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脳卒中障害者の自動車運転再開と医師診断書

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何らかの病気により障害を持つと、運転再開時に医師診断書が必要となる場合があります。診断書では医学的問題や身体機能、失語症などの状況を踏まえて診断がなされます。今回、脳卒中障害者の自動車運転再開と医師診断書について、文献を参考にしながらまとめていきたいと思います。

 目次

脳卒中障害者の自動車運転再開と医師診断書

自動車運転再開までの流れ

脳卒中は、自動車運転免許の拒否や保留になる病気のなかのひとつに数えられています。

現在免許の拒否又は保留の事由となる病気等のうち、道路交通法第90条第1項第1号ハでは、「自動車等の安全な運転に必要な認知、予測、判断又は操作のいずれかに係る能力を欠くこととなるおそれのある症状を呈する病気」と記載されている。そして実際の運用には、警察庁交通免許課で「一定の病気に係る免許の可否等の運用基準」が定められ、その中に脳卒中脳梗塞脳出血くも膜下出血、一過性脳虚血発作等)が含まれている。

竹原 格・他「脳卒中患者の自動車運転再開」リハビリテーション医学 Vol.50 No.2 2013 P100

このことから、自動車運転の再開に向けては臨時適性検査を受ける必要があります。また「一定の病気」には脳卒中の他にも、統合失調症、そううつ病、その他精神障害てんかん、再発性の失神、無自覚性の低血糖、重度の眠気を呈する睡眠障害認知症アルコール依存症などが含まれます。
また免許更新時には下図の記載提出義務づけられている質問票で、1つ以上「はい」に該当する場合も適性相談の対象になります。

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出典:和歌山県警察 「運転適性相談について」質問票(

http://www.police.pref.wakayama.lg.jp/traffic/untentekiseisoudan/shitsumonhyou.pdf

) 

適性検査の結果により、条件変更なし、条件変更、不適格に分けられます。条件変更では決められた条件に合わせて自動車の改造を実施し、運転再開となり、不適格では免許停止あるいは取り消しとなります。
臨時適性検査受検に向けては、医師の診断書が必要になります(求められます)。診断書は都道府県により形式や文面に差があります。診断書には脳卒中関係、認知症関係、てんかん関係、不整脈関係など様々なものがあります。
医学的診断書記載について、

診断書を記載する歳、問題となるのは、「現時点での病状についての意見」であろう。日本語の文章として理解することも困難であり、発作とは何をさしているのか、どの程度なら運転を控えなくてよいのかなどを判断が困難な場合も少なくない。また、運転許可の判断を6ヶ月以内に限定しているため、失語症高次脳機能障害など緩やかに改善する障害では、病気の発症と免許更新が近い場合に免許更新を許可すべきか判断に苦慮することもある。

竹原 格・他「脳卒中患者の自動車運転再開」リハビリテーション医学 Vol.50 No.2 2013 P100

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出典:竹原 格・他「脳卒中患者の自動車運転再開」リハビリテーション医学 Vol.50 No.2 2013

自動車運転再開と医学的管理、身体機能・失語症

脳卒中患者で、特に高齢となると複数の合併症も持ち合わせていることも多く、複数の薬剤を内服していることがあります(糖尿病、高血圧など)。他にも不整脈や不眠、てんかんなども持ち合わせていることもあり、医学的コントロールが必要になります。

自動車運転中の突然死の原因として虚血性心疾患、脳血管疾患、糖尿病が多かったと報告されている。高血圧、糖尿病は脳血管疾患発症の大きな危険因子であり、糖尿病は意識消失を伴う低血糖発作を生じる危険性もあるため、特に適切な管理が必要とされる。

竹原 格・他「脳卒中患者の自動車運転再開」リハビリテーション医学 Vol.50 No.2 2013 P100

身体機能面では、片手しか動かなくても自動車を改造すれば運転可能となります。歩行に関しては杖や装具を使用し屋外で自立レベルで行う必要があるとの報告があるようです。
片麻痺の場合、左上下肢で操作できるようにする改造が必要になります。具体的には、ブレーキペダルの左側にアクセルペダルを設置し、ウインカー操作も左側に設置します。
痙縮が強い場合、痙縮をコントロールできるようにするか、改造により左下肢でペダル操作できるようにする必要があります。
片麻痺で感覚障害、なかでも重度の深部感覚障害がある場合、ペダルの位置や踏み込み感覚が把握できないため、視覚での代償で下方を見てしまうことがあり、前方不注意で事故の原因となることがあります。そのため、感覚障害がある方では左上下肢での操作に切り替える必要があります。
失語症では、道路標識や交通規則の理解や、事故が発生した場合などに、状況が説明できる能力が必要になります。近年ドライブレコーダーを使用することも増えてきており、映像として記録を残していると、状況説明への一助となることが考えられます。

一定の病気により免許取り消し処分を受けた方の再取得

一定の病気を理由に免許取消処分となった方は、取消期間満了後で、取消の理由となった病気が回復した場合には、免許を取り消された日から3年以内であれば、学科試験や技能試験が免除されます(適性試験のみで再取得)。
この場合には、取消を受けていた期間と、再取得した期間は継続しているものとみなされ、例えば取消前にゴールド免許だった場合、そのままゴールド免許が継続されることになります。
なお、再取得を行う前には必ず医師の診断書が必要となり、70歳以上の方では、再取得の手続きの前に高齢者講習の受講が必要となります。

引用・参考文献

竹原 格・他「脳卒中患者の自動車運転再開」リハビリテーション医学 Vol.50 No.2 2013