達成カテゴリーの正常値は64歳以下では4以上、65歳以上では3以上とされています。

健常者基礎統計値

年代

度数

セッション

カテゴリー達成数

保続性エラー数

エラー総数

平均値

標準偏差

平均値

標準偏差

平均値

標準偏差

20代

52

1

3.6

2.0

6.6

7.5

19.5

9.5

2

3.4

1. 6

5 .5

7 .1

17.9

8 .4

3

5.5

1.9

1.5

2.4

8.2

6.9

30代

51

1

4.0

1. 7

6. 1

5.7

17.9

8.0

2

4.5

1. 6

3.5

4.0

14.2

7.5

3

5.8

1.8

1.5

2.1

7.0

6 .4

40代

52

1

3.2

1.8  

7 .4

5 .2

21.5

8.4

2

4 .2

1.5

4.0

3. 4

15.5

6.0

3

5.2

1. 4

1.8

1. 8

9 .9

5.0

50代以上

47

1

2.9

2.2

11. 1

9.0

24.7

11 .3

2

3.9

1. 6

4.7

4.1

16.9

6.5

3

4.8

1.9

3. 1

4.3

12.8

8.5

全体

202

1

3.4

2 .0

7.7

7 .2

20.8

9 .6

2

4.0

1. 6

4.4

4.9

16.1

7.3

3

5. 4

1. 8

1.9

2.8

9. 4

7.0

 

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引用・参考文献