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統合失調症の作業療法〜幻聴・妄想の理解と対応方法〜

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統合失調症者に見られる精神症状に幻聴・妄想があります。幻聴・妄想には基本的な対応方法があり、対象者が病的な世界にいる時間を長引かせないようにすることが大切になります。今回、統合失調症作業療法場面における、幻聴・妄想の理解と対応方法について、文献を参考にまとめていきたいと思います。

 目次

統合失調症作業療法〜幻聴・妄想の理解と対応方法〜

統合失調症に見られる幻聴・妄想

統合失調症にみられる精神症状として幻聴と妄想があります。
幻聴は聞こえるはずのない声などが聞こえてくる症状で、その内容は自分への悪口や批判、噂や命令などがあります。場合によっては雑音や物音のようなこともあります。
幻聴の声は特定または不特定の人、神様のお告げ、電波やテレパシーの場合もあります。
ICD-10の診断基準では、「患者の行動を注釈し続ける幻声、または患者のことを相互に噂し合う複数の幻声、あるいは身体の一部から派生する幻声」の項目があります。
妄想は思考内容の障害で、思考の意味づけに誤りがあるのに、その人がその内容を確信し、他者が誤りを説得しようとしても訂正不可なものをさします。
妄想の内容には被害妄想(外部から被害を被るという妄想)、誇大妄想(実際よりも過大評価する妄想)、微小妄想(実際よりも過小評価する妄想)があります。
ICD-10の診断基準では、「他者から支配され、影響され、服従させられるという妄想、それは、身体、手足の動き、思考、行為、感覚に関連していること、妄想知覚」「文化的要因を考慮しても、不適切でまったくありえないような持続的妄想(たとえば、天候をコントロールできるだとか、別世界の異邦人と交信できるなど)」があります。

作業療法中の言動例

作業療法中には、以下のような言動がみられることがあります。
「◯◯の声が聞こえる」「◯◯先生は△△のスパイだ」などといったことが聞かれることがあります。また「◯◯が『作業を中断しろ』」と訴え、作業をやめようとすることもあります。これらは、幻聴や妄想に基づいた言動となります。

幻聴・妄想状態にあることで生じる不利益

幻覚・妄想状態にあると、自他に以下のような不利益が生じます。
幻覚への注意集中により、外界刺激への注意集中が困難になります。
幻覚に支配された行動として、人を払いのけたり、突然怒鳴ったり、空笑・独語が見られたり、会話を中断してしまったりします。
他者の不快感を招く行為として、食物を吐き出したり、清潔を保てない、不適切な場所での更衣(脱衣)などが見られます。
幻覚と結びついて被害妄想となり、指示や提案への拒否的な態度が見られることがあります。
これらのことにより、他者とのコミュニケーションや関係性の構築が難しくなったり、他者から攻撃を受けたり、自傷・他害行為を起こすことなどが考えられます。

幻聴・妄想への対応

前途した、自傷・他害行為の恐れがある場合、行動制限・保護、危険物の除去などを行います。また対象者にはその場で起こったことについてフィードバックを行います。
幻聴時のコミュニケーションでの基本態度は、「幻聴が現実のもの」という確信を強めさせないようにする必要があります。そのため、自分には聞こえないことをはっきりと伝えます。また幻聴の内容について質問すると、さらに幻聴に聞き入るなどしてしまい、病的世界にいる時間をながくしてしまうため、内容は聞き出さないようにする必要があります。
妄想時のコミュニケーションでの基本的態度は、「肯定も否定もしない」ことです。説得しても、本人は強い確信を持っているため訂正させることは無意味となります。「◯◯さんはそう思っているんですね。私にはそうは思えませんけども…」などと患者にとっては事実であることを認めるが、同意はしないようにします。
幻聴・妄想とも、できる限り現実の行動に注意を向けるようにすることが大切になります。その点において、作業療法での作業活動は、現実世界に触れることができる治療となり得ます。

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参考文献