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自分でできる体健やかブログ

リハビリ専門職(作業療法士)の私が、肩こり、肩の痛み、腰痛、膝痛、骨盤トレーニングなど、「自分でできる」をキーワードに対策方法を伝授します。

看取りに関するケアマネジメントの視点

介護保険

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介護保険制度では、人生の終末における最後の時期を看取りと呼びます。看取りの段階では誰がどのように関わり、その人の死の瞬間まで支えていけるかをマネジメントしていくことが重要になります。今回、看取りに関するケアマネジメントの視点について、文献を参考にまとめていきたいと思います。

 目次

看取りに関するケアマネジメントの視点

利用者・家族の意向

看取りの支援では、利用者の意思決定が可能な間に最期をどのように迎えたいかの意向を確認しておく必要があります。
利用者・家族は不安も抱えていることも多く、どのような経過をたどるか、家族の負担が大きくならないか、必要な医療が受けられるか、急変時はどうすればよいか、などで悩むこともあります。

看取りにおける段階的な関わりの変化

身体機能の低下は、時間とともに、病態ごとに異なる軌道となります。
がんの場合、身体機能は最終段階でもある程度維持されており、意識もはっきりし自立した生活も可能です。死亡の1ヶ月から2週間以降、急激に身体機能の低下がみられます。
内臓疾患では、慢性疾患の状態から急性増悪となったり、合併症を併発したりしながら、徐々に身体機能の低下がみられます。悪化と改善を繰り返す中で、急性増悪や合併症の治療がうまくいかずに死に至ります。この経過の中ではどの時点が看取りとなるかが判断しにくくなります。
認知症や脳血管障害、老衰などでは、長い経過の中で身体機能が低下していきます。加齢に伴うやせや筋肉量の低下が進み、身体機能が低下して寝たきりへと移行します。最期は肺炎などの合併症により亡くなることが多くあります。

気持ちの揺らぎ

看取りの時期では、様々な気持ちの揺らぎがみられます。
予後についての説明を受けるときに、気持ちの揺らぎに大きな影響を及ぼします。
予後の説明をどのように説明を受け、どのように受け止めているかにより、最期の迎え方の決定に影響を及ぼすことになります。
しかし、医師から説明を受けていても、本人や家族は理解できていないこともあるため、ケアマネージャーはその点を確認する必要があります。
死にゆく人の心理過程として、「否認」「怒り」「取引」「抑うつ」「受容」があります(キューブラー・ロス)。全てがこの段階通りに進むわけではありませんが、気持ちの揺らぎの理解の一助となります。

看取りの時期によるケアマネジメントの注意点

病状安定期

この時期では、利用者や家族の死を受け止めるための経過への支援が必要になります。家族へは不安解消に向けた支援も行います。
まず、医師から受けた説明を理解しているか確認します。予後や病状の変化についての理解を促すことも重要です。
利用者、家族の価値観も様々で、大切にしたいこと、嫌だと思うこと、最期をどう生きるかなどの確認します。例えば、どんな状況でも入院はしたくない、自宅で最期を迎えたいから救急車は呼ばないでほしいなどがあります。
延命治療については、生前の意思表示、それを記録したリビングウィル(事前確認書)を共通認識としておきます。
在宅での看取りでは、介護をするキーパーソンと、治療・介護方針を決定するキーパーソンが異なる場合があります。家族の誰がどのような役割を担うかを把握しないと、最終的に利用者に負担がかかり、在宅での看取りが行えなくなる可能性があります。
検討することとしては、訪問診療・訪問看護の導入、最期を迎える場所や環境、緊急時の連絡方法、急変時の対応、予測される予後・病状に応じたサービスの頻度の調整、24時間連絡体制における緊急時の加算などがあります。

ADLが低下し、苦痛が出現する時期

この時期では痛みなどに対する直接的な支援と精神的な負担に対する支援が必要です。
家族は苦しんでいる姿を見たりする中で葛藤が起こりやすい時期であるため、家族に対する精神的な支援も必要となります。
家族は利用者が苦しんでいる姿を24時間のなかで関わるため、精神的に負担があればすぐに伝えてもらうようにし、ケアマネージャーもいくつかのケアプランのパターンを用意しておき、その時の状況に応じた、適切なサービスの利用を検討していきます。
利用者の状態の変化をつかむことも大事で、その都度ケアプランを検討する必要があります。また、複数の病状が出現することもあり、訪問看護師や医師から情報を得て、ケアプランの見直しに役立てます。
ケアチーム内では、急変時の対応を確認しておき、チーム全体で共有しておくことが重要になります。そのほか、家族の希望や不安、心配について、本人の病状の変化、ADL全般の情報について共有しておきます。
ケアマネジメントにおいては、本人や家族のしたいこと、やり残したいことの確認、日常生活のケアや環境整備、本人・家族の療養場所の意向確認、状態変化に応じた役割の変更、介護力低下の場合のサービス検討、病態の変化に応じたサービス頻度の検討を行います。

死期の近づきを感じる時期

この時期ではADLの低下が急速に見られ、サービスが1週間程度入らないと、利用者の状態が大きく変化してしまうことがあります。
そのため利用者の状態像を把握し、予後予測とともにアセスメントを行い、ケアプランを修正していきます。看取りではいつ変化がおこるかわからないこともあるため、あらかじめ訪問看護などをサービスに取り入れておくことも必要です。
家族の疲労や精神的負担が大きくなった場合のサービス導入の検討を行います。レスパイトケアの視点も必要になります。
ケアチーム内の情報共有も重要で、医療チームとしては急変時の延命処置などを話し合っておく必要があります。また予測される予後や病状の変化の理解を家族や介護チームに促すことも必要です。家族の不安や介護疲労への配慮も大切になります。
介護チームとしては利用者への身体的安楽への支援を行い、病状変化についての観察視点を共有します。急変時の連絡方法の確認も必要です。

死期まで2〜3日の時期

この時期ではADLの自立度は急速に低下し、ほとんど自分から動くことがなくなります。倦怠感の増加や食事量の減少、呼吸苦や痛みの増悪などがみられる場合もあります。傾眠傾向になり、または急に元気になることもありますが、尿量減少、血圧の低下、手足の冷感、意識のうすれがみられ、家族の覚悟が現実的になる時期です。
この時期医療チームとしては、死が近いことを家族が理解しているか、医師の説明を理解しているかを確認します。また家族へ死期の身体的な変化を理解してもらうよう伝えます。家族に悔いの残らないように支援します。
介護チームとしては、訪問看護師と連携し、情報を共有しながら日常生活の支援を行います。
ケアマネジメントとしては、病状の変化に応じた再アセスメントプラン見直し、家族の負担が大きくなった場合のサービス導入検討、急変時の対応、連絡方法の確認をしていきます。

参考文献

介護支援専門員実務研修テキスト 下巻