自分でできる体健やかブログ

リハビリ専門職(作業療法士)の私が、肩こり、肩の痛み、腰痛、膝痛、骨盤トレーニングなど、「自分でできる」をキーワードに対策方法を伝授します。

健康問題に起因する高齢者運転事故による刑事・民事・行政責任

【スポンサーリンク】

近年認知症や脳血管障害に伴う障害やてんかんなどの影響による事故が増加しています。自動車の運転者には注意義務があり、それを怠って事故を起こした際には、刑事・民事・行政から法的責任を問われることが考えられます。今回、健康問題に起因する高齢者事故の法的責任について、文献を参考にしながらまとめていきたいと思います。

 目次

健康問題に起因する高齢者運転事故の法的責任

刑事責任

交通事故が起こった場合、運転者には自動車運転死傷行為処罰法や道路交通法が適用され、刑事責任が問われることがあります。
自動車運転死傷行為処罰法では2014年より、健康起因事故(認知症、脳血管障害やそれに伴う障害、てんかんなどの意識消失を伴う疾患などの影響による事故)に、危険運転致死傷罪を適用することができるようになりました(従来は過失運転として立件されていた)。
違反による事故や、健康起因事故でも要件を満たさない場合には、過失運転致死傷罪が適用されることになります。
事故発生時に心神喪失状態である場合や、事故について故意や過失が認められない場合には、刑事責任は問われません。
健康問題に起因した心神喪失状態での事故の場合、運転中に体調の異変を自覚していた場合には、運転をやめることで事故回避できるため、責任を問われることがあります。
また運転前体調不良などで安全運転への不安を認識している場合にも、運転をしないことで事故回避できるため、責任を問われることがあります。しかし、初めての発作で心神喪失状態となった場合には過失が認められないので、責任は問われません。
認知症では、運転における認識力があると判断された場合には、実刑となることもあり、不調を感じたら停車可能であることから責任を問われることもあります。
近年のでは健康起因事故での刑事責任は厳しく判断される傾向にあります。

民事責任

交通事故を起こした運転者には、被害者などに対する損害賠償責任が発生します。
事故発生時に責任能力がなかった場合や、故意も過失も認められなかった場合には民法に基づく損害賠償責任は発生しません。刑事責任と同様、事故回避が可能であった場合には、責任を問われます。
運行共用者(保有者など)に課せられる自動車損害賠償法での賠償責任は、運転者が責任能力が無くても免れません。そのため、運転者が車の保有者であった場合、責任能力の有無には関わらず、自動車損害賠償法による賠償責任が生じます。
運転者に責任能力が無く、民法での賠償責任が生じない場合、監督義務のある家族などが賠償責任を負うことがあります。車の保有者が運転者の家族であった場合、自動車損害賠償法による賠償責任が生じます。

行政責任

交通事故などで道路交通法に違反する行為がある場合には、免許停止や取り消しなどの行政処分が生じます。
また、免許更新時に提出する疾病に関する質問票に虚偽の記載がある場合、罰則が科されます。
75歳以上の高齢運転者は、3年に一度、免許更新時に認知機能検査を受ける義務があります。2017年6月までに施行される改正道路交通法においては、認知症のおそれがあると判定された場合には、医師の診断が義務付けられます。
認知症てんかん統合失調症などとともに、免許の相対的欠格事由の一つであり、アルツハイマー型、血管性、前頭側頭型、レビー小隊型認知症と診断されると、重症度に関わらず免許取り消しとなります。
なお、医師は病気のために運転に支障があると判断した場合、公安委員会に届け出ることが可能です。

関連法規

f:id:happyhealth:20170308222044j:plain


出典:「高齢運転者の健康起因事故における法的責任」地域リハビリテーション VOl.10 No.10 2015

参考文献

馬場 美年子「高齢運転者の健康起因事故における法的責任」地域リハビリテーション VOl.10 No.10 2015