読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

自分でできる体健やかブログ

リハビリ専門職(作業療法士)の私が、肩こり、肩の痛み、腰痛、膝痛、骨盤トレーニングなど、「自分でできる」をキーワードに対策方法を伝授します。

上肢のFugl-Meyer testの概要と実施における注意点

リハビリ 脳卒中

【スポンサーリンク】

Fugl-Meyer test(フーゲルメイヤーテスト)は、脳卒中後の片麻痺者における身体活動能力を評価する方法です。このテストは標準化されており、リハビリテーションアプローチの戦略やその効果判定に用いることが可能です。しかし、実施には知識の整理と実施方法のトレーニングも必要と思われます。そこで今回、上肢Fugl-Meyer testの概要と実施における注意点を、文献を参考にしながらまとめていきたいと思います。

 目次

上肢のFugl-Meyer testの概要と実施における注意点

概要と理論

Fugel-Meyerら(1975)は脳卒中片麻痺患者における身体活動能力を評価する方法を開発したTwichell(1951)し、Reynoldsら(1958),Brunnstrom(1966)の知見を含んでいます。Brunnstromらの観察した脳卒中片麻痺の段階的な回復という概念に基づき評価手法が開発され、Fugel-Meyerと共同研究者により標準化され改定された評価法となっています。

評価方法の構成を基づけた仮説

通常の筋力測定は片麻痺患者の運動機能を評価するのには不適である。
脳損傷後に高度な選択的な動きが困難となるのは,多様な反射機構の不調和によるものである。
運動機能の回復はステージに応じて起こる。
弛緩性麻痺では,多くの場合まず反射の変化が起こり,おそらくこれが随意運動の再獲得に関連がある。
回復は多くの場合,近位関節の動きにより始まり,遠位関節の動きは回復過程の後期に起こる傾向にある。
共同運動,特に上肢近位の活動は回復過程で出現し,回復早期から中間ステージに起こりうる代表的な基本的な随意運動機能である。

 上肢リハビリテーション評価マニュアル P5

運動機能の回復ステージについては、

(1)反射の回復
(2)屈筋共同運動,伸筋共同運動の範囲内で画一的な

   随意運動が可能となる
(3)共同運動なし,または共同運動の影響なしに運動が可能
(4)反射は正常化

上肢リハビリテーション評価マニュアル P6

とあり、感覚障害や関節可動域制限、運動時の関節痛は運動に影響を与えるため、これらの評価項目もテストに含まれていることが特徴です。

上肢の検査項目

A肩/肘/前腕
Ⅰ.反射 Ⅱ.動的屈筋共同運動と伸筋共同運動における随意運動 
Ⅲ.動的屈筋共同運動と伸筋共同運動の混合を伴う随意運動
Ⅳ.共同運動をほとんどもしくは全く伴わない随意運動 Ⅴ.正常反射
B手関節 C手 D協調性/スピード
H感覚
a)触覚 b)位置覚
J他動的関節可動域/関節痛
となっており、関節可動域・関節痛から始めることが大きな特徴になっています。これは、関節痛は自動運動に大きな影響を与え、患者が持っている最大機能を隠してしまうためです。

検査に要する時間

検査内容が多く,慣れていても30分程度の検査時間がかかることがあります(Poole & Whitney, Physical & Occupational Therapy in Geriatrics, 2001)。
報告によると最大で約2時間(110分)かかってしまうというものもあります(Malouin et al., Arch Phys Med Rehabil, 1994)。
なお、上下肢全ての検査に対する話となっています。このことからも、検査の注意点や実施方法の習得をあらかじめ行っておくことが大切になります。

方法

主な方法は以下の通りです。
患者は肘掛けがない椅子に座ります。
各課題は別単位として行い、非麻痺側から開始します。
評価者は必要であれば随時修正を行います。
運動課題において十分な説明を行います。
関節可動域、関節痛の項目から始めることに意味があります。

患者への指示

指示を十分に理解しているのかを確認します。
評価者が実際にやって見せたり、言葉で指示してりして動きを説明します。
患者の非麻痺側で動きを真似をさせます。
必要であれば、評価者が他動的にまたは動きを介助しながら患者を誘導します。
評価者は麻痺側の動きを示す必要に応じて、指示したり、動きを誘導し、必要があれば修正をします。
患者ができうる限り最大のパフォーマンスが発揮できるような機会を与えることが重要で、何回も繰り返してもよいですが、患者が疲れたり練習してうまくならないように注意を払う必要があります。

必要物品

打腱器
紙(A4の1/4〔A6〕)
鉛筆
直径3cmの筒状の物/缶
テニスボール
ストップウォッチ

採点

採点方式は累積数値スコアを採用しています。
Fugel-Meyer test のすべての項目は反射以外は3段階の順序尺度に従って採点されます。
運動項目の各項目や下位テストにはさらに特別なガイドラインが存在します。
Fugel-Meyerは運動項目の得点(最高100点)に応じて以下のような患者分類を提案しています。
<50点 重度運動機能障害
50〜84点 著しい運動機能障害
85〜95点 中等度の運動機能障害
96〜99点 軽度の運動機能障害

なお、上肢の最高得点は106点となっています。

信頼性と妥当性

床・天井効果

急性期脳卒中患者の感覚機能の項目で天井効果がある (Lin et al, Clinical Rehabilitation, 2004)

信頼性

(1) 再試験信頼性(いつ評価しても同じ結果が得られるかどうか)
運動機能,感覚機能,他動的関節可動域の項目で確認されている (Platz et al, Clinical Rehabilitation, 2005)。
(2) 検者間信頼性(誰が評価しても同じ結果が得られるかどうか)
全項目で確認されている(Duncan et al, Phys There, 1983;Sanford et al, Phys There, 1993;Lin et al., Clinical Rehabilitation, 2004)。
(3) 検者内信頼性(同じ人が数回評価しても同じ結果が得られるかどうか)
確認されていない。
(4) 内的整合性(評価したいことが評価できているかどうか)
確認されている (Wood-Dauphinee et al, Stroke, 1990;Lin et al, Clinical Rehabilitation, 2004)。

妥当性

(1) 基準関連妥当性(他の似たような評価指標と関連するかどうか)
Moter assessment scaleの座位項目以外と関連がある(Malouin et al, Arch Phys Med Rehabil, 1994)
(2) 構成概念妥当性(評価内因子を合わせて評価したいものを評価できているか)
急性期,慢性期の脳梗塞患者で確認されている (Dettmann et al, Amer J Phys Med, 1987;Shelton et al, Stroke, 2000;Mao et al, Stroke, 2002)。
(3) 内容的妥当性(項目に評価したい内容を含んでいるか)
確認されている (Crow et al, Physical Therapy, 2008;Woodbury et al, Archives of Physical Medicine and Rehabilitation, 2008)。
(4) 表面的妥当性(その道の専門家からみて妥当かどうか)
確認されている (Gladestone et al, Neurorehabilitation and Neural Repair, 2002)。

実施方法:J他動的関節可動域/関節痛

他動的関節可動域

肩:外転90度
・患者が肩甲帯の引き上げで代償しないよう注意する
・肘は90度屈曲させる
肩:外旋
・肩関節は自然な位置で肘は90度屈曲
肩:内旋
・肩関節は自然な位置で肘は90度屈曲
肘:屈曲と伸展
・肩関節は自然な位置で前腕回内外中間位
回内外
・肩肘は90度屈曲
手関節:屈曲と伸展
・肩関節は自然な位置で肘90度屈曲、前腕回内位
手指:屈曲と伸展
・肩関節は自然な位置で、肘90度屈曲、前腕回内外中間位

採点
0:ほとんど動かない
1:他動的関節可動域は減少
2:他動的関節可動域は正常

関節痛

患者に他動的運動時に痛みがあるかを答えるように尋ねる
痛みのために評価が中断する場合、関節可動域の最終域で著名な痛みが出現する場合、またはすべての可動域にわたって痛みの訴えがある場合に0点と採点する
全関節可動域を動かすことができるが、痛みを訴える場合は1点と採点する

採点
0:関節運動のすべての範囲ではっきりとした痛みの訴え、または実際の関節可動域の最終域で非常に著明な痛み
1:わずかな痛み
2:痛みなし

実施方法:A.肩/肘/前腕 Ⅰ.反射

ぞれぞれの反射が繰り返し誘発可能かを診る
上腕二頭筋:手は膝の上に置き、前腕回外位
手指屈筋:手は膝の上に置き、前腕回外位。評価者は示指を近位基節骨の手掌側に置いて、打腱器で叩く
上腕三頭筋:上肢は外転位に評価者が保持し、肘は重力に従い曲がった状態とする
屈筋は上腕二頭筋または手指屈筋のどちらでもかまわない

採点
0:反射なし
2:反射は屈筋と伸筋の両方もしくはどちらかで誘発

実施方法:A.肩/肘/前腕 Ⅱ.動的屈筋共同運動/伸筋共同運動 a)屈筋共同運動

患者には座位で麻痺足側の前腕を最大に回外させた状態で肘を最大屈曲させて引き上げて同側の耳まで持っていくよう指示する
すべての要素は運動の最後に達成されることが重要
脊柱の側屈による肩外転の代償に気をつける
共同運動の要素は運動の最後の時点で評価する
運動の途中でそれぞれ別に採点してはならない

採点
0:個別の項目が全くできない
1:部分的に可能
2:完全に可能

実施方法:A.肩/肘/前腕 Ⅱ.動的屈筋共同運動/伸筋共同運動 a)伸筋共同運動

肩内転、内旋させて手を回内させた状態で非麻痺側の膝へ伸ばすように指示する
開始位置は十分な屈筋共同運動の位置とする
患者自身でこの位置がとれなければ介助する
重力を利用して代償しないように注意する
胸郭を回旋したり、麻痺側上肢を振り子のように振らないよう注意する
時に大胸筋や上腕三頭筋に触れる必要がある
前腕の回内ができたかどうかは、最終的に膝の上に到達したときに採点する
共同運動の要素は運動の最後の状態で評価される
運動の途中において、それぞれの要素を別々に評価しない

採点
0:個別の項目が全くできない
1:部分的に可能
2:完全に可能

実施方法:A.肩/肘/前腕 Ⅲ動的屈筋共同運動と伸筋共同運動の混合随意運動 a)手を腰へ

麻痺側腰椎棘突起上に随意的に置く
代償動作を避けるために、患者が真っ直ぐ座っていることを確認する
真っ直ぐ座らせるために、評価者が手を出して修正することは認められる
患者は手の甲で背中に触る
上前腸骨棘を越えることができない場合や、代償動作を用いなければ越えることができない場合0点をつける

採点
0:個々の要素が全く行われない
1:重力の利用なく上前腸骨棘を越える
2:個々の要素が完全に行われる

実施方法:A.肩/肘/前腕 Ⅲ動的屈筋共同運動と伸筋共同運動の混合随意運動 b)肩屈曲0〜90度

肘は全可動域にわたり伸展位としなければならず、前腕は回内・回外中間位とする
座位の状態で、(肩屈曲0度、肘完全伸展で腕は体の横またはいすの横に垂らす)開始位置をとらせるための介助をしてもよい
他動的可動域(肩屈曲90度以下で)にまで達することができない場合には1点とする

採点
0:運動の開始時点ですぐに肩外転または肘の屈曲が起こる
1:運動の後半で肩外転または肘の屈曲が起こる
2:完全に可能

実施方法:A.肩/肘/前腕 Ⅲ動的屈筋共同運動と伸筋共同運動の混合随意運動 c)肘屈曲90度での前腕回内外

肩屈曲0度で肘を自分で90度に屈曲させて前腕の回内外
肩と肘が開始位置(肘が体側に接しているか)を保っているか確認する
他動的ROMの範囲で可能かどうかを診るために、繰り返し他動的ROMを評価する

採点
0:肩と肘の正しい位置を患者自身ではとれない。または回内外が全く行えない
1:限られた関節可動域で回内外が可能で、その時に肩と肘は正しい位置を保持していることができる
2:完全に可能

実施方法:A.肩/肘/前腕 Ⅳ共同運動なしの随意運動 a)肩外転0〜90度

肘は完全伸展位、前腕回内位
必要があれば、評価者は開始肢位をとらせるために介助をしてもよい
最初から肘が屈曲していたり、前腕も回内位から動いている場合は0点とする

採点
0:すぐに前腕回外、肘屈曲が見られる
1:部分的にのみ可能。または運動中に肘屈曲を認めたり、前腕回内位の保持が困難な場合
2:最初から肘は曲がらず、前腕は回内位からどちらに偏ることもない

実施方法:A.肩/肘/前腕 Ⅳ共同運動なしの随意運動 b)肩屈曲90〜180度

肩屈曲90度、外転0度の開始位置をとらせるために、評価者は介助してもよい
他動的関節可動域に及ばない時にも1点と採点する

採点
0:運動開始後すぐに、肩外転、肘屈曲が起こる
1:運動の後半時に肩外転、肘屈曲が起こる
2:完全に可能

実施方法:A.肩/肘/前腕 Ⅳ共同運動なしの随意運動 c)肘完全伸展位での前腕回内外

座位で肘を完全伸展位として回内外を指示
肩は少なくとも30〜90度の間で屈曲位とする
患者は開始位置にするためのいかなる介助も受けてはならない
肩回旋動作による代償運動に注意
患者がROMの範囲まで完全に動かすことが可能かどうかを判断するために、この肢位での他動的ROMを繰り返し評価する必要がある
1点は回内外運動の運動域がわずかな開始時点では肢位を保つことはできるが、回内外運動域の増加に伴い肢位を保つことができない場合につける

採点
0:開始位置がとれない、回内外が全くできない
1:肘や肩の肢位は正しく保つことができるが、回内外は非常に限られた範囲でしか動かせない
2:完全に可能

実施方法:A.肩/肘/前腕 Ⅴ正常反射

上腕二頭筋上腕三頭筋、手指屈筋の反射を誘発

採点
0:3つの反射のうち少なくとも2つは著明に亢進している
1:1つの反射が著明に亢進、またすくなくとも2つの反射が亢進
2:2つ以上の反射の亢進を認めず、著明な反射の亢進は認めない

実施方法:B.手関節 a)肘屈曲90度での手関節保持

肩屈曲0度、肘屈曲90度、前腕最大回内位での手関節背屈約15度の保持を検査する
肘の随意運動が困難で、肘を指定された肢位にしたり保持することができない場合評価者は介助して良い
重力に抗して手関節背屈15度が可能な患者にのみ抵抗を加える

採点
0:指示された肢位までの手関節背屈は困難
1:手関節の背屈は可能だが抵抗には抗しない
2:抵抗に抗して肢位を保つことが可能

実施方法:B.手関節 b)肘屈曲90度での手関節掌屈、背屈の繰り返し

指は若干の屈曲位、手関節最大背屈から掌屈のスムーズな交互運動を繰り返させる。肘を指定された肢位にしたり保持することができない場合介助してもよい
手関節背屈時には指は少し屈曲位としてもよい
前腕の動きを抑えてはならず、患者に前腕の開始肢位を保つように指示する
他動的ROMの範囲で可能かどうかを診るために、繰り返し他動的ROMを評価する
随意運動可動域が他動的ROMに及ぶのであれば(他動的ROMが制限されていても)採点は2点
採点1とするには、運動は両方向にされており、痙縮による揺らぎの代償運動に注意する

採点
0:随意運動は起こらない
1:患者は他動的ROMまで随意的に動かせない
2:各部位において十分に適切な運動が行われる

実施方法:B.手関節 c)肘最大伸展位での手関保持

肩関節軽度屈曲外転、肘伸展0度、前腕回内位で手関節保持を評価する
必要に応じこの肢位をとらせるために患者の上肢を支えてもよい
患者が手関節背屈15度を重力に抗して保持が可能な場合のみ、抵抗を加える

採点
0:指示された肢位で手関節背屈ができない
1:抵抗がなければ手関節背屈は可能
2:抵抗に抗して肢位の保持が可能

実施方法:B.手関節 d)肘完全伸展位での手関節掌屈、背屈の繰り返し

手関節掌屈背屈交互運動を肩関節軽度屈曲外転位、肘関節最大伸展位で行う(必要に応じ支持する)
手関節背屈時には指は少し屈曲位としてよい
前腕の動きを抑えず、患者に前腕の開始肢位を保つように指示する
他動的ROMの範囲で可能かどうかを診るために、繰り返し他動的ROMを評価する
随意運動可動域が他動的ROMに及ぶのであれば(他動的ROMが制限されていても)採点は2点
採点1とするには、運動は両方向にされており、痙縮による揺らぎの代償運動に注意する

採点
0:随意運動は起こらない
1:患者は他動的ROMまで随意的に動かせない
2:各部位において十分に適切な運動が行われる

実施方法:B.手関節 e)手関節ぶん回し運動

肩関節0度(すべての自由度において)、肘関節屈曲90度に保ち評価者は前腕を支えても良いが動きは抑えないようにする

採点

0:ぶん回し不可能
1:拙劣な動きまたはぶん回しは不完全
2:各部位で十分適切な動きが行われる

実施方法:C.手 a)手指集団屈曲

手7項目は必要であれば評価者は肘を90度に保つよう支えて良いが手関節は支えてはならない

開始肢位では前腕は回内外中間位とし、手関節も可能な範囲で中間位とする。患者は手指最大伸展位(この肢位は評価者に促されてもよい)から自ら屈曲する。このテストは次の集団伸展の項目とつながっている

採点
0:屈曲しない
1:自動屈曲は十分ではないがある程度屈曲
2:十分な自動屈曲(非麻痺側と比較して)

実施方法:C.手 b)手指集団伸展

自動または他動最大屈曲位からすべての指を伸展させる
開始肢位で前腕は中間位とし、手関節も可能な範囲で中間位とする
患者は手指最大屈曲位(この肢位は評価者によって促されてもよい)から伸展する

採点
0:伸展不能
1:十分ではないがある程度の伸展、または集団屈曲握りから自ら開く
2 :十分な自動伸展運動(非麻痺側と比較して)

実施方法:C.手 握りテスト c)握りA

患者に第2−5指の中手指節関節を伸展し、近位指節関節、遠位指節関節は屈曲するよう指示する
握りは抵抗に抗するかをテストする
開始肢位で前腕は回内外中間位とし、手関節も可能な範囲で中間位とする。要求されていることを患者が理解するまでやってみせたり、介助して行わせる。患者自らがこの肢位をとらなくてはならない。

採点
0:指示された肢位をとることができない
1:握りが弱い
2:比較的強い抵抗に抗して握りを保持することができる

実施方法:C.手 握りテスト d)握りB

母指の中手指節関節ならびに指節関節は0度として純粋に母指の内転を行うようにする紙片は伸展位の母指の掌側と示指の中手骨部で保持され、示指の末節骨の伸展や屈曲を用いてはならない
手関節の開始肢位は前腕回内位で屈曲伸展は中間位とする
引っ張り方は急に引っ張る。患者には常にこの突然の動きに注意を払うよう指示する。引っ張る方向は患者から水平に離れるようにすべきである
紙のサイズ:A4の1/4(A6)
重力に抗して(1点)または抵抗に抗して(2点)紙を保持しているときに、母指の中手指節関節と指節関節は真っ直ぐに伸ばした状態(0度)に保たれなければならない
採点の2点とは紙が手からほとんど動いていないことである

採点
0:機能的に遂行困難
1:母指と第2指中手骨部の間に挟んだ紙片は引っ張られなければ保持可能
2:引っ張られても紙片は保持可能

実施方法:C.手 握りテスト e)握りC

母指指腹と示指指腹を対立させる。鉛筆を挟む指腹のみを使う。他の指の位置は関係ない
引っ張る方向は重力に抗して上向きとする
患者には突然の動きに注意を払うように指示する
採点の2点とは、手から鉛筆がほとんど動いていないことである

採点
0:機能的に不能
1:引っ張られなければ、母指と第2指の間で鉛筆の保持は可能
2:引っ張られても鉛筆の保持は可能

実施方法:C.手 握りテスト f)握りD

母指と示指の掌側を互いに対立させ、円筒状の物(小さい缶)を握る
各関節は少し曲げてもよい
引っ張る方向は重力に抗して上方へ引っ張る。患者には突然の動きに注意を払うように指示する
可能であれば道具としてTip-ex(修正液)ボトルを用いる
採点の2点とは、手から小さな缶または瓶がほとんど動いていないことである

採点
0:機能的に不能
1:引っ張らなけらば、母指と示指の間で小さな缶を保持することが可能
2:引っ張られても小さな缶の保持は可能

実施方法:C.手 握りテスト g)握りE

球体握りでテニスボールを握る。または母指外転して第2〜5指は内転屈曲するように指示する
患者には前腕回内位で指を伸ばし、手を開いて自分でボールを握るようにさせる
ボールは評価者の手掌に置く
患者には突然の動きに注意を払うように指示する。真っ直ぐ下に引っ張る
痙縮や固縮によってボールを保持している場合は0点と採点する。採点の2点は手からテニスボールがほとんど動いていないことである

採点
0:機能的に不能
1:引っ張られなければテニスボールの保持は可能
2:引っ張られてもテニスボールの保持は可能

実施方法:D.協調/スピード

指鼻試験を行う。患者には目を閉じたまま、できるだけ早く5回示指の先で鼻先を触るように指示する
指鼻試験は肩外転90度、肘伸展位で開始する。体幹や頭部による代償はさせないようにする。開始肢位をとれない場合は0点と採点する

a 振戦
0:著名な振戦
1:わずかな振戦
2:振戦なし
*スタート地点から終着までの軌跡の揺らぎを振戦と解釈する

b 測定障害
0:明らかかつ一定しない測定障害
1:わずかで一定した測定障害
2:測定障害なし

*測定障害は終着地点の位置の誤りとして解釈される
*完全な指鼻試験(2点)では常に鼻の先の大体1㎠の範囲内に達する
*一定しない測定障害:誤りがランダムな状態
*一定した測定障害:各施行において大きさや方向に同じ誤りがある

C 時間/スピード

評価者はビデオまたはテスト施行中に同時にストップウォッチで時間を計測する。最大外転位から試験5回目の鼻に到達するまでの時間を計測する
動きの早さは健側の速さと比べる
0:鼻指試験を5回繰り返しても、麻痺側では少なくとも6秒以上遅い
1:麻痺側では2〜5秒遅い
2:差は2秒以内

実施方法:H.感覚 a)触覚

触覚は大まかに評価される。患者に両方の上肢ならびに手掌を軽く触れ同じような質、強さで感じるかどうかを尋ねる
初めに評価者は示指の先で患者の前腕掌側に触れ、次に手掌に触れる。患者は目をつぶらなくてよいが感覚に集中するように指示する。この項目の採点をするのに必要なだけ刺激する
患者には触れられているのがわかるか、反対と比べて質、強さに違いがあるかを尋ねる

質問:私の指が触っているのがわかりますか。右と左で違いがありますか
1度も触れられているのがわからない場合は0点と採点する
左右で感覚の質や強さが違う場合は1点と採点する
両上肢間で触覚に差がない場合は2点と採点する

採点
0:感覚脱失
1:感覚低下、異常感覚
2:正常

実施方法:H.感覚 b)位置覚

位置覚は母指、手関節、肘、肩関節で検査する。位置覚以外の感覚に患者の答えが影響されないように、評価者は指や手の置き方に十分注意を払い、わずかな関節の動きを加える
患者には目を閉じてもらう。まず非麻痺側から始めて、次に非麻痺側をテストする。評価者は何をしてもらいたいのかを例に示して説明する。
動きは小さなものとし、可動域最終域までの動きは避ける。患者には言葉で、関節がどちらの方向に動いたのかを答えさせる。もし言葉で示すことができなければ、非麻痺側を真似して動かすように指示する。
皮膚感覚を通じての位置の変化の情報を与えないように、皮膚への接触は最低限にする。それぞれの関節は屈曲方向と伸展方向に4回動かして評価する
屈曲−伸展方向に他動的関節可動域の最大に達しない範囲でわずかに動かす
肘:肩関節は自然な位置、前腕回内外中間位
手関節:肩関節は自然な位置、肘関節は屈曲90度、前腕は回内位、評価者は前腕を固定し、手の橈側縁、尺側縁を持って動かす
母指:回外位で腕を大腿の上に置く、母指の外側をもつ、評価者は基節骨をもち、末節骨を動かす

採点
0:感覚脱失
1:非麻痺側関節と比べると差を認めるが3/4は正答する
2:すべて正答し、非麻痺側と比べても差を認めない

片麻痺者における上肢機能評価

片麻痺者における上肢機能の評価には他にも様々な考え方や方法があります。
以下の記事を参照してみてください。

happyhealth.hatenablog.com

引用・参考文献