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Trail Making Test(TMT)の理解と正しい実施方法、解釈に向けて

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注意機能や遂行機能障害の検査としてよく使用されるものにTrail Making Test(TMT)があります。TMTは簡単に実施できる検査ではありますが、正しい方法や間違ったときの修正方法など、意外に知られていないこともあります。そこで今回、TMTの理解と実施方法、その解釈に向けて、文献を参考にしながらまとめていきたいと思います。

 目次

Trail Making Test(TMT)の理解と実施方法、解釈に向けて

引用・参考文献

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Trail Making Test(TMT)とは

 

遂行機能や注意機能検査として用いられるTrail Making Test(TMT)は、

2つの反応パターンを交互に切り替えることが決まっており、両方の遂行過程の情報を保持しながら適切に遂行することを求める検査。

高次脳機能障害学 第2版 P224

となっています。
脳損傷者では健常者と比較して有意に成績の低下がみられ、特に前頭葉と成績低下に関連があるという報告があります。
注意障害の特徴と評価については以下の記事を参照してください。

happyhealth.hatenablog.com

Trail Aの特徴

Trail Aでは、1から25までの数字が散らばっている用紙で、その順番に結んでいく検査です。
視覚・運動性探索の速度を評価することが可能です。

Trail Bの特徴

Trail Bでは、1から13までの数字と、あ〜しまでの仮名12文字が散らばっている用紙で、1ーあー2ーい−3ーうというように、交互に結んでいく検査です。
認知の変換、課題の切り替え、注意の切り替えを評価することが可能です。
2つの反応パターンの交互切り替えと、2つの系列の順番がどこまで進んでいるかを保持しておくことが、課題の処理速度には必要になります。

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実施方法

TMTの適応条件:
明らかな失語症がないこと、半側空間無視がないことが挙げられます。
負荷が大きい視覚性探索課題であり、速度を問題とするため、軽度の半側空間無視でも影響を与える可能性が大きくなります。
そのような場合、半側空間無視検査も行う中で、総合的な評価が必要になります。
BIT行動性無視検査日本版(BIT)は以下の記事をご参照ください。

happyhealth.hatenablog.com

TMTには日本語A4縦版とA4横版があります。
一般的にA→Bで実施しますが、それぞれの検査前に、6つ程度を結ぶ練習課題を行い手順を理解させる必要があります。
用紙から鉛筆を離さないように、できるだけ速く、正しい順に結ぶように指示します。
順番が違うことがみられる場合には、その場で誤っていることを指摘して訂正させます。その際時計は止めずに行います。
全体の所要時間と誤反応数を記録していきます。

年代別のTMTの平均成績

健常若年者における年齢別成績

Part A(秒)

Part B(秒)

B/A比

15-19歳群(n=35)

中央値:30.5

平均値(標準偏差):28.7(10.3)

中央値:50.4

平均値(標準偏差):56.2(19.4)

中央値:1.98

平均値(標準偏差):2.05(0.61)

20-24歳群(n=49)

中央値:23.8

平均値(標準偏差):24.2(7.0)

中央値:46.5

平均値(標準偏差):47.6(15.1)

中央値:1.84

平均値(標準偏差):2.03(0.65)

25-30歳群(n=40)

中央値:22.8

平均値(標準偏差):24.2(6.8)

中央値:45.1

平均値(標準偏差):47.3(15.1)

中央値:1.92

平均値(標準偏差):2.04(0.62)

合計(N=124)

中央値:23.8

平均値(標準偏差):25.5(8.2)

中央値:49.1

平均値(標準偏差):49.9(16.1)

中央値:1.86

平均値(標準偏差):2.04(0.62)

健常中高年者における成績

年齢

Part A(秒)

平均±標準偏差

Part B(秒

平均±標準偏差

45-54(n=26)

32.0±8.4

76.0±27.9

55-64(n=32)

32.1±6.6

83.3±25.5

65-74(n=18)

47.8±14.3

112.7±31.7


高次脳機能障害者の自動車運転再開とリハビリテーション2より

TMTと損傷部位との関連

TMTは、確実な病症部位の特定が困難な軽度頭部外傷例における障害の検出に有効との報告があります。
前頭葉の損傷部位別に見ていくと、TMTの成績低下と対応がみられることが報告されています。
前頭葉腹内側部では、成績低下はみられにくくなります。
前頭葉背外側部ではTrail Bの誤反応数と遂行時間の延長として成績低下がみられます。
この場合、数字と文字を交互に反応するセットの転換障害(保続性の誤り)と数字や文字の順番の間違いが見られます。数字や文字の順番に関しては、ワーキングメモリの障害も関与していると考えられています。
誤反応の仕方により、日常生活面での問題点を予測することも可能です。2つの作業を同時並行的に行う際に、必要な情報を保持しながら、柔軟に頭を切り替えて作業遂行していく場合への影響を考えることが可能です。 

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