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自分でできる体健やかブログ

リハビリ専門職(作業療法士)の私が、肩こり、肩の痛み、腰痛、膝痛、骨盤トレーニングなど、「自分でできる」をキーワードに対策方法を伝授します。

介護予防としての運動の種類と効果のエビデンスー虚弱高齢者への注意点も含めてー

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運動は疾病予防や生活習慣病の危険因子の改善に有効とされています。高齢者では生理学的に運動機能の低下が起こり、心肺機能や筋力などの低下がみられますが、運動により改善が可能です。今回、介護予防としての運動の種類と効果のエビデンスについて、文献を参考にまとめていこうと思います。

 目次

介護予防としての運動の種類と効果のエビデンス

有酸素運動の効果とエビデンス

高齢者に対する歩行、ジョギング、サイクリングなどの有酸素運動は、最大酸素摂取量が約10〜20%向上したとの報告があります。この効果には年齢による大きな差はないとされています。
介入期間の違いからは結果に大きく違いは認められず、頻度や持続時間は週3回、約40分程度のものが多いようです。
運動強度に関しては、心拍数予備【(運動時心拍数ー安静時心拍数)/(最大心拍数ー安静時心拍数)×100】の70%程度が多く、心拍予備の45%で行うと最大酸素摂取量の改善は少ないとされています。
虚弱高齢者に対する運動強度の設定では、低く設定しすぎると効果が出にくいため、はじめは最大心拍数数予備の約40〜60%から開始し、徐々に50〜85%程度の強度に上げていくことが良いと考えられています。
持続時間は20〜30分連続して行えるのがよいですが、場合によっては数回に分けることも検討します。

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筋力トレーニングの効果とエビデンス

筋力増強運動では、ほとんどの研究で筋力増強効果(10〜60%)が認められています。
介入期間は様々(10〜52週)であり、運動強度は1RM(1回の反復運動が可能な最大か重量)を徐々に80%まで高めていく方法がとられています。このような設定で行うと、約20〜65%の増強効果があったとの報告があります。
障害を有する方(施設入所者)の研究では、1RMの80%の強度で10週にわたり介入すると、筋力が113%向上したとの報告があり、これは健常者よりも筋力低下を有する方の方が高い効果が出ることを示唆しています。
自重やセラバンドを使用した低強度の強化では、0〜20%の筋力向上にとどりますが、運動の効果が確認されています。
虚弱高齢者の場合、自重やセラバンドを用いた運動や、1RM20〜30%の運動から始め、徐々に60〜80%まで移行すると高い効果が期待できます。
具体的な設定における注意点としては、結合組織が運動に適応するまでの約8週は、最小の強度で行います。
運動に慣れたら10〜15回の反復運動で「ややきつい」と感じる程度の強度にします。
運動量を増やす際には、まず回数を増やし、次に強度を上げるようにします。
持続時間は、1回60分以内にします。頻度は少なくとも週2回、48時間以上の休息をとります。

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バランストレーニングの効果とエビデンス

バランストレーニングの介入の研究は少ないですが、太極拳を用いたゆっくりとした運動が転倒リスクを減らしたとの報告があります。
バランス練習ではバランス機能が改善し、歩行練習では歩行機能が改善するというような、訓練の特異的効果があるとされています。
バランスや歩行、筋力強化などを含む複合的なトレーニングにより、それぞれの機能改善が認められています。ADLに関しては向上が認められていないとの報告もあります。

バランスを機能的に分類すると静的保持機能、外乱負荷応答、随意運動中のバランス機能といった3つの要素に分けられる。バランス練習を計画する時にはこれらの要素を考慮する必要がある。また座位から立位、そしてより不安定な課題へとステップアップする内容が望ましい。

運動による脳の制御 認知症予防のための運動 P6

難易度設定では、感覚的(支持面を不安定に)、物理的(対象を押す、支持面を移動する)、精神的(計算を行いながら)外乱を加えていきます。
歩行や動作練習においては、動作の持続や速さではなく、安定性に着目して行います。

柔軟運動(ストレッチ)の効果とエビデンス

高齢者に対しても、身体の柔軟性を高めることは可能です。
高齢者は結合組織が虚弱であることから、静的ストレッチが推奨されています。
激しい運動の前後や整理運動として行うことで、障害や疲労の軽減効果が期待できます。
痛みではなく軽い不快感が生じる程度で行い、目的とする筋を10〜30秒、4回以上ストレッチするようにします。頻度は少なくとも週2回行います。

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余暇活動を行うことでの効果

積極的な運動プログラムよりも、本人が自主的に行う余暇活動や非監視下で行う活動を行う方が、より効果が出ることが考えられています。
そのためにも、リハビリテーション職種は本人がどのような作業、活動、役割に価値を置いているかを把握し、それを遂行できるように協働していくことが必要です。
また、活動性を向上させるための介入方法として、行動変容技法を用いると有効であるとされています。

行動変容技法とは、客観的に測定可能な行動様式に対して、その行動に影響する環境要因に対して操作を加え、問題行動の低減と適応行動の増加を図る技法である。

運動による脳の制御 認知症予防のための運動 P7

活動時間を決定しておくことや、目標を紙に書いて貼っておく、運動することを他者と約束する、運動回数を覚えておき競争する、一定回数できたらご褒美がある、運動中の不快感を減らす、運動実施の契約書にサインするなどの方法があります。

引用・参考文献