自分でできる体健やかブログ

リハビリ専門職(作業療法士)の私が、肩こり、肩の痛み、腰痛、膝痛、骨盤トレーニングなど、「自分でできる」をキーワードに対策方法を伝授します。

腹直筋のトリガーポイントと腰痛予防・改善のためのストレッチとトレーニング

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 腹筋群には、腰痛を引き起こしたり、悪化させる要因となる筋があります。なかでも腹直筋は背部に直接的に関連痛を送る事が知られています。また腹直筋が痛みの原因であるかは判断しやすく、アプローチもしやすい筋です。今回、腹直筋のトリガーポイントと、腰痛改善のためのストレッチ・トレーニングについて文献を参考にしながらまとめていきたいと思います。

 目次

腹直筋のトリガーポイントと腰痛予防・改善のためのストレッチとトレーニング

腹直筋とその機能

腹直筋は主に第5〜7肋骨の外側面に付着し、恥骨の上に向けてまっすぐ走行しています。3〜4本の腱画という横に走る腱のすじがあり、縦に走る白線で左右に分割されます。この縦と横の線により、いわゆる「腹筋が割れている」状態が成り立ちます。
腹直筋は前屈の補助や上体を起こしたり、上体を丸めるなどの腹筋運動で働きます。
直立姿勢で背筋とともに安定性を作り、平地に比べて上り坂を歩くときの方が負荷は大きくなります。
背筋の収縮時には、咳や排便などの活動をサポートする役割があります。

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出典:誰でもできるトリガーポイントの探し方・治し方 腰痛

腹直筋のトリガーポイントと関連痛

腹直筋のトリガーポイントはどの部分にもできますが、腰痛に関連する部位としては腱画の下部で恥骨のすぐ上の部分で形成されやすくなります。
ここにトリガーポイントがあると、腰全体や臀部、仙腸関節にも関連痛を送り、尿道括約筋の痙攣の原因にもなります。片側のトリガーポイントでも腰全体に痛みが生じます。
臍の横で少し下がった部分のトリガーポイントは虫垂炎に似た痛みで、月経前症候群や重度の月経痛、動くと悪化する腹部の痛みの誘因となりえます。
胸郭の内縁で、腹直筋と胸郭との付着部のトリガーポイントは、中背部全体の横に走る痛みを引き起こし、場合によっては胸焼け感を生じさせることもあります。

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出典:誰でもできるトリガーポイントの探し方・治し方 腰痛

腹直筋が悪化する原因とトリガーポイントが疑われる症状

悪化する原因
・過度な腹筋運動
・強いストレス、緊張
・排便や出産時の負荷
・手術による組織損傷
・不適切な前傾姿勢での荷物の持ち上げ
・腹部の脂肪が多く、体幹の可動域が制限される
・腹部の慢性的な締め付け(お腹を引っ込める動作)
・締め付けすぎるベルトなど

トリガーポイントが疑われる症状
・腰全体の痛み
・腹部の筋力低下
体幹関節可動域制限
・重度の月経痛
・胸焼け感
・腹部の痛み
・深呼吸をしたときの痛み

腹直筋の評価

触診テスト
仰向けで背中を伸ばし、恥骨の上から上方に順次指で腹直筋を押します。周辺よりも硬い部位、こわばりがある部位、押したときに背部などの痛みが生じる部位を確認します。

上体倒し
膝を曲げて床に座り、できれば足を上から押さえれれる環境で行います。
できるだけリラックスした状態で、10秒かけて状態を後ろに倒していきます。
痛みなくゆっくりと倒すことが可能であれば服直筋に問題はないと考えます。痛みが強すぎてゆっくりと倒せなかったり、運動中に腹直筋に痙攣が起こるようであればトリガーポイントの存在が疑われます。

上体起こし
膝を曲げて床に座り、できれば足を上から押さえれれる環境で行います。
頭上に手を伸ばしてから、腕を前へスイングさせながら上体を起こしていきます。
上体を起こせなかったり、痛みが生じる場合腹直筋にトリガーポイントの存在が疑われます。

 トリガーポイントを示唆する姿勢チェック

立位姿勢
・前傾姿勢orうつむきがちの姿勢
・腕や手の内旋
・腰椎前弯減少
・腰部の過剰な湾曲or腹部突出
・肋骨前面の下方への引っ張りと中背部の丸み姿勢
・肩と胸が同時に動く呼吸
座位姿勢
・背中を真っ直ぐ伸ばして座ると疲労しやすい
・すぐに前傾姿勢で肘を机や膝につく
・うつむきがちの姿勢
・猫背の方が楽
・背中が反り気味
歩行姿勢
・前傾姿勢
・うつむきがちの姿勢
・歩幅が狭い
・骨盤が固定されたまま

これらのうち当てはまる項目があれば、腹直筋の慢性的な硬さや、その他の筋の慢性的なこわばった筋の存在が示唆されます。

腹直筋のトリガーポイントに対する治療の考え方

座位時間が長い方の場合、腹直筋のトリガーポイントが複数存在し、慢性的に腹直筋が収縮している場合があります。この時には筋全体の緊張を緩和する必要があります。
腹直筋治療では、背中の傍脊柱筋(脊柱起立筋、多裂筋、回旋筋など)のストレッチも行うとより効果が期待できます。これは、腹直筋をストレッチすると背部の筋が収縮するので、その後背中の筋をストレッチすることが望ましくなるためです。
腹直筋のストレッチ後には、例えばチャイルドポーズ(正座で体幹を大腿前面につけ、額を床につけ、腕を伸ばす。)を数回行うようにします。
詳しくは以下の記事を参照してください。

happyhealth.hatenablog.com

腹直筋のトリガーポイントに対する治療法:圧迫

腹直筋が硬くこわばりがある場合、まずはホットパックで温めたり、風呂に入り体を温めることが有効になります。

仰向けでの圧迫
恥骨のすぐ上から始め、指で腹直筋を押しながら上方へ圧迫していきます。痛い部位や硬さのある部位を探しながら、両側の腹直筋を下から上へと圧迫していきます。
問題のある部位が見つかったら、10秒程度押圧します。またその部位の皮膚をつまみ上げ組織を剥がすようにすることも有効です(皮膚と筋膜のリリース)。

側臥位での圧迫
腕や枕で頭部を支え、ローラーを臍に向かって当てます。そこからゆっくりと不快感がない程度に体重を預けていきます。痛みや硬さのある部位があれば、10秒程度圧迫をします。ローラーを移動させながら腹直筋上部まで治療していきます。

うつ伏せでの圧迫
うつ伏せでローラーを左右どちらかの恥骨の部分に当てます。同じ側の肘に体重をかけ、対側の脚は曲げておきます。こうすることで、体重のかけ方をコンントロールできます。
体を下にずらしていき、ローラーを胸郭まで移動させていきます。
両脚を真っ直ぐにして恥骨部分の腹直筋に当てる方法もあります。

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圧迫用ローラー
私は、筋膜リリースに有効なランブルローラーを使用しています。

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腹直筋のトリガーポイントに対する治療法:ストレッチ

立位でのストレッチ
図のように、戸口を利用したストレッチです。
これにより体幹前面筋が伸長されます。10秒間静止し、脚を代えて同様に行います。

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コブラポーズ
このポーズは負荷が高いため、腰痛があまり感じなくなるレベルの方向けとなります。
最初はうつ伏せで胸の下にクッションを徐々に高くして置いていくところから始めていきます。この時背筋と腹直筋はリラックスさせておきます。
次に自動的なストレッチに移ります。うつ伏せで手を肩の真下に置き、肘がまっすぐ伸びるまで体幹を起こしていきます。腹直筋と背筋は弛緩させ、10秒程度静止してから体を元に戻していきます。

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その他のストレッチ方法

happyhealth.hatenablog.com

腹直筋のトリガーポイントに対する治療法:コントラクト・リラックス

コントラクト・リラックスは、抵抗を利用した動作(収縮)と弛緩を交互に繰り返すことで可動性を高めていくものです。
ストレッチとコントラクト・リラックスを交互に行うと、より効果が期待できます。

座位での腹直筋収縮
椅子に座り、胸に自分の両手を当てます。手は背中の方向に押し、それに抗するように腹部を収縮させます。10秒収縮させ、弛緩させます。
次に傍脊柱筋の収縮のために、椅子の背もたれに対して体幹上方を後ろに押し付けます。10秒収縮させ、弛緩します。

上体倒し
膝を曲げて床に座り、できれば足を上から押さえれれる環境で行います。
できるだけリラックスした状態で、10秒かけて状態を後ろに倒していきます。
上体倒しが終われば、仰向けのまま弛緩し、腕を頭上に伸ばし10秒程度ストレッチさせます。

腹直筋のトリガーポイントに対する治療法:トレーニング

骨盤前後傾運動
座位で息を吸いながら腹筋をリラックスさせ、腹部をゆっくりと前に突き出しながら骨盤を前傾させます。
息を吐きながらゆっくりと腰を後ろに突き出しながら腹部を引き骨盤を後傾させます。
立位でも同様に行います。
余裕があればフィットネスボール(バランスボール)上でも行います。

スレッドザニードル
四つ這いで頭頸部、体幹を右に回旋させ左手は胸の下を通り右に伸ばします。

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左腕を抜き、頭頸部、体幹を左に回旋させながら天井に上げます(視線は指先)。

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負荷をかける場合は、動かす手に重りを持たせると良いです。

体幹屈曲・伸展エクササイズ
初級
膝を伸ばして立ち、両手を後ろ回します。背中を伸ばしながら股関節から屈曲し、ゆっくりと最初の姿勢に戻ります。痛みを感じない範囲で行い、90度前屈できるようになるまで行います。

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最初の姿勢から、両手を腰に当て、体幹をゆっくりと後ろに反らしていきます。ゆっくりと元の姿勢に戻ります。痛みを感じない範囲で行い、20〜30度伸展できるようにしていきます。

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中級
両手を上げ、肘を曲げて手が顔の前に来るようにして立ち、背中を伸ばしたまま股関節から前屈します。初級と同様に90度前屈できるようにしていきます。

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最初の姿勢から、手と腕を同じ位置に保ちながら、体幹をゆっくりと後ろに反らしていきます。これも初級と同様に20〜30度伸展できるようにしていきます。

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上級
両腕を頭の上に上げ立ち、初級・中級同様に前屈、後屈を行います。

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⑥回旋・前屈エクササイズ
立位から、体幹を回旋させ手を逆の腰にタッチします。
最初の姿勢に戻り、もっと大きく体幹を回旋し、手を逆の大腿にタッチします。
最初の姿勢に戻り、もっと大きく体幹を回旋し、手を逆の下腿にタッチします。
最初の姿勢に戻り、もっと大きく体幹を回旋し、手を逆の足首にタッチします。

キャットバック・オールドホース
四つ這いで息を吐きながら背中を丸めるように体幹中央部を引き上げ、5秒静止します。

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息を吸いながら体幹中央を床に沈め、腹部はリラックスさせながら頭と臀部を持ち上げ、5秒静止します。

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参考文献