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リハビリ専門職(作業療法士)の私が、肩こり、肩の痛み、腰痛、膝痛、骨盤トレーニングなど、「自分でできる」をキーワードに対策方法を伝授します。

依存症と家族関係〜家族システム論から見た機能不全家族〜

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依存症と家族の関係を、家族システム論から見ることは、家族がイネイブリング(アディクションを継続可能にしてしまう行為)から降りるため、家族自身の回復のため、子どもの成長を促すためにに必要な知識だと考えられます。今回は、依存症における機能不全家族について、文献を参考にしながらまとめていきたいと思います。

 目次

依存症と家族関係〜家族システム論から見た機能不全家族

引用・参考文献

機能不全家族とは

機能不全家族は家族システムが完全ではないという意味であり、何かが欠けている家族という意味ではありません。

機能不全状態とは、状況に対応するために余分な機能を家族全体が持ってしまうことをいいます。これは短期的または断続的にであれば、どこの家庭でもあります。この状態が慢性的になり、極端になっていくことを「機能不全状態」といいます。

対人援助職のためのアディクションアプローチ P130

上記の余分な機能に関しては、

家族が平安を求めたり危機を乗り越えたりするために、なにより家族としてこれからも継続していきたいとの動機から、必要以上に負荷のかかった役割や慢性化した頑張り、危機に対応できる臨戦態勢をそれぞれがずっと続けている状態をいいます。

対人援助職のためのアディクションアプローチ P131

このがんばりの慢性化は、家族システムに様々な影響を与えることになります。

 

厚い家族境界線

家族境界とは、◯◯の家族、◯◯さんの家といった家族の内外から認められるものをいいます。
依存症の問題が慢性化している家族では、外への相談がなかなかできず、また外からの情報も入りづらい厚い境界線となります。
これはそとから見ると何も問題がない家族に見えます。境界を破って相談に来られた場合には、「たいしたことはない」と境界線の内側に戻さないようにすることが重要になります。

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厚い世代境界と薄い(無い)世代境界

世代境界とは、親から子への配慮や子供には話さずにいる事といった、子供には降ろさない親の事情や情報など、生活の中に存在する自然的な境界をいいます。
この境界線は通常であれば透けて見える柔軟な線です。親から子どもに経済的に苦しい事を伝えても、具体的な借金などは普通話すことではなく、子どもは借金への責任や不安を持つことはないですが、線が透けて見えることから子どもはお金に困らない家だとは認識しません。
依存症の問題への対応に追われると、この境界線が薄くなり、進行に応じて境界線が無くなります。子どもが親からの悩みを常に聞き、その状態を知り、子どもならではの対応をするようになり依存症の問題に巻き込まれていきます。
逆のパターンもあり、隠せる依存症の問題であれば、親が子どもに対して秘密にし、境界線が厚くなることがあります。
この場合、子どもは家庭の事情をの情報を与えられず、雰囲気だけを味わうことになります。例えば、多額の借金が発覚したが子どもには知らせず、今まで通りの生活をさせているなどです。その裏で親は親戚に頭を下げお金を貸してもらうなどしていることもあります。
子どもは何か変だという感覚と、偽りの態度との噛み合わなさを感じながらも、親を安心させるために今まで通りに振る舞おうとしたりします。

コミュニケーション

例えば夫が依存症の問題を抱えている場合、まず夫婦間で言い争いが続き、そのうち情緒的交流が少なくなり、会話が最低限のものになります。
母親は子どもとの会話が増え、子どもは母親からの見方で父親を見るため、父との会話が少なくなっていきます。
さらに進むと、母子どものコミュニケーションが自動化し、暗黙の了解で理解したり動いたりするようになります。

子どもは家族の雰囲気を読み、態度だけでなく、口に出さない家族の思いを読み取り(マインドリーディング)、それを根拠に行動する非主体的な態度を身につけていきます。

対人援助職のためのアディクションアプローチ P133

固執した役割

問題に対応するために、ケアや後始末の役割がはっきりしていきます。
通常妻が役割を担いますが、妻が不在の場合は子どもが担います。また悩む母親の相談相手になったり、母の代わりに弟妹を世話するような場合もあります。これらの役割は、一時的であればどこの家庭にある状況への対応ですが、長期間にわたり継続される場合には家族内のストレスが高くなり、子どもの主体性の形成を阻害する要因となります。

となりのトトロと役割の柔軟性

となりのトトロは母親が病気療養中の家族の話です。
母親の入院中に父親がご飯作りなどの役割を担っています。それを長女が見て妹の世話をしたり、みんなの弁当を作ったりして配偶者や母親の役割を担おうとします。
妹は子供らしさがありますが、母親の病状の悪さを感じ取ると、一人で遠くの病院にトウモロコシを届けようとしています。
長女、妹ともに、個性としてではなく状況に反応して動いていることがわかります。
家族機能の視点からすると余分な機能(がんばり)をしていて機能不全状態で、家族の危機を乗り越えるための臨時の体制となります。
このとき大事なのは役割の柔軟性になります。
長女が不安を我慢しきれず祖母の前で泣いたり、親が長女の役割を見て、退院後は甘えさせようと思っているところ、妹の頑張った行動が失敗し、お母さんに会いたい欲求をトトロが叶えるところなどからも、状況に対応する臨時の役割は本来の子供らしさとは離れており、相当な負荷がかかるものとなります。
これが長期にわたり継続すると、子どもらしい自分の欲求に焦点を十分に当てることなく成長することになり、主体性のアンバランスにつながります。

家族内の恒常性

家族は定着したシステムを持続させようとする働きがあります。これを家族内ホメオスタシスと呼びます。この働きにより家族は一定期間まとまりをもって継続されます。
ホメオスタシスは余分な機能(がんばり)も慢性的に継続された場合は続いてしまうため、家族内の余分な機能を誰かが変えようとすると、それを止めたりためらったりという力が本人または家族から生じることがあります。

世代伝搬

状況に反応した行為や認識、感じ方を習慣にした子どもが成長すると、家でとってきた役割習慣が社会での人間関係の形成に関与し、仕事の仕方や職業の選択、対人関係などに影響することがあります。
例えば、ケアの役割に慣れている人は、ケアの必要な異性を配偶者に選ぶことが多くなります。また職場でその役割を担っていくこともあります。

家族システムへの援助

家族システムが偏ることはどこの家族にもあることです。
依存症への臨戦体制としての家族システムが進行して修正されずに続いているものに関しては、意識的に変化させることが可能です。
子どもに家庭の事情を話しすぎている場合は最低限にとどめ、妻にストレスがかかっている場合は妻が相談できるようにし、夫婦間のコミュにケーションが進むようにしていきます。
このとき「問題のある家族」としてはとらえないようにします。家族の機能不全は、家族が問題に取り組んできた結果そうなったのであり、問題解決に向かってきているからの状態だと認識することが大切です。

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