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聴覚言語性学習検査(Rey Auditory Verbal Learning Test(AVLT))の検査方法と注意点、結果の解釈

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聴覚言語性学習検査(Rey Auditory Verbal Learning Test(AVLT))は言語性記憶を評価できる検査法のひとつです。エピドード記憶に障害がある患者では、会話の内容を忘れることがあるため、このような評価を行うことは大変重要です。今回、聴覚言語性学習検査の検査方法と注意点、結果の解釈を、文献を参考にまとめていきたいと思います。

 目次

聴覚言語性学習検査(Rey Auditory Verbal Learning Test(AVLT))の検査方法と注意点、結果の解釈

引用・参考文献

検査の概要

30分程度で実施でき、即時記憶容量、学習曲線、前方干渉・後方干渉、作話傾向、時間的順序記憶、再認・自由再生の差異などの評価が可能です。
検査は日本では標準化されていません。

 

実施方法と注意点

リストA再生①〜⑤:
「これからいくつかの単語を読み上げます。後で言ってもらうのでよく聞いて覚えてください」と説明し、リストAの単語を1単語ずつ1秒間隔で読み上げます。
読み上げた後に、「今の単語を覚えているだけ言ってください。読み上げた順番どおりでなくても構いません」と説明し、単語を想起してもらい書き留めていきます。
同手順を5回繰り返し、「今の単語をまた後で言ってもらうので覚えておいてください」と説明します。

リストB再生:
「今度は別の単語を読み上げます。後で言ってもらうのでよく聞いて覚えてください」と説明し、リストBの単語を1単語ずつ1秒間隔で読み上げます。
読み上げた後に、「今の単語を覚えているだけ言ってください。読み上げた順番どおりでなくても構いません」と説明し、単語を想起してもらい書き留めていきます。

リストA干渉後再生:
「最初に何度も繰り返し読み上げた単語を覚えているだけ言ってください。」と説明し、リストAの単語を想起してもらい書き留めていきます。

リストA干渉後再認:
「単語リスト(再認用検査用リスト)があります。この中で最初に繰り返し読み上げた単語に丸をつけてください。単語は15個でした。」と説明し、再認検査用リストに丸をつけてもらいます。

リストA30分後再生:
「最初に何回も繰り返して読み上げた単語を覚えているだけ言ってください。」と説明し、リストAの単語を想起してもらい書き留めていきます。

リストA30分後再認:
「単語リスト(再認検査用リスト)があります。この中で最初に繰り返し読み上げた単語に丸をつけてください。単語は15個でした。」と説明し、再認検査用リストに丸をつけてもらいます。

リストA単語:
雨、学校、太陽、薬、家、時計、風、鉛筆、桜、秋、魚、鏡、顔、船、電話
リストB単語:
机、帽子、手紙、山、窓、本、財布、酒、羊、月、車、雷、子供、靴、海
再認検査用リスト
船、夏、本、靴、窓、川、机、家、雲、椅子、学校、桜、先生、風、車、嵐、台風、太陽、耳、冬、月、足、羊、魚、財布、薬、靴、帽子、電車、親、壁、山、医者、手紙、病気、顔、雨、海、鏡、電話、遠足、体操、時計、砂糖、杖、子供、鉛筆、牛、秋、酒

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結果の解釈

リストA再生①では得られた単語数は言語性短期記憶容量の指標となります。エピソード記憶障害の場合、言語性記憶容量は正常範囲であることが重要であり、4単語以下の場合集中力の低下や注意障害の疑いがあります。
リストA再生①〜⑤で得られた正答単語数をプロットすることで、学習曲線が得られます。エピソード記憶障害の場合、学習曲線で学習効果が得られない、もしくは少ないといえます。
リストA再生①とリストB再生の正答数の差では、前方干渉(リストAの単語学習がリストBの単語再生に影響する)の指標となります。
リストA再生⑤とリストA干渉後再生の正答数の差は後方干渉(リストBの単語学習がリストAの単語再生に影響する)の指標となります。
前方干渉や後方干渉では、情報の取り込みや想起の際の戦略・手がかり形成への影響が考えられます。
エピソード記憶障害では、30分後の遅延再生(リストA再生−リストA30分後再生)で、3単語以上の忘却が認められると言われています。
リストA干渉後再生、リストA30分後再生において、リストAの単語とは音韻的(例えば「デンキ」「デンパ」)・意味的に異なる単語をいう場合には作話傾向が存在する可能性があります。
リストA干渉後再生・再認、リストA30分後再生・再認の際にリストBの単語を再生・再認した場合は時間的順序障害の可能性があり、作話傾向や時間的順序障害は前頭葉との関連が示唆されています。
リストA30分後再生で著名な低下があり、再認で成績改善の場合には、記憶の取り出しに障害がある可能性があり、再認も低下する場合には記憶の保持に障害がある可能性があります。
石合らのデータは下図になります。

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出展:高次脳機能障害学 第2版

リストA再生⑤で5個以下は以上と考えられます。

干渉後、30分後いずれの再生でもたかだか2個の減少である。この結果は、健忘患者では、5回目の成績に比べて、干渉後再生、30分後再生で3つ以上の低下がみられるという見解を支持するものである。臨床的実用性としては、三宅式記銘力検査が健忘の有無の判定に鋭敏であるのに対して、AVLTはその程度の評価に有用である。

高次脳機能障害学 第2版

認知症の視点からみたカットオフ値は以下のようになります。

192名のMCI高齢者を3 年間追跡調査した ところ,RAVLTの試行Ⅰ〜Vの合計点が33以下であった場合には,アルツハイマー認知症への移行リスクが高かったことが報告されている. また,認知症のない高齢者116名を2年間追跡し,RAVLTとアルツハイマー認知症発症の関連性を分析した報告によると,試行VI のスコアが0,または試行VI (干渉後再生)における 忘却単語のパーセンテージ(試行VI-試行V/試行Vx 100)が75%以上の場合にアルツハイマー認知症の発症リスクが高かったとされる(Estevez-GonZaleZ et al 2003)

運動による脳の制御 P108

信頼性の高い指標は試行I〜Vの合計点、試行Vおよび遅延再生課題の正答数です。
以下の指標は信頼性は劣るものの、 試行I〜VのリストA即時再生では、即時記憶容量を測定可能で、正確な再生単語数から学習曲線を描くことができます。通常は試行を繰り返すと高齢者でも再生単語数が漸増しますが、アルツハイマー認知症者では増加がほとんどなく、フラットに近い学習曲線になるとされています。
再生に加え再認課題を行うことにより、記銘の問題なのか、想起の問題なのかを判別します。
単語の想起に問題がある場合、試行VIよりも再認課題の得点が高くなります。
記銘自体に困難がある場合、試行VIと再認課題の正答数は同程度となります。
試行I〜Vの即時再生の成績は加齢に伴い低下しますが、再認課題ではあまり変化はみられません。このことから、高齢者の場合では記銘力と比べて想起能力低下が問題になりやすいとされています。

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